野球の記録で話したい

Baseball Stats Lounge

松井秀喜はどんな打者なのか? 4|MLB

2009422日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

さて、もう一度松井のキャリアSTATSを見てみよう。少し精細にSTATSを並べて見た。

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松井秀喜は、フル出場している限り、ほぼチーム1の犠飛を打ち上げている。ジアンビやアブレイユ、A-RODよりも多いのだ。得点圏打率はさほど高くはないのだが、安打は打たないまでも打点には絡む松井の特徴が如実である。また、松井は左投手を苦にしない。年によってばらつきはあるものの、概ねコンスタントな打率を残している。

このSTATSを見る限りでは、衰えの兆候も見えてはいない。昨年、犠飛は0だったが、得点圏打率は過去最高だったし、左投手の打率も3割を超えている。また、6敬遠は松井の威圧感が衰えていないことを示している。

 

松井秀喜は「計算ができる」打者である。派手な働きはないが、確実に成績を上げる。監督にしてみれば、怪我さえなければずっと打線に置いておきたい打者なのだ。西鉄全盛期、豊田、中西の後を打った関口とか(古いなあ)、A-ROD、グリフィJr.がぶいぶい言わせていた90年代後半のSEAのエドガー・マルチネスとか、そういう存在ではないだろうか。

今年も少しずつ成績を上げているが、怪我や大きなスランプさえなければ、2007年くらいの成績は上げるだろう。

とにかく、ずっと試合に出続けるコンディションを維持できるかどうかが大きな問題なのだ。

■後日談:ジラルディが松井に「残留してほしい」というニュアンスの発言をしたようだ。現場の責任者には必要とされる人材なのだ。

松井秀喜はどんな打者なのか? 3|MLB

2009421日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

ESPNのMLBのSTATSには、Seasonal Averages (per 162 games played)というのがある。その選手が、1シーズン全試合出場したとすれば、どんな成績を残すかという換算データである。これを使って、MLBの主要現役打者の比較をしてみた。

本塁打と打率と言う2つのSTATSでのマトリックスを作り、アナ両リーグの代表的な打者のデータを置いてみた。

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本塁打も打率も重要なSTATSではあるが、それだけで打者が完全に評価できるわけではない。その前提で表を見ていただきたいが、それにしても松井は、なみいるスラッガーの群れから離れ、リードオフマンや2番、6番あたりを打つ中距離打者のグループにいるのである。

日本最強の長距離打者という評価は、MLBでは全く覆されたのが実感される。

今のMLBでは、イチロー、プホルス、ハワードが各分野で突出した存在であるのが見て取れる。ある意味でアダム・ダンもそうである。A-ROD、マ二ー・ラミレス、ゲレーロという打者のレベルの高さもわかる。

では、松井はMLBでは、並みの打者だったのだろうか。彼は完全に期待を裏切ったのだろうか。実は、そうとも言えない。

同じSeasonal Averages (per 162 games played)を使って、こんな数字も見えてくるのである。

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これは打点を塁打(安打、二塁打、三塁打、本塁打の総計)で割った数字である。言いかえれば、1塁打あたり何点の得点に結びついたかというデータ。得点圏打率よりももっと直接的に、いかにして打者を帰還させたか、という数字である。

1位のハワードは驚異的な打点を挙げているため別格だが、松井は5位に位置している(すべてのMLB打者の内ではなく、あくまでピックアップした選手の中でではあるが)。

上位に並ぶのは、モルノー、デルガド、ジアンビなどいわゆるRBI(打点)イーターである。松井もMLBを代表するRBIイーターだったのだ。

松井が走者をかえすために、本塁打だけでなく、あらゆる手段を使って最大限の努力をしてきたことが、端的に表れている。地味ではあるが、チームへの貢献度は高かったというべきだろう。

■後日談:マーケティングの手法を野球STATSに使うやり方、面白いのでもっと深めていきたいと思う。

松井秀喜はどんな打者なのか? 2|MLB NPB

2009420日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

松井のライフタイムSTATSは以下のとおりである。

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満を持してという感じでMLBに移籍して6年。1年目、2年目と本塁打がほぼ倍増したときには、いよいよ3年目は40本塁打か、と思わせたがここから本塁打数は伸びなかった。そして、全試合出場記録が途切れた時点から、記録は低迷するのである。松井の2005年の年俸は800万ドル、これが2006年には1300万ドルになり、この頃から「年俸の割に働いていない選手」ランクの常連になる。

恐らく、松井秀喜はMLBの関係者やアナリストにとって、大きな指標だったはずである。

NPBで傑出した存在の、

   先発投手=野茂は、MLBでも通用する。

   リリーフ投手=佐々木も通用する。

   アベレージヒッター=イチローも通用する。

では、傑出した長距離打者=松井秀喜はどうなのか?

 この答えは以下のように出てしまった。

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以下、NPBからMLBに移籍したすべての野手について比較を試みたが、田口を除く全員が、松井秀喜と同じ傾向を示していた。

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MLBでのNPBの野手の評価は、ほぼこのように定まったはずである。

「NPBの野手は、MLBでは小粒になる。単打や二塁打を好機に打つことはできるが、本塁打は半減する」と。

あの松井秀喜でさえ、MLBでは本塁打者ではなかった、そういう評価がほぼ定まったことで、MLBは日本の野手への興味を大きく減じたのではないかと思われる。

■後日談:MLB、NPBのレベルの比較、面白いと思っている。機会があればもう少し突っ込んで考えたい。

松井秀喜はどんな打者なのか? 1|MLB NPB

2009419日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

膝の調子が思わしくないこともあって、松井秀喜は早くもスタメン落ちである。4/17は内野安打1本、4/18は代打で三振、4/19はデーモンの代打で途中出場し1安打2四死球。この選手はこのままフェードアウトしてしまうのか。松井秀喜は、これで終わりなのか。

MLBに移籍してからの、松井には、ずっと隔靴掻痒のもどかしさを感じていた。彼の存在が日本人の限界を示しているように思えたからだ。彼の真価はこんなものではない、そんな思いが高まっている。松井秀喜が斜陽を迎えている今、この打者の真価を考えておきたい。

以下は、2リーグ分立以降のNPBの本塁打王を、日本人・外国人の別に分けたものである。

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60年代、70年代まで、日本にはホームラン王がいた。言わずと知れた王貞治と野村克也である。60年から79年までの20季で、王は15回、野村は8回本塁打王を取っている。しかし、パでは野村が衰えた70年代以降、セでは王が引退した80年代以降、本塁打王は外国人が多くを占めるようになる。また常に一人で45本というハイレベルな本数を維持してきた王貞治の引退によって、セでは本塁打王の本数も激減する。

この時期にNPBのホームグランドは改修や新規建築で、大きく広げられている。87年までの後楽園球場は両翼87.8mセンター120.8m、88年からの東京ドームは100m122m。91年には甲子園のラッキーゾーンが撤去される。96年までのナゴヤ球場は両翼91.4m、センター118.9m、97年からのナゴヤドームは100m、122m。

こうした変化を経て、90年代以降、日本では、本塁打王は打撃3部門の1つに過ぎなくなったように思える。落合、松中という三冠王をはじめ、多くの日本人の本塁打王は常に一発を狙うわけではなく、アベレージも打点もというバランスのとれた打者である。いわば結果としての本塁打王。一発屋は、外国人の専売特許となった感がある。1995年、パリーグの本塁打王はわずか28本だった。この年、イチローがもう3本スタンドに放り込んでいたら、前代未聞の打率、打点、本塁打、盗塁の4冠王が誕生したところだった。

そんな時期に、松井秀喜は出現したのである。以下は松井のNPBでの最後の5季にあたる1998年から2002年の、NPB選手の通算本塁打と打点のランキングである。

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広いグランドで、多くの選手が出塁率や打率などのバランスのとれたスラッガーを目指す中で、松井は圧倒的な存在だったのだ。彼に対抗しえたのは、ヤクルトのぺタジー二のみ。

久々に誕生した「和製大砲」のMLB入りに、ファンだけでなくMLBの関係者も多いに注目していたのだ。

■後日談:今年、松井は久々に存在感を見せつけた。しかし彼を取り巻く状況は決して芳しいものではない。

イチロー、今季3本目の安打|MLB

2009417日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

鋭く振ったバットから、糸を引くような当たりがライト前に抜けていった。イチロー、今季3本目の安打である。

ここで「日本記録3086安打」の電光表示がされ、試合は中断された。観客はおずおずとスタンディングオべーションである。「どういう意味だ?」と思った人が多かっただろうが、良いお客さんだ。

STATSマニアとして、この3086本には全く食指が動かない。試合数も、投手も、リーグも全く異なる(つまり連続性が全くない)二つのカテゴリーでの記録を合計することに何の意味も見出せない。せいぜいトリビア、「へえー」で終わらせる程度のもの。イチロー個人が安打を打つ目安にするのはわかるが、それ以上のものではない。

2003年、韓国ではイ・スンヨプが“世界最年少”の300本塁打につづいて、シーズン56本塁打を放ち、国中が「王貞治のアジア記録を抜いた」と大騒ぎをした。この騒ぎは日本ではほとんど黙殺された。当然のことである。二つのカテゴリーには、何の連続性もないからだ。

今の日本は同じような騒ぎをわざわざ米国に行ってやらかしているのである。みっともないことだ。アメリカの人々が比較的寛大なのは、これが「日本記録」だからだ。あと数年たって、イチローの日米通算安打数がタイ・カッブやピート・ローズの安打数に迫ったときに、日本のマスコミが同じように騒ぎたてれば、手ひどいしっぺ返しを食らうだろう。

WBCでの優勝がMLB何するものぞ、という風潮を醸成している。その高揚感がこの騒ぎを裏打ちしているのかもしれない。しかし、MLBとNPBは組織、マネージメントから選手の待遇、そして本当の意味での実力において、大きな差があるのだ。

それよりも、イチローが好調なのがうれしい。次の打席は惜しくも内野安打にならなかったが、打席で様々なアイディアが浮かぶのだろう。楽しげに見える。

ここ数年、春先の不審が長々と尾を引く傾向にあったが、今年は軽々とグランドに立っている。グリフィJr.や若い野手たちがいるのも新鮮だ。この調子でことしは「当たり年」にしてほしい。

■後日談:日米通算記録は、参考記録としては意味があるが、「記録」ではない。マスコミがわざと取り違えたふりをして騒いでいるのが鬱陶しい。

イチロー、グランドスラムで帰ってきた|MLB

2009416日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

WBCの決勝戦のあの気配がそのまま残っていたように見えた。最初の打席は初球を打って遊撃の頭越えを狙うも緩い飛球。しかし2打席目には安打を放ち、以降の打席もいきいきとしていた。グリフィJr.の本塁打が出るなど出来過ぎた試合だと思っていたが、7回、イチローのグランドスラム。打ち上げたかな、という打球が右中間スタンドに消えていった。

こんな展開は、予想できない。LAAという最強のライバルを完膚なきまでたたきつぶした。城島の怪我は心配だが、今年はWBCの勢いをそのままSEAに持ち込んだようだ。

運もある、気力も充実している。最高のスタートを切った。

いい試合を見た。スタンドの張本勲さんも呆れていることだろう。
■後日談:この試合は感激した。イチローは、狙っていたと思う。そしてそれを現実にする力があるのがイチローなのだ。 

イチローの154試合|MLB

2009415日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

明日、イチローはDLから復帰し、今季初の試合に出る。欠場は8試合。残りは154試合。この数字は、MLBにとって大きな意味がある。1960年までMLBは、154試合制で戦っていた。イチローが2004年に樹立した最多安打記録は162試合制だが、それまでのレコードホルダーであるシスラーの257安打は154試合制での記録だったのだ。

さて、MLBでの8年間、イチローは出場154試合時点で何本の安打を打っていたのだろうか。

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154試合時点で200安打をクリアしていたのは、7回。2005年だけが200本に届いていなかった。この数字を見る限り、イチローの200本安打は大丈夫なようにも見えるが、昨年も辛うじてのクリアだった。

イチローは、WBCとは異質のストレスに苛まれながら、この大記録に挑むことになるのだが、正直に言えば、こんなに苦しむのなら、この記録が今年で途切れてもかまわない気がする。記録よりも、イチローの華麗な守備や打撃や走塁を、一日でも長く見ることができれば、とも思うのだ。

今年のSEAは出足好調。グリフィはじめメンバーも大幅に変わり、イチローはフレッシュな気分で出場できるのではないか。記録もいいが、楽しんで野球をして貰いたいと思う。

■後日談:イチローは死んでなかった。今年は一味違った打撃を見せてくれたのである。

解説を殺すアナ、活かすアナ|野球報道

200943日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

開幕3日間、NPBの中継をザッピングのように見ていた。WBCの話題が多かった。野球のみならず、日本人のメンタリティに今回の優勝がいかに大きな影響を与えたかが分かる。

解説者の中で、ことのほか瑞々しい言葉を吐いていたのがゲストの桑田真澄である。ついこないだまで真剣勝負をしてきた人間にしか言えない言葉や、微妙なニュアンスを巧みに表現する頭の良さには感心した。WBCのときの清原のコメントにも、印象深いものが多かったと思う。私は選手生活晩年の清原は大嫌いだったのだが、達観したようなコメントは、素晴らしいと思った。

思い返してみれば、引退直後の野球選手は、ベンチの空気や、試合の緊迫感、選手心理などを実に生々しい言葉で表現することがしばしばあった。しかし、2~3年もたつと、アナウンサーに相槌を打つような、つまらない解説者になり下がる。槙原や水野も昔はもっと値打ちのあることを言っていたように思う(ギャオス内藤のように、最初からどうしようもないのもいるが)。これは本人の資質も大きいと思うが、周囲が彼らの感性や言葉を活かしてやらないことも大きいと思う。

今日の巨人:広島3回戦でも桑田は、「良いショートとは投手が『あの選手の前に打たせてやろう』と思うようなショートだ。川相さんがそうだった」とか、クルーンの窮地で「ここで、ファーストストライクをバントしてくれれば、投手は助かる」とか、実に的確でいいコメントを吐いていた。しかし日テレの蛯原アナは、中継や解説の水野らとのやり取りに忙しくて、さして注意を払わなかった。実況を聞いていて桑田のいい言葉を「もっと掘り下げてほしい」といういらだちが残った。

毎度毎度引き合いに出して恐縮だが、島村アナなら、そういう「いい言葉」は必ず反芻する。折り合いを見て、深く掘り下げようとする。試合の流れの中で、「○○さんがおっしゃっていた××するとは、こういう場面のことだったのですね」とか、きちっと抑えてくれると思うのだ。

蛯原アナは当初はどうしようもなかったが、今では民放アナとしてはまだ聞きやすい方である。きびきびした語り口は、悪くはない。しかし、自分ですべてを伝えよう、ゲームを自分でまとめようというMC(マスターオブセレモニー)が陥りやすい錯覚にとらわれている。そして局も解説者にはほとんど期待していないから、なおさらそれを助長している。

レベルの高いアナと解説者のやり取りが、実況中継をより面白くする。MLBの与田剛と野地チーフアナの放送などは、解説者の資質をアナが十分に引き出そうとしている。放送前に互いの野球観を十分に戦わせた形跡がある。

民間放送には、そういう真面目さ、真摯さが育つ土壌がなかったのだと思わざるを得ない。野球人気の低落に、民放は大きな責任があると思う。

桑田清原の鮮度がいいうちに、それを活かすアナが出てきてほしいと思う。

■後日談:野球放送については、一家言ある人が多い、論議の花を咲かせたいと思う。

海峡を越えたホームランはどこまで飛んだか。|野球史

【2009年4月3日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

まだ、「昭和という時代はいつ終わるのだろう」と思っていた時代に、大阪ミナミの大衆食堂で夢中になって読んでいた記事があった。「漫画アクション」に連載された関川夏央の「海峡を越えたホームラン」。この記事はのちに単行本にまとめられ、関川の出世作となる。発足当初の韓国に渡った僑胞(キョッポ=在日韓国人)野球選手の苦闘が、ほぼリアルタイムで伝えられていた。その記事を読んでいた食堂は、なぜか午後三時をまわると十数人の小学生がたむろし、口々にしゃべりまくるのだが、それがみんな朝鮮語で、その口調の親しみやすさと一語も理解できないことに、激しく取り乱してしまう不思議な店だった。ここで、「祖国という名の異文化」というサブタイトルの記事を読んでいると、選手たちの苦悩がわがことのように感じられるのだった。

1982(昭和57)年、韓国に始まったプロ野球の初期をリードしたのは、在日韓国人の選手たちだった。引退したばかりの張本勲も尽力したようだが、第一年に打率4割をマークし、MVPに輝いたのは、張本の元同僚の白仁天、そして2年度には張明夫(日本名松原明夫)、朱東植(日本名宇田東植)ら4名が韓国野球に身を投じたのだ。

彼らが感じたのは、「もはや韓国は故郷でない」という現実だ。朝鮮語がほとんどできず、儒教的な習慣にも無知な彼らは、混乱と孤立感にさいなまれる。また、受け入れる韓国人たちも、「同胞なのだから韓国語が喋れてあたりまえ」という意識と、「所詮は日本に帰るやつ」という反感をもっていた。公然非公然の差別が行われたのだ。

在日韓国人の選手たちは、この状況を打破するためには、野球で相手を黙らせるしかないと悟り、奮闘する。張明夫は驚異的なシーズン30勝を挙げる。

「日本では南海や広島で勝ったり負けたりの松原が、30勝かあ」と思った記憶がある。当時の韓国野球は、勝敗にあまりにもこだわるために、監督やコーチが数試合で交替したり休養を余儀なくされる。投手は速い球を投げ、打者はそれを遠くに飛ばすだけ。駆け引きも作戦もない。張は、ある意味赤子の手をひねるように勝ちを重ねていくのである。

この本から漂ってくるのは、当時の韓国の貧しさである。選手たちは、たびたび変更される試合スケジュールをこなすために、バスに乗って高速道路をひた走る。睡眠もバスの中である。また、優勝チームは祝勝会の後、夜の街に消えていくが、みんなユニフォーム姿である。

そして、当時の日本人は、韓国について本当に無知だったこともわかる。今では家庭の食卓にまで上る韓国料理に、在日選手たちは悪戦苦闘するのである。

 

1988(昭和63)年のソウルオリンピックを機に、韓国は大きく発展する。彼らは今や「世界十大大国」の一員だと胸を張るようになるのだが、この本はその直前までの、韓国の貧しさや儒教的な社会構造などを、感覚的に伝えている点でも貴重だと思う。

こないだのWBCでの韓国の強さ、賢さを見れば将に隔世の感がある。しかし、金泰均のあのスイングには「投手は速い球を投げ、打者はそれを遠くに飛ばすだけ」という韓国野球のDNAが色濃く残っている。韓国プロ野球は日本のプロ野球の大きな影響下で育ったが、異なる魅力をたたえた野球へと進化したのである。

マウンドに大極旗を立てたり、日本に対して異様に敵愾心を燃やす韓国への反発は強い。むしろ昭和のあの頃よりも「嫌韓」をはっきり口にする人が増えたように思う。

でも、私は彼らのひたむきさ、何かもかなぐり捨てて、敵にむしゃぶりつくような熱さが、なんとなく懐かしく、うらやましくもある。

今年は私も海峡を越えて、大人になった韓国野球を見てこようか、と考えている。

■後日談:今年、ついに韓国へは行けなかった。来年こそと思っている。

MLB日本人選手消息0401|MLB

200942日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

いよいよWBC組も復帰してきて日本人のSTATSもにぎやかになってきた。

 投手陣を見る。1週間は3/25~4/1である。

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岡島、斎藤は順調。松坂も調子は良さそうだった。黒田は打ちこまれたが、深刻な状態ではないようだ。川上の先週の投球はMLBの中継録画で見たが、堂々たる貫録で、アダム・ダン等の強打者を打ちとっていた。問題は登板回避から復帰した上原である。残り時間が少ないのに、調整中のままだ。ローテーションを守ることができるだろうか。

また小林は相変わらずの低迷ぶりだが、アクティブ・ロースターには入っている。

3/30高橋建はTORを解雇されて、NYMに移った。

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イチローが体調不良を訴えたのはやや心配。WBC復帰組は好調を維持している。松井秀は打率は低いが、RBIイーターの本領を発揮しだした。チームの打点王である。松井稼は、ようやく体が温まってきた、という感じだ。

田口は最後まで健闘して、ファームに去っていった。

いよいよ来週は開幕である。

■後日談:すでに日本に帰っている選手も多い。ロートルが運だめしのためにMLBに挑戦するというパターン、もう難しいのではないか。

打者と球数の関係|MLB

2009331日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

一昨日は、MLB投手の投球数のSTATSを紹介したが、実は打者ごとにも投球数のSTATSが出ている。投手に投げさせた球数だ。

このSTATS、非常に面白いのだ。打者の別の側面がくっきりとでてくる。

NPBで2008年に1打席以上立った打者の投球数ベスト30と日本人は以下の通り。

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Gサイズモアと言えば、人気者の中距離打者と言う漠然としたイメージがあったのだが、実はMLB一投手に球を投げさせた打者なのだ。次にアブレイユ、そして3位が岩村なのだ。彼の真骨頂はここにあったのではないか。

不思議なことに、この上位の打者の多くは、WBCで活躍している。因果関係はないと思うが。

イチローは例年最も多く打席に立つ打者だが、投球数は岩村よりも260球も少ない。彼が球数を投げさせる打者だったら、どんな成績を残していたのか、と思える。

この記録を、打席別に並べ直してみる。1打席でどれだけ球数を投げさせたか、の記録である。

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意外な顔ぶれが出てくる。打撃成績が必ずしも良いとは言えない選手がならぶのだ。そして、一般には荒い打者だと思われそうな、ジアンビやカスト、アダム・ダンなどが上位に来る。ことにダンは、トータルでの投げさせた球数でも、平均でも上位につけている。この選手はこないだのWBCでの、並はずれた拙守で男を下げたが、実はジアンビ同様、じっくり投手を見て、一発を打つ好打者なのだ。三振は、粘りの末の結果なのだ。それから、昨年の福留がやっていた野球も見えてくる。

松井稼や岩村は、1打席別でも上位に来ているが、イチローは301人中254番。MLBを代表する早打ち打者だといえるだろう。

早打ちであれ、じっくりであれ、結果を残せばそれは評価される。球数は、打者のある側面を写すSTATSにすぎない。しかしそこから、MLBの選手たちの野球観が見えてくる。

■後日談:打者と球数の関係については、最近、少し違う考えを持っている。今後紹介していきたい。

田口はまた見せてくれるに違いない|MLB NPB

2009324日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

思えば18年前、かのイチローがプロ入りして最初に目標とした男は、田口壮だった。

  1991年オリックスブルーウエーブ ドラフト指名選手

 1田口壮 内野手 関西学院大

  2萩原淳 内野手 東海大甲府高 

  3本東洋 投手 三菱重工長崎

  4鈴木一朗 投手 愛工大名電高

  5北川晋 投手 浪速高

  6西芳弘 外野手 寺井高

  7山本大貴 投手 阿部企業

強打の内野手は、1年目から1軍に出場、それを追ってイチローも1軍の試合に出場するが、一歩田口が先んじていた。それが大逆転するのが3年目、空前の210安打でイチローがスターダムに。田口もこの年、強肩を活かして外野に転向。本西とともに鉄壁の外野陣を築くことになる。

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2001年、NPBでは、もはややるべきことが見当たらなくなったイチローは、MLBへ、ここでも驚異的な数字を叩き出し、1年でスターになる。

田口が小市民ならば、海の向こうの僚友に拍手を送るだけで済ませたはずである。しかし、彼は翌年、海を渡るのだ。イチローと比べて才能が劣るのは明らかである。そして、年齢も3歳上である。すでに33歳の田口は、すべてを承知でSTLと契約したのだ。

以後の田口の歳月は、ごく普通の野球好きの青年が、超人たちに伍して必死で存在感を主張する日々だった。

彼が素晴らしいのは、いつも真っ先に切られる候補でありながら、あらゆる手を尽くして最後まで踏みとどまることだ。打がダメなら走で、走がダメなら守備で、守備がダメならベンチでの応援で、彼は貢献し続けたのだ。

ことに素晴らしいのは、2005年。リーグ優勝した強豪チームで外野手としてチーム最多出場、114安打を放った。翌年はワールドシリーズ優勝に貢献。プホルスに代表される強打のSTLでほとんどレギュラーに近い位置を獲得したのだ。

STLを2007年末に戦力外となりPHIへ、そして今年はマイナー契約でCHCへ。今年7月2日に40歳を迎える田口は、だんだん窓際に追いやられていった。3/29、マイナー落ちが決定。実に5年ぶりのマイナーでの開幕だ。

もういいんじゃないか、という気もするが、田口はまだ諦めていないのではないかと思う。もう一度、マイナーからの復活劇を見せてくれるのではないか。喜々として、今、その準備を開始したのではないかと思う。

 

田口とイチロー、二人の同期生の野球人生は対照的ではあるが、どちらも見事なものだといえないだろうか。

投手と球数の関係|MLB

2009329日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

NPBのSTATSは、いろいろ不満が多い。サイト上で歴代全選手の公式STATSが公開されていないのも不満だ。でっかい「ベースボールレコードブック」や、「ザオフィシャルエンサイクロペディア」を引っ張り出すなんて現実的には不可能だ。

最近、NPBで最も不満なのは、NPつまり投球数を公開していないことだ。投手のスタミナや効率を見る上では、最も基本的な数字だ。今は、海外のSTATSマニアの人が、こつこつ調べたりしているが、これがあるとずいぶんいろいろなことがわかってくるだろう。

さて、以下はMLBの2008年防御率上位40人を、球数順に並べたものだ。

 NumberPitch

以前、松坂大輔のNPBでの投球数を調べたときに2001年の4072球と言うのがあった。翌年、松坂は故障で離脱する。最近のMLBでは、4000球を投げた投手はいない。2002年のR・ジョンソンの3996球が最高だ。CCサバシアはここ3年、2910球、3581球、3814球と増えている。スタミナ十分なのはわかるが、NYYでの1年目が少し気がかりである。

さて、この表から見えてくるのは、投手の効率である。球数少なく投げている投手、無駄球を多投する投手。効率派の筆頭格はR・ハラデー、無駄球派の代表はご存じ松坂だが、松坂は、それだけ球数が多いのに、防御率も勝率が高いのが異色だ。

そして効率派の代表選手の一人に黒田がいる。打者一人に要する投球数では1位なのだ。2008年は良い時と悪い時がはっきりしていたために、勝ち星が上がらなかった黒田だが、MLB好みの効率的な投球をしていたのだ。開幕投手になったのも頷ける。

今年MLBの先発陣に加わる上原も、川上も投球数は少ない方だ。その点では期待できるだろう。以前にも書いたが、松坂は、自分の非効率ペースを首脳陣に認めさせるためにも、今年も実績が必要だ。

■後日談:この投球数と言うSTATSは、投手にとって極めて重要だ。今後もしっかり追いかけていく。

 

関西独立リーグ三景 吉田えりがマウンドに|独立リーグ

2009328日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

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8回の神戸の攻撃、三塁側のベンチ前で、一度はキャッチボールをしだした先発西川が引っ込んで、吉田が現れた。三塁側の観客は雪崩を打つように前に集まり始めた。キャッチボールの最初の一球もアンダースローだった。ゆっくりと、立ったままの捕手の若林のミットに投げ込んでいく。捕手が取り損ねた球があったが、ナックルがかかっていたのだろうか。

8回まで神戸の西川は大阪を零封している。彼は、四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグの主戦級であり、球速はないがスライダー、カーブを巧みに操って大阪打線を寄せ付けていなかった。監督の中田は、西川に開幕戦完封と言う金星をあきらめさせてまで吉田を投入した。チーム内がぎくしゃくしないだろうか、と思ったが、ベンチ横で吉田は西川にアドバイスを受けていた。チームも彼女を盛り上げようとしているのだ。

マウンドへ、本当に小さい。プレートから歩幅を何度も図ってマウンドを削っている。監督やコーチから教えられたことを一生懸命に実行しているという感じだ。

日本のプロ野球史上に初めて女性が登場した瞬間である。先頭打者、平松への第1球は、ナックルがインコースに外れた。そして立て続けに4球コースを外れて平松を歩かせる。たまらずナインと中田監督がマウンドへ。ここで降板の予定だったようだが、吉田は続投を希望。続く代打古屋へ投じたのは99km/hのど真ん中の“速球”。ナックルを交えて最後は高めのボール球を振らせて三振に打ち取った。中田監督がまた小走りにマウンドに駆け寄り、抱きかかえるように投手交代。本当に腫れ物に触るような扱いだった。

今後、彼女は戦力となるのか、客寄せパンダのままに終わるのかは不明だが、まずはめでたしというところか。

マウンドを受け継いだ小園は、北陸のBCリーグの開幕戦でも投げている投手。怪我を克服した苦労人だが、140km/h超の小気味よい速球で簡単に後続を断ってゲームセット。

何となくおとぎ話のような試合を見たと思った。現実の厳しい社会にもまれながらも、何とか生き延びてほしい。

■後日談:吉田えりは、いわば野球界のファンタジーだ。大阪のブレスなど、真剣に女子野球をやろうとしている女子とは違う次元だが、つぶれないでほしい。

関西独立リーグ三景 かくて応援団は生まれた|独立リーグ

2009328日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】



今日の大阪ゴールドビリケーンズと神戸9クルーズの開幕戦は、内野席は7割がた埋まった。そのかなりの部分は、選手の知り合いのようだったが、笛太鼓の組織だった応援はなくて、私好みのナチュラルな客席だった。四国アイランドリーグは、高校野球が盛んな土地柄のためか、1年目からうるさい応援団がいて閉口したのものだが。

四国の場合もそうだが、独立リーグの試合では、本塁打はめったに見ることがない。選手は、守備や走塁はまずまずなのだが、とにかく非力なのだ。今日も、先発の大阪・土肥、神戸・西川ともに最速140km/hそこそこだったが、ライナーで外野へ飛ぶ飛球はまれだった。玄人好みの投手戦(あるいは貧打戦)が多くて、派手な試合が少ないのが、独立リーグの悩みなのだ。それと、捕手のまずさが目についた。大阪、神戸ともに捕手が4番に座っているのだが、投手への返球が何度も横にそれた。粗雑なのだ。

ただ、試合はきびきびと進行して気持ちが良かった。どちらも安打で出塁はするものの勝機を逸していたが、神戸が6回にライト前に3安打をたたみかけ、2点を先取した。神戸の武田は、西濃運輸時代に都市対抗野球の花形選手だったが、打力でも走力でも一段抜けている印象だった。

 

さて、今日は非常に寒い一日だった。ドーム球場は暖房していないうえに、空調のために緩やかに風が通っていて肌寒かった。ビールは売っていたが、「ねえちゃん、熱燗ないんかい」などという親爺もいて、みんな肩を震わせながらの観戦だった。

中盤を過ぎる頃から、寒さに耐えかねてか、選手に向かって歓声をあげる客が増えだした。そして、いつしか音頭をとる酔っぱらいが現れ、それに引っ張られて「かっとばせー、碩野(い・し・の)」などという応援がはじまった。三塁側では神戸の投手に向けて手拍子の応援が始まっている。私は、応援団が自然発生的に生まれる瞬間を見たと思った。これはこれで悪くはない。和やかで、和気あいあいとした野球観戦だった。

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■後日談:プロ野球=NPBのまねをしてもうまくいかない。独立リーグは地元密着が必要だったのだが。

関西独立リーグ三景 野球で飯が食えるか?|独立リーグ

【2009年3月28日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

スポーツ文学の名品に「ひと夏の冒険」がある。名コラムニストであるロジャー・カーンが、ひょんなことからマイナーリーグの野球チームのオーナーとなり、ひと夏をチームとともに暮らしたドキュメントだ。小さなワゴン車が、球場に横付けされるとチケット売り場に早変わりし、グッズやホットドッグの売店になり、FM放送のステーションとなる。オーナーは、売り子になり、FMラジオの中継まで担当する。薄給でも喜々としてプレーする選手たちだが、彼らにはシビアな現実が待っている。

この本の世界は、日本人から見れば、一種のファンタジーのようなものだ。「野球で飯を食う」なんて、日本ではほんの一握りの才能にしか許されないことなのだから。

 

独立リーグが始まった時に、強くひかれたのは、日本にも「野球好き」がその情熱だけで、生活できる場が出来たと思ったからだ。

五年前にできた「四国アイランドリーグ」はわざわざ見に行った。たまたま遠縁の人が、チームのオーナーになったから、他人事とは思えなかった。五年たって、このリーグは九州のチームも巻き込み、悪戦苦闘しながらも存続している。

そして関西にも今年から独立リーグができることになった。早速、チケットを買いに心斎橋にある「大阪ゴールドビリケーンズ」の事務所に出かけて行った。小さな事務所では、3/27の開幕戦の打ち合わせが白熱していた。「チケットください」と言っても、そっけない対応だった。内野席のチケットを受け取って、「がんばってください!」と言っても、返事はなかった。みんな必死なのだ。

そして、今日、大阪ドームで開幕戦。橋下大阪知事が始球式。打席に立つのは赤井英和さん。知事は何と5球も投げて、赤井さんを三振に仕留めていた。39歳の知事の球は、この試合の最後に投げた吉田えりよりも明らかに速かった。

大阪ドームには1万2千人近くが入り、盛況だった。

しかし、この球場が使えるのは今日限り。これからは何十人単位で人を集める日々が始まる。日本と言う地で、「野球で飯を食う」ことの現実が始まるのだ。

私は、今日始まったこの独立リーグをじっくりと見ていきたいと思っている。

 20090327-01

■後日談:関西独立リーグは、終幕までもたず、破綻してしまった。今思えばこれが頂点の舞台だった。都会で独立リーグをやるのは難しいのだ。

誰が良いキャッチャーだ?|MLB

2009327日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

ひと月ほど前に、ラッセル・マーティンとブライアン・マッキャンを若手捕手の双璧と書いたら、M&Mさんから「マウアーは入らないのか」といわれた。そう言われてみれば、ポジション別にSTATSを比較して選手の評価をしてこなかったな、と思ってずっと気になっていたのだが、シーズン前にやっておきたい。

捕手の評価は①野手の一人としての守備②盗塁を刺す肩③ピッチャーのリード④打撃の4つの観点に分かれると思う。

出場500イニング以上のMLBの捕手を比較してみた。

 

所属は2008年。すでに移籍している選手もいる。MLBではCERA=捕手防御率というデータがある。その捕手が受けているときの投手の防御率だ。これは面白いデータだ。捕手のリードが端的に表れる。ただ、防御率は投手の出来不出来に左右されるから、そのチームの防御率を示し、捕手の防御率との差異も出してみた。より捕手のリード力を反映していると思う。ただし、試合数の多い捕手はチーム防御率との差異が小さくなってくるので、留意が必要だ。

それぞれの項目のベスト10を青字、ワースト10を赤字にした。

Catch

これで、その捕手がどんな特色があるのかが一目瞭然となった。

感心するのはバリテックである。131試合もマスクをかぶりながら、チーム防御率より0.34も高い。肩は衰えたものの守備も安定感がある。ホセ・モリーナも素晴らしいキャッチャーだ。マッキャンは、やはり打撃優位の捕手だがリードも優秀。マーティンも同じ傾向。マウアーは守備も肩も打撃もいいが、リードは普通だ。城島は、肩とリードは平均以上だが、打撃と守備は以下だ。この数字は毎年変動するとは思うが。

こうして見ていくと、すべてに秀でた捕手は稀だということがわかる。

これからは、この表をもとに「強肩のキャッチャー」とか「リードに難あり」とか言おうと思った。

■後日談:マウアーは2009MVPをとったが、捕手としての数字は落としている。城島はすごい盗塁阻止率を上げたが、捕手としては失格の烙印を押された。難しいところだ。

MLB日本人選手消息0325|MLB

2009325日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

WBCの余韻が残る中、いよいよMLBのロースターは絞り込みに入っている。今週に入って、多くのマイナー契約の選手がはじき出された。

日本人選手の消息。まずは投手。

 SPRING0325-P

田澤のマイナー落ちは予定通り。出来過ぎだろう。すでにAAクラスに移動したと思われる。開幕後、AAでの登板も追っていきたい。井川も残念ながら予定通り。NYY首脳陣としても、無失点では落としにくかったが、ようやく押し出しで失点したので、口実ができた。ただ12回で8四球はいただけない。できれば、今年前半にでも移籍かなんかの道は見いだせないか。

門倉、薮田もM落ち。今年はマイナー招待の投手は全滅だ。藪はマイナー契約に変更された。

久々登板の上原は健在ぶりをアピールした。黒田、川上は調整段階に入っているのだろうか。

マイナーの投手たちの成績も追いかけていきたい。

野手。

SPRING0325-B

田口はまだ頑張っている。3割は切ったが、10打点が光る。ただ福留が帰ってきたときに、居場所がなくなる可能性があるだろう。

絶不調だった松井稼は、ここ1週間で10-3と打って1割に。松井秀は、ようやく1本出たが、4番の座を争うNYYのライバルと比べても見劣りする成績だ。スタメンはほぼ確保だろうが、7番DHか。ポサダの守備の調子次第では、ポサダがDHに入り、控えに回ることもあるだろう。

WBCから復帰した日本人メジャーリーガーは、ほとんどぶっつけ本番の舞台が待っている

■後日談:2010年は田澤のような日本人プロスペクトはいない。菊池が挑戦してくれてたら、と思ってしまう。

続・絶叫放送も明日で終わり|野球報道

2009323日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

こんなに反響をいただくとは思ってもいなかった。皆さん、野球中継、スポーツ中継にこんなに不満を持ちながら、我慢して視聴しておられるのだなあ、自分と一緒なんだと思った。私は、全部のコメントに返事をしようと思ってきたが、60を超すとキビシイ。改めてここに、コメントに対する返事をさせていただきたい。皆様、コメントありがとうございました。

 

■TBS、放送局はなぜこんな実況中継をするのか?

私は、広告の世界に少しだけ首を突っ込んでいるので、なんとなく空気が分かる。放送局は広告代理店とともにスポンサーに対して番組を売ることで成り立っているのだが、それはGRP(Gross Rating Point)をはじめとする数字に換算される。スポンサー企業は視聴率を1%いくらで買っているのだ。テレビ局や広告代理店は何としても番組を高く売るために「あのタレントも出します、こんな企画もつけます、視聴率は何%を保証します」とプレゼンをする。企業の広告担当者はたいていエリートで冒険はしないから、視聴率を上げるための方策がいっぱい入ったプランを選択する。その挙句に、ごてごてと飾り立てた番組ができる。バレーボールのワールドカップのコートで不良少年が飛んだり跳ねたりするのはそのせいだ。WBC東京ラウンドで中居正広がしたり顔で解説をしたのもそれだ。

そこには視聴者の存在はほとんどない。視聴者とは網でからめとられるイワシみたいなもので、顔などないのだ。林アナが絶叫したのも、視聴者のためではなく「こんなに必死でやってます」というクライアントへのアピールなのだ。

地上波TVと、視聴者からお金をもらうNHKやJ-SPORTSなどとは、そもそも向いている方向が違うのだ。

 

■放送局に抗議をするのは有効か?

実は、そういう問題点は放送局自身も知っている。いずれは変えていかなければならないこともわかっている。その努力も少しはしている。

しかし、一方で放送局と言うのは極めて保守的で、エスタブリッシュメント(体制側)だから、直接に抗議や非難をされてもそれを認めたくない。リスクは負いたくない。私はTBSの亀田報道のあまりのひどさにたまりかねて、ファンサイトにコメントを何回かしたが、ちょっとでも批判めいた内容があると採用されなかった。放送局とは、批判を受け止められない企業なのだ。

 

■では、どんな方法が有効なのか

放送局も広告代理店も、企業も、マーケティングの徒である。マーケティングとは、要するに「売るためのすべての努力」だ。彼らはターゲットとなる対象(この場合視聴者)が、何を求めているかを常に探っている。企業にとって、消費者が嫌がるような番組にはスポンサードはできないのだ。

我々は「こんな番組が見たい」「こんな放送はいやだ」というメッセージを、社会に向けてもっと発信すべきだ。ブログと言うのは「貧者のメディア」ではあるが、多くの人々が明確に意見を発信することで、ターゲットの流れが変わったことを番組の作り手に伝えることができる。迂遠な話だが、それが一番ダイレクトでもある。

私はSTATSうれしや人間ではあるが、これからもスポーツ放送の不満をどんどん発信していこうと思う。皆様もブログやコメントで、どんどん発言すべきなのだ。卑小な個人攻撃や、ヒステリックな中傷は、逆効果であることは言うまでもない。「スポーツ放送批評」というジャンルが大きくなれば、放送局も耳を傾けるようになるのだ。

 ■後日談:地上波とその他の機能分化とともに、野球放送はよりマニアに集中したものになるだろう。ただ、ひいきの引き倒し放送は見苦しいと思うが。

絶叫放送も明日で終わり|野球報道

2009323日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

TBSの林正浩アナウンサーは、桜美林高校の野球部で、一塁手として甲子園に出場し、立教でも野球部だったそうである。WBCの原監督よりも3学年上だ。

ある時期までの桜美林高校は強い上に、イエスイエスイエス!という校歌が話題を呼び、大変人気のある高校だった。創業者の清水安三さんの白い美髯も印象的だった。林アナは1976年の甲子園優勝の時はすでに大学生だったが、一番強い頃の桜美林を知っている。

そんな一流の野球人であり、アナウンサーとしても今やTBSの看板なのだが、この人の実況中継は、まさに今の地上波野球放送の鬱陶しいところをすべて持っているように思う。

まず、放送の主役が自分だと思っていること。スタジアムのざわめきやグランドの雰囲気を伝えるのではなく、すべてを自分の実況で埋め尽くそうとしている。解説の槇原やゲストの清原、佐々木は自分の引き立て役である。

その上に、ほとんど日本人選手のことしか語らない。日本人なら日本の勝利を願っているはずだ、という前提はわかるが、相手がどんなにすごい選手なのかをちゃんと語らないから、見どころがどこなのかがわからない。またUSAやMLBへのリスペクトは感じられない。

そして、試合では常に「絶叫のしどころ」を狙っているのである。選手が塁を回って本塁に突入すると、林アナは必ず絶叫する。大の男があんな声を出すのは、親の死に目に間に合わなかったときくらいだ、と言いたくなる。古館さん以来、この手の絶叫はスポーツアナのつきものになったが、あれが芸になっているのは本家本元だけである。

J-SPORTSとTBSでは、画像の美しさは圧倒的にTBSだから、そっちでWBCを観戦したいのだが、いつも耐えられなくなってJ-SPORTSにしてしまう。

地上波TVの長期低落傾向ははっきりしているが、大手のクライアントはテレビの圧倒的な影響力にまだ依存している。しかし、見る側はこの手の放送内容の劣化に相当嫌気がさしている。大人が見て楽しめるコンテンツはほとんどないのだ。

 

試合の盛り上がりを感じたいのであって、アナウンサーの盛り上がりを聞きたいのではない。次回WBCが開かれるとすれば、その時には試合の緊迫感や選手の動きが普通に伝わる中継を聞きたいものだ。

■後日談:最近は民放だけでなくNHKにもひどいアナウンサーがいる。シーズンが明けたら引き続きウォッチしたい。
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プロフィール
最近メディアからいろいろお話をブログにいただくようになりました。迂闊なことに、殆ど対応できていませんでした。ご連絡は下記までお願いいたします。

baseballstats2011@gmail.com

広尾晃と申します。

ライター稼業をして、かれこれ34年になります。

2009年1月に、SportsNaviで「MLBをだらだら愛す」というブログを開設、12月には「野球の記録で話したい」を開設。多くの皆様にご愛読いただきました。2011年11月、livedoorに引っ越し。基本的な考え方は変わりません。MLB、NPBの記録を中心に、野球界のことをあれこれ考えていきたいと思います。多くの皆様に読んでいただきたいと思いますが、記録や野球史に興味と尊敬の念を持っていただける方のサイトにしたいと思います。特定の球団のファンの方も大歓迎ですが、「ひいきの引き倒し」的な論調には与しません。

広尾晃はペンネーム。本名は手束卓です。ペンネームは、小学校時代から使っていました。手束仁という同業者がいるので、ややこしいのでこの名前で通しています。ちなみに手束仁はいとこです。顔もよく似ています。
私が本名を隠しているかと勘違いして、恐喝のようなコメントを送ってくる犯罪者まがいがいるので、あえて公表します。


2012年11月「クラシックSTATS鑑賞」を独立したサイトにしました。

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