野球の記録で話したい

Baseball Stats Lounge

WBC鑑定団その3 Pool-C ベネズエラ|2009WBC

2009226日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

さて、ベネズエラ。中米的な色彩も強く、サッカーよりも野球の方が人気がある。アメリカの影響を強く受けているが、チャベス大統領は反アメリカの急先鋒だ。

いろいろ矛盾したところのあるベネズエラだが、そのロースターもちょっと驚く。特に投手。VENE-P

何と、最終ロースターに残った13人の投手の内、6人が1次ロースターにはなかったメンバーなのだ。1時発表の時、候補に挙がった投手にちゃんと確認したのか?といいたくなる。サンタナの辞退は大きく報じられたが、それ以外にもこれだけのMLBの投手が辞退したのだ。球数制限の厳しいWBCでは、先発投手以上に中継ぎが重要になるのだが、べタンコート、ピント、リンコンという達者な中継ぎが抜けてしまった。穴埋めに一線を退いた元MLB投手を補充している。ザンブラノ以下の先発投手はそこそこだが、世界一のクローザーF-RODにつなぐまでが心もとない。バランスが悪いという感じだ。

しかし、サンタナからF-RODのリレー、見たかったなあ。

(2/26ザンブラノが辞退)

野手は強力だ。VENE-F

 

元気いっぱいのMカブレラにアブレイユ、オルドニェス、Cギ―エンというベテラン陣。なかなか凡退しない打線と言う感じだ。守りに定評のあるイズトゥリス、ブランコが1、2番か。日本人としては、ORIXのカブレラにぜひ出てほしかったところだが、1次ロースターには入ったものの、落選。この顔触れではやむを得ないか。内野では2塁がやや手薄。ユーティリティのスクータロが回るのだろう。

ただし、大きな穴があいている。捕手である。ラモン・ヘルナンデスは少し前まで強肩でならしていたのだが、2008年はMLB最多の99盗塁を許している。しかもパスボールが多い。投手が安心して投げられるかどうか。

中米のチームに共通することだが、ナショナルチームのマネージメントは、ややずさんなのではないか。チーム力としては上位だが、それが本当に発揮されるか、疑問が残る。

■後日談:ベネズエラはいいところまで行ったが、中で気になったのはイチローのライバルの一人、オルドニェスの不元気さだった。案の定、レギュラーシーズンも不調に終わった。

WBC鑑定団その2 Pool-C イタリア|2009WBC

2009226日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

ジョー・ディマジオが、現代の選手だったら、WBCではイタリアの選手として活躍しただろう。ビンセント、ドム、ジョーのディマジオ3兄弟が中心の打線なんて、わくわくする。みんなセンターだから、守備位置はもめそうだが。

イタリアはディマジオ以外にも、ビリー・マーチンや最近のピアッツァなど名選手を輩出してきた。しかし、正直言って今回は小粒である。

まずは投手から。ITALY-P

 

緑色は、イタリアのセリエA(野球プロリーグ)の選手。ヨーロッパではオランダと並ぶ伝統のあるリーグで、60年の歴史があり、五輪などではそこそこの実績を残している。最近はやや落ち目ではある。年間試合数は54。日本人選手はけっこういるようだ。

ともあれ、本場ではないから層の厚さが決定的に違う。STATSは入手できていないが、この緑色の選手がMLBやその下部組織の選手より力が上ということはないだろう。HPでは、代表メンバーが笑っている写真が掲載されている。

このメンバーでは、誰が先発になるのか、見当もつかない。グリリ、ディフリースというセットアッパーあがりが中心か。

続いて野手である。ITALY-F

 

マイク・ナポリにはぜひ出場してほしかったが、辞退したようだ。カタラナトと、元ロッテで前回も出場したパスクチが中心の打線になろう。打線、守備共に中以下という感じか。AAAのコンスタンツォ、チオフローネあたりに期待すべきだろう。

Pool-Bでは最弱とみなされるだろうが、野球はわからない。ベネズェラ、カナダに番狂わせをくらわせる可能性はないとは思わない。

 ■後日談:イタリアもまずまず健闘した。ニック・プントの活躍が記憶に残っている。

WBC鑑定団その1 Pool-C カナダ|2009WBC

2009225日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

この1か月ほど、私が仕事もそこそこに何を一生懸命やっていたかと言うと、WBC観戦に向けた、完全なロースター表の作成だった。前回の時もそう思ったのだが、マスコミは日本とアメリカの選手は熱心に情報を伝えるが、他国の選手については冷淡だった。

でも、野球というスポーツが世界でどのように競技されているかを知る最大のチャンスだし、MLBの国際性を知る上でも貴重なのだ。何より、私は世界中で、野球というマイナーな競技を愛している人について、もっと知りたいと思う。

で、MLBの公式サイトの一次ロースターをエクセルに貼り付けて、そこにSTATSを入れていった。MLBの選手は簡単なものだが、マイナーの選手になると少し厄介である。中には元MLBもいる。元マイナーリーガーもいる。さらには、NPB、KL(韓国リーグ)、メキシカンリーグにチャイニーズタイペイ、各リーグのSTATSも入れていかなければならない。

ヨーロッパはほとんどお手上げだ。そもそもSTATSを公開するという発想がないから、HPは選手や幹部が笑っている写真だけだ。中国、キューバも難しい。

だから、STATSは穴だらけなのだが、それでも何とか作り終えた。今日、28人の最終ロースターが発表になったので、絞り込んだ。

併せて、1次ロースターにあって選からもれた、あるいは辞退した選手のリストもつけた。この辞退リストは、各国のWBCにかける真剣度、熱意を表していると思うからだ。

で、それをプールごとに紹介して、思うことを付け加えようと思う。

最初はPool-C。実はPool-Aの韓国、台湾のSTATSがまとめきれていないのだ。

STATSは、直近のものである。ただし、調整目的などでMLBプレイヤーがRやAでプレーしたというような記録は省いている。

できれば開幕までに終わらせたいので、1日に2~3本は出していきたい。そんなマイナーなSTATSなんて、誰も見ないって?だって、オタクなんだもん。

 まずはカナダ。投手を見てみよう。CANADA-P

 カナダを代表する投手と言えば、SEAのベダードだが、この選手ははるかに以前に辞退していて、1次ロースターにも入っていない。そして、それに続くフランシスは左肩手術で今季絶望、2チームで5勝ずつを挙げたハーデンも「肩の調子が」と辞退。投手陣の主軸はマイナーリーガーが担うことになった。また、ブルペンはコマ数も足りないので、元メジャーリーガーが二枚入っている。ひょっとすると、速球派の中継ぎ、クラインが八面六臂の活躍をするかもしれない。何せ100マイルクラブの一人でもあるし。SP、RPの区別も暫定的と言っていいだろう。

次は野手である。CANADA-F

弱体投手陣に比べ、野手はMLB級。大黒柱モルノーに、今や若手捕手のトップに位置するマーティン、ベイという陣容は、十分に戦える。ただ守備のかなめの2B、SSに人がいないのが弱点か。打線は中よりも上のクラスだろう。

カナダのMLBチームは今、たった1つになった。MLB人気はやや退潮気味なのではないか。ただし、一発勝負だし、マイナーの投手にしてみれば名前を挙げる最大のチャンスだから、USAかベネズエラを食うことは十分にあり得るだろう。ラッセル・マーティンは、投手の防御率を向上させるリードで定評がある。俊足強打と共にじっくり見たい。

 ■後日談:カナダチームはあっけなかった。今のカナダにおけるMLBの不人気ぶりを象徴しているようである。

京セラドーム所感|2009WBC

【2009年2月25日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

結局、昨日の試合は、オーストラリアがどうのというよりも、原ジャパンが「世界」というあまり経験していない相手に対し、どのように準備を進めてきたかを問うものだった。その象徴がボールであり、球数制限だったのだが、ダルは昨日に限れば対応が不十分だった。岩隈の順調さが目立った。そういう意味では、世界を知っている松坂は、今日、うまくやるのではないだろうか。

打線は中心がないという感じ。4番稲葉もつなぎに徹していたし、9番岩村も中軸のような仕事をした。今回の日本は、イチローが精神面だけでなく、打線をも引っ張る形で行くのだろうか。あまり見ない形だと思った。

守備でいえば、川崎、片岡が2、3塁を守り、福留が中、左を守るなど、WBCならではのシフトが見られたが、これは大丈夫だろうと思う。ただ、城島はいい肩を見せたが、捕手は彼に任せきりでよいのか。コミュニケーション面がやや不安だ。

 いいなと思ったのは、球場の「音」がしっかり伝わってきたこと。球審の白井さんのかん高いコールや、ミットの音がしっかり聞けた。また、イチローの一挙手一投足に上がる歓声はちょっと感動的だった。

幼稚園のお遊戯みたいなどんちゃん応援が苦手なだけに、久々、気持ちの良い観戦ができた。

 私ごとながら、アサヒスーパードライのうまかったこと!家では、なんたら70%オフの緑のビールまがいしか飲ませてもらえないから、久々の「本物のビール」が心にしみた。長い紙コップを2杯、立て続けにあおったら、スコアブックが途中で抜けてしまった。

 東京出張が3/2に決まったので、夜、チャイニーズ・タイペイと巨人を見ることにした。また、うまいビールを飲むぞ、じゃなくていい試合を見るぞ!

20090224-04■後日談:試合観戦のスタイルについては、このブログでたびたび論争を呼んだ。しかし、個人の好みとしては、やはり静かに観戦したいと思っている。

5人の投手の印象|2009WBC

【2009年2月25日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

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帰宅してJ-SPORTSの放送を見てたら、ダルはボールの違和感と、サイン確認でてまどっていたようだ。北京五輪の時から思っていたのだが、ダルは非常に神経質で、その上一人相撲をとる傾向があるような気がする。

WBC本番の球数制限は、球数の多い日本人投手にとって、マウンド上での修正ができないうちに降板するという事態になりかねないと思う。

岩隈は、その点のびのび投げていた。格下の打者を見下ろしている感じ。教科書どうりに変化球を投げて三振をとっていた。この投手も国際試合で調子が出せなかった印象があるが、二段モーションの問題など浮き沈みを経験したことがプラスになったのか。ずいぶんフォームが変わったなあ。

岩田、田中は本来のピッチングという感じ。気負いよりも、登板する喜びがあったように思った。

ただ、ラストの馬原はセの石原との相性がいまいちだったように感じられたが。

いろんな意味で、短期決戦の難しさが表れているのだろう。

まあ、豪華な投手リレーを見せてもらって、嬉しかったですが。

 ■後日談:この5投手のうち、順調にシーズンを終えられた選手は田中くらいだ。彼にしても欠場している。大変な戦いだったのだ。

オーストラリアというチーム|2009WBC

【2009年2月25日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

おそらくは豪もすでに28人の最終ロースターを発表していると思う。

今夜のオーダーは、そのロースターから主力が抜けて、おもにAMLB(オーストラリアメジャーリーグ)のメンバーが中心だった。20090224-1

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シートバッティングやノックを見ても、動きは緩慢で、中にはよっこらしょという感じで投げる野手もいた。大学野球の下のほうのランクと言う感じだった。

私は昨年、女子野球のワールドカップの準決勝、決勝を見たが、その時のオーストラリアのノックも、日本では考えられないほど緩慢で、それを見る限りでは大人と子供くらいの差があるように感じられた。

しかし、実際に戦ってみると、日本は勝つには勝つのだが、けっこう攻めあぐむ上に、打ちこまれるのである。

今回の試合もこのメンバーで日本から8安打も奪った。

彼らはチームプレーや、守備の鍛え方などは日本にはとても及ばないが、個々の選手のポテンシャルは決して低くないのだ。

このメンバーなら勝てるだろうが、この種のまとまりを感じさせないチームでもポテンシャルがさらに高くなれば、日本から勝利をうばう可能性が出てくるのだ。

個々の選手の実力だけで戦う他国のチームに、まとまりや戦略で対抗するという日本野球の特質が、この試合でも表れていた。

■後日談:オーストラリアのMLBは今後、かなり良い人材を輩出するだろう。本家MLBが支援をしているのだ。

イチローが真っ先に駆け出して行った|2009WBC

20090224-ichiro-massaki

【2009年2月25日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

6:30、豪のシートノックが終わると、1塁ベンチ前でのキャッチボールもそこそこに、真っ先にイチローがグランドに駆け出して行った。本当に気合が入っているという感じで、一つ一つの動作に力がみなぎっていた。津波のような大きな歓声が沸き、フラッシュがまたたいた。ライトで屈伸運動を終えるとキャッチボール。遠くの席だったが、イチローは大きく感じた。後姿が本当に格好よかった。

ノックを受ける動きがいいと感じられたのは、セカンドの岩村。ファーストの小笠原。

巨人との練習試合とほぼ同じメンバー、現在の日本のベストなのだろう。

先発はダルビッシュ。この投手は、相当プレッシャーがかかるタイプのようで、先頭打者に三球続けてストライクを投げ込んでヒットを浴び、そこから流れが悪くなった。

城島との相性はあまり良くなかったようで、マウンドで打ち合わせをする様子が見られた。

国際試合で、日本はいつも立ち上がりにもたつくのだが、今回も同様の展開だった。

 ■後日談:このときのスタジアムの拍手は忘れられない。イチローはすでに重たいものを背負っていたのだろう。

2009年のイチロー、松井秀、松坂の予測|MLB

【2009年2月23日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

私は子供の頃から宇佐美さんの野球記録の本を買っていた。1978年にMLBの放送が始まったころには、マクミラン社の「ベースボールエンサイクロペディア」がほしくて、後楽園球場下の「野球博物館」まで行ったこともある。お姉さん(学芸員?)に「銀座のイェナ書房にありますよ!」と言われて、今はなき洋書屋さんに駆けつけた。分厚い本は感動的だった。アーロンからはじまって、ただの1試合でもMLBに出た選手はすべて網羅されている。当時は4年に1度発行され、本は年々巨大化していったが、買う人がいたのだ。

アメリカは野球の本場であると共に、STATSでも圧倒的な質・量・歴史を誇っている。その執念と熱意、さらにはそうしたSTATSを愛好する人々の層の厚さには驚嘆するしかない。そういえば、「ユニバーサル野球協会」という小説もあった。

STATSへのこだわりは、アメリカ独自のものだと思う。WBCの選手について調べようと思って、各国のプロ野球の記録を見ているが、他国は全く未整備だ。イタリアなどSTATSのページそのものが閉鎖されているし、台湾もいい加減だ。日本がかろうじて追随しているが、まだまだ及ばない。

アメリカ人は、野球だけでなく自国のスポーツを、STATSを通して評価し、尊重しているということなのだろう。

MLBのSTATSの本やサイトも凄まじい数が出ている。いろいろ面白いのがあるが、中で、ベースボールアナリストが予測した各選手の2009年のSTATSを並べているサイトがある。

http://www.fangraphs.com/

これでイチロー、松井秀の予測を見てみよう。yosokuiciromatsui

毎年の傾向だが、MLBの日本人に対する予測は辛い。

打者は4人のアナリストが予測しているが、イチローが今年も200本打つと予測したのは2人しかいない。WBCの影響や年齢もあるのだろう。メリーランド在住のショーン・スミスさんや、マルセルを主宰するトム・タンゴさんは実に辛い。

松井についての評価は更にきつくて、契約最終年でこの成績では、思いきり年俸を下げないと再契約も他チーム移籍も厳しいと思わせる。本塁打十数本で70打点では、SEAのベルトレくらいでしかない。

で、松坂はどうか、と見てみるとyosokumatsuzaka

これじゃ、サイヤング賞どころかエースとも言えない。並のピッチャーじゃないか。四球は少し改善されるが。

松坂の2008年の成績は、アメリカ人にはフロックだと思われているのだ。また、登板数が30前後というのは、2008年同様一時的にローテーションを外れる可能性を示唆している。(シーズン通してローテーションを守れば32~34登板)

このアナリストたちは、著書もあり、単なるアマチュアではない。その数字の根拠にはセーバーメトリクスがあるのだろう。

ただ、思うのは、このSTATS予測には、日本人のメンタリティの部分は入っていない。我々としては、そこのところを期待したいのだが。

シーズンが始まっても、深くて広いSTATSの海を泳ぎ続けたいと思う。

■後日談:松井、イチローはこの予測を上回ったが、松坂ははるかに下の成績に終わった。今年もこのサイトの予測を注目したいと思う。

 

山林(やまりん)がんばれ!這いあがれ!|MLB

【2009年2月22日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

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兵庫県姫路市(旧夢前町)にある日生学園第三高校野球部の山林(やまりん)芳則投手が、ATLと契約したのは耳に新しいニュースだ。私はこの日生3高を含む日生学園には、17年にわたる厚誼をいただいている。それだけに、他人事のような気がしない。

兵庫県は、高校野球では全国屈指の激戦区だけに、甲子園には行けなかったが、その素質は一部には高い評価を得ていたようだ。

余談だが、この日生学園は全寮制で非常にユニークな教育をしている。全寮制のメリットは、時間を気にせずとことん打ち込めることだ。勉強の面でも大学なんて夢のまた夢みたいなレベルで入学した子どもが、有名大学へ行ったりする。

山林君も、そんな感じで伸びたのだろう。野球専用のグランドもあるし、トレーニングジムもあるし、理想的な環境だ。

ただ、彼がこれから挑むMLBの世界は、甘くはない。今年BOSにアマチュア野球から田澤純一が入団したが、田澤と山林は全く評価が違う。田澤はすでにAAクラスの実力があるとみなされ、順調にいけば来年にはMLBのマウンドを踏む。横浜を退団した大家がAA、AAAと駆け上がって1シーズンのうちにMLBにあがったことがあったが、田澤は、NPBのプロ投手だった大家と同じ評価をされているのだ。

それに対し、山林は6月のオーストラリアでのMLBアカデミーを経て、ショートシーズンのルーキーリーグからスタートするのだろうが、ここからAAクラスにまで這い上がるのは、至難の業だ。8月中にシーズンを終えるルーキーリーグの、GCL・ブレーブスまたはダンヴィル・ブレーブスに入り、そこから過酷な競争が始まるのだ。

マイナーリーグのロースターを見ていたら、2006年に私立おかやま山陽高中退でATLと契約した島袋涼平が、GCL・ブレーブスにいた。2008年は1塁手として.253、1HR、RBI19。16歳でプロ入りして3年、今年の夏には山林のチームメイトになるかもしれない。

このルートでMLBまで這い上がった日本人はマック鈴木くらいである。

「もちろん、MLBまで上がる選手はほんの一握りだということは、彼も承知です。その上でがんばる、といっていました」

日生学園本部の先生のお話である。

可能性はないわけではない。誰にも等しく与えられたチャンスを活かして、ぜひ活躍してほしいものだ。

■後日談:山林選手は2009年12月現在、マイナーリーグのロースターに名前がない。記録も残っていない。消息は不明。学校に聞いてみよう。

シアトル・マリナーズの2009年を勝手に心配する(野手編)|MLB

2009222日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

さて、野手のロースターに目を転じると、多少はましな部分もある。SEA FIELD01

特に捕手は、他チームでレギュラーが務まりそうな選手が複数いる。城島に活躍してほしい我々にとっては、ちょっと気に入らないところだが。

1塁は、格でいえばスゥイーニーを使うべきところだが、調子によっては、ブラニャンでも良いと思う。2塁は昨季キャリアハイのロペス。3塁はベルトレが妥当なところ。契約最終年だから、LAD時代の打棒を見せつけてほしい。SSはべタンコートが好きなのだが、守備だけでいえばセデーノの方が上かもしれない。

さて、外野が問題である。このロースターにある外野手は全員、センターかライトが本職なのだ。イチローは今年ライトで確定、センター、レフトにグティエレス、チャベスなのだろうが、いかにも弱体である。

グティエレスと言うのは、どんな選手なのか調べて見た。SEA FIELD02

長打力と足はあるのだが、三振が多い。やや粗い印象である。この選手はどんなタレントなのか、このシーズンで見極めがつくだろう。ただ、守備面では定評があるようで、エリア51からセンターへかけての制空権は万全なようだ。チャベスもどちらかといえば守備の人だ。

DHは、もちろんグリフィだが、クレメントがその代役となる。日本人としては、クレメントはDH方面で頑張っていただきたいのだが。

外野手、1塁手という本来なら大砲をそろえるべきポジションに、専守タイプや計算できない選手がならぶのが、SEAというチームの苦しいところだ。

で、打順を汲んでみた。SEA FIELD03

 

グティエレスとチャベスはコンディションで交換可能。ブラニャンもどこかで使いたい。LAAに比べて貧弱だが、バランスの良い打線になるかもしれない。一定のオーダーをシーズン通じて固定できるなら、去年みたいなことはないだろう。

■後日談:2009年最大の収穫は、ブラニャンではなくグティエレスだろう。シーズン通して使える計算がたった。チャべスもよかったのだが残念なことに怪我。FAになっている。2010年も安くて使える野手を見つけることになるだろう。

シアトル・マリナーズの2009年を勝手に心配する(投手編)|MLB

2009221日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

私はイチローファンでSEAファンではないと思っていたのだが、ブログを書いているうちに情にほだされるようになって、いろいろ心配したくなった。

2/20現在のSEAの投手ロースターは以下のとおりである。

SEA PITCH01

AAA、AAクラスのプロスペクトも含めて30人。しかし、惨憺たるロースターである。先発では二桁勝っている選手がいないし、ブルペンは10Svが最高。しかもMLB選手で2点代がいない。よほど奮起しないと、この投手陣では厳しいように思う。

先発5枚を決めるとすると、ヘルナンデス、ベダードの左右2枚に、3番手はWBCオーストラリア代表を辞退してのローテーション入り参戦のローランドスミス。左だし、若いし期待したい。続く4、5番手は難問だ。二人で9勝29敗で年俸合計1900万ドル超のシルヴァ、ワシュバーンは信用できない。ここには、昨年プッツの穴埋めをしたモローが先発転向の予定だそうである。若さに期待したい。

そしてこれも、全くの未知数だがAAAで2008年後半に好成績をあげたクリス・ヤクバゥスカスだ。もう30歳だがキャリアは今年でわずか3年。2008年前半はAAで3勝0敗防御率0.83、WHIP0.98、そして後半はAAAで5勝1敗、防御率2.59、WHIP1.19。AAAでは55.2回で三振48、四球はわずか14だった。一度は試してもいいのではないか。

現実的にはシルヴァをローテーションに入れることにはなると思うが、若い投手の活躍を期待したい。

セットアッパーは、全員20代で。800万ドルのバティスタは使いたくないな。左も右も生きの良い投手がいるのだから、伸びてほしい。

で、最大の問題は、クローザーである。昨年実績だけで言うならモローになるのだが、彼を先発に回すと、あとが見当たらない。苦肉の策のコーコランだ。

SEA PITCH02

皆様のお考えもお寄せください。

 

■後日談:クローザーには、アーズマという全く予想外の人材が出てきた。SEAのストーブリーグはいつも危なっかしいのだが、2009年はまずまずだったのではないか。

男前!斎藤隆③勝負の年(全3回)|MLB NPB

3年目の2008年、斎藤は万全の体制ではなかった。後半戦に深刻な故障をし長期離脱、マウンドでの実績も2006、2007年よりも明らかに下がっていた。

それは被打率を見れば明白だ。

もともと、右投げの斎藤は、左打者に打ち込まれる傾向にあったが、3年目の2008年は左右共に.200以上打たれている。これは救援投手としては良くない数字である。本塁打は減ったが、四球が増え、打者との力関係が微妙に変化したことがうかがわれる。続きを読む

男前!斎藤隆②名勝負(全3回)|MLB NPB

MLBとNPBの野球で決定的に違うのは、対戦する打者の数である。仮に先発投手が32回登板するとして、NPBなら対戦チームは11チーム(うち6球団はインターリーグ)、当たる打者数はせいぜい100人と言うところだろう。打者1人当たりの打席数は6~7回。これに対し、MLBはナ・リーグなら21チーム、打者数は200人、1人当たりの打席数は3回程度である。リリーフ投手の場合は、さらに当たる回数は限定される。続きを読む

シアトル・マリナーズのお買いもの 投手編|MLB

2009218日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

昨日の野手に続いて投手である。これも長い表になってしまった。先発とリリーフに分けている。

SEA02

この表を見てわかることは、良い投手陣とは、分業がきっちりとなされている投手陣なのだということだ。投手の起用方針が明確でなければ勝てないのだ。

この8年間のSEAは、明確な分業のもとに数字を残してきた、ガルシア、モイヤー、ピネイロという先発3本柱を中心とした投手王国が崩れるストーリーである。2001年に5人いた二桁勝利投手が2004年にゼロになる。イチローの262安打した年だが、チームの投手陣はここで崩壊したのだ。

モイヤーが去ったもののヘルナンデスが成長した2007年は希望に満ちた年になったが、2008年、その希望は見事に吹っ飛んだ。先発もリリーフも惨憺たる有様。やたらと起用した先発投手がことごとく裏目に出た。

救援投手に目を向けると、佐々木なきあと、「クローザーを訪ねて三千里」みたいな感じだった。ようやく見つけたプッツだったが、2008年にはこれまた故障と不振にあえいだ挙句、三角トレードでNYMに移ってしまった。このトレード、プッツだけでなく、セットアッパーのグリーン、達者な外野手のリードも移籍している。この穴は相当大きいと思う。

余談だが、2008年、久しぶりにSEAのマウンドに立ったアーサー・ローズはだぶついた体でパッとしない印象だったが、数字上は責任を果たしている。2003年まで在籍した時も優秀なセットアッパーだった。シーズン中に早くもトレードされたが、こういう使い勝手の良い投手こそ大切にすべきではなかったのかと思う。

2009年、残ったのは、馬鹿な年俸の割に働かない投手ばかり。SEAは、ここに至るまでも単年契約で100万ドル以上の高給取りをしばしば補強しているが、ほとんど実績を残していない。無駄遣いは、本当に目に余る。野手以上に深刻な状態である。

ただ詳しく見れば、ベダードは2008年、休んでばかりだったが、出た時はそれなりの数字を残している。シルバは、去年の体たらくを見て愛創が尽きたが、ベダードとヘルナンデスに期待をかけることになろう。しかし、クローザーのめどは立っていない。

まだ、役者がそろわないうちに開演の時が迫っているという感じだ。

■後日談:ヘルナンデスがサイヤング級投手になったのは喜ばしいが、年俸が高いためにシルバをローテーションに入れて、黒星をかなり増やしたことが残念である。2010年は、さらに投手市場は厳しくなるが、どんな補強ができるだろうか。

シアトル・マリナーズのお買いもの 野手編|MLB

2009217日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

補強をめぐって、SEAファンの嘆きますます深い昨今だが、日本のSEAファンにとって原点ともいえる2001年以降、この球団はどんな選手を買ってきたかを、野手、投手に分けてみていきたい。なお、年俸は推定でESPNのサイトから引っ張ってきたものである。すごく長くて恐縮だが、じっくり見ると味がある。

なお、野手はそのポジションに一番多くついた選手をレギュラーとして置いた。数字は他のポジションで出場したものも含めてある。従ってブルームクィストのようなユーティリティプレーヤーは、出場試合が多くてもこの表に載らない。この表で、試合数、出場数が少ない選手が載っているときは、ポジションが定まらなかった=まずい事態、だと考えて良い。

SEA01

ひとこととでいえば、116勝した2001年の「栄光のオーダー」からのスクラップ&ビルトの物語である。一つの節目は2005年、捕手のDウィルソン、DHのEマルティネス、一塁のJオルルード、二塁のBブーンと、「栄光のオーダー」が大量に抜けて、新しいメンバーに一気に変わった。この年から、投資がどんどん裏目になっていく。それとともに年俸総額は上がっていき、ついには1億ドルを突破するのだ。

特に感じるのは、イチローの年俸と比してあまりにも高いと思われる選手たちのふがいなさである。イチローが年俸チーム1になったのは、2005年と2008年だけである。

良く言われるように2002年までGMの任にあったパット・ギリックと、その後任であるビル・バヴェジの手腕の差なのかもしれない。

 

2008年のどん底転落によって、2009年はまたもや再建の年を迎えざるを得なくなった。アブレイユ、グリフィと大魚を逃しているが、このままでは若手の奇跡的な成長でもない限り、お寒い結果になりそうである。

 

 

 

 

 

 

 

■後日談:GM交代によって、2009年の補強はある程度意味があったと思われる。ただし、精神的支柱グリフィは1年寿命が伸びたものの、チームの本塁打王ブラニャンがFAになるなど、予断を許さない状況である。

井川慶、元気か?|MLB

【2009年2月11日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

今年も憂鬱な1年がはじまる、と思っているかもしれない。同じ年にMLBに渡った松坂を光とすれば、すっかり影の存在になった感がある井川である。

NPBの実績は、まさに堂々たるものである。松坂もなしえていない20勝を挙げているし、完封数も見事なものだ。01年から06年までの6シーズンで84勝56敗、完投35、完封15。同時期の松坂は78勝48敗、完投60、完封14。そん色がない。左腕でもあるし、NYYが“松坂クラス”と思ったとしても無理はない。

しかし、MLBへ行ってからのこの大きな差は、本当にどうしたことだろうと思う。

実質的な試用期間は、2007年の4月から5/4までの6回の登板だった。同じ時期の記録を松坂と比べてみよう。

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立ち上がりのわずか6試合、しかも内容的に松坂と決定的な差はないのに、どうして井川だけが失格の烙印を押されたのか。一言でいえば「学習力」の差だと思う。松坂が登板を重ねながら少しずつ修正をし、MLBに適応していったのに、井川は良い日があるかと思えばまた逆戻りする。何かをつかんで投球が変わったのではなく、調子が良ければ通用するという内容に終始したのだ。下位チームならともかくNYYで、この種の投手が先発をつとめるのは難しいのだろう。

井川は、阪神時代も他の選手とあまり交流のない投手だと言われた。MLBに移ってからも文化の違いを埋めたり、チームや上層部と交流を深めることには積極的でなかったといわれる。入団会見でのあの恐ろしく稚拙な英語のコメントを思い出すが、そうした子供っぽい部分が、MLBではマイナスに働いたのかもしれない。日本では野球バカでも通用するが(例えば中田翔)、アメリカでは選手である以前に一個の独立した人間として、野球以外のことにもちゃんと渡り合うことが求められているのだと思う。

以後、マイナーリーグに沈んだ井川は、2008年もチャンスらしいチャンスは与えられることはなかった。マイナーでは、彼はどんな成績を上げていたのか。

井川の2008年までのSTATSで彼の現状を見てみよう。

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井川は2008年AAAのインターナショナルリーグで最多勝争いをし(2位)、防御率は4位、リーグを代表する投手になっていた。

のんきなこの男は、MLBではなく、マイナーリーグですっかり適応していたのだ。なんとなく笑いを誘う話ではある。ただし、こういう形で安住してしまった投手が、MLBで再び活躍するケースはそれほど多くない。

2009年、NYYは井川にほとんどチャンスを与えないだろう。すでに全く信頼されていないからだ。年俸が凄まじく高い(400万ドル)ため、獲得に動くチームも少ない。

今、井川に必要なのはぬるま湯のような現実に甘んじるのではなく、自分の意思で事態を打開することだ。年俸を破棄してでも、他チームに移ったらどうなのか。

■後日談:今年はついにNYYで姿を見なかった井川である。すでに日本人投手の3Aでの通算記録を更新しているのではないか。達観したような2009年だった。

ジアンビはA-RODをどう思っているのか?|MLB

2009211日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

konootoko上は、ほぼ同時期にアリーグで活躍した、ジアンビ、A-ROD、マ二―・ラミレスのSTATSである。

BS1を見ていたら、オバマの記者会見をやっていて、ESPNの記者が「アレックス・ロドリゲスが薬物使用を認めましたが?」と質問していた。A-RODの薬物使用していたのは6年も前の話なんだけど、と言いたかったが、マスコミにとっては格好のネタなのだ。この点、日本もアメリカも変わらない。オバマは「私も残念だ」みたいなことをいっていた。要するにA-RODの一件は、大統領の記者会見でも取り上げられるような天下の大ごとになったわけだ。

ところで、昨日、薬物疑惑のことをブログにした時に、一人、大物を忘れていた。ジェイソン・ジアンビだ。彼はアリーグしか知らない男だから、一連の薬物疑惑は打者に限りナリーグが舞台だ、とは言い切れない。訂正させていただく。

今ではジアンビは、盛りを過ぎたスラッガーであり、2008年などは、引っ張り一本やりの彼のために敵が編み出した「ジアンビシフト」の裏をかいて、流し打ちでせこい安打を稼いだりしていたが、ある時期まではアリーグの最強打者だった。

そのことが、上の表でもよくわかる。

2000年、2001年は、OPSでもRCでもRC27でもリーグ最高。2000年はMVP、2001年はイチローにMVPを奪われたが2位だった。特に1試合あたりの打撃の濃度を示すRC27の数字がすさまじい。ジアンビは長打力だけでなく、選球眼も抜群で、その点でもナのボンズに対抗するアの最強打者だったのだ。これが薬物のおかげなのかどうかは判断できない。ただ、99年ごろから長打力が急伸しているのが気になるところだ。

これが、2003年に薬物疑惑が浮上すると成績が落ち始め、2004年に薬物使用を議会で証言。その前後に腫瘍があることがわかり、野球どころではなくなっていくのだ。マグワィアのように引退するかと思ったが、さにあらず。打率は急落し、長打力も錆びつき始めたが現役を続行する。2005年にはカムバック賞をもらったが、往時のすごさはもはやない。2009年はNYYを追われ、8年ぶりに古巣のOAKに復帰することになった。

ジアンビは今、NYYの同僚だったA-RODのことをどう思っているのだろうか。正直に薬物服用をカミングアウトし、世間の非難の目を背中に感じながら苦闘してきたジアンビにとって、同時期に薬物使用を隠して素知らぬ顔で自分を追い抜いて行ったA-RODは、卑怯者に映っているかもしれない。

真偽のほどは知らないが、NYYの前監督であるLAD監督のジョー・トーリは、NYYの暴露本でA-RODのことを詐欺師と書いているという。これ、今回の薬物疑惑と関係があるのだろうか。

それから、もう一人の大物、マニー・ラミレスは2003年の薬物検査で陽性は出なかったのだろうか。

■後日談:結局、ナチュラルな強打者はプホルズぐらいしかいないということに落ち着いている今日この頃である。

わからん!A-ROD|MLB

2009210日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

今、A-ROD周辺でいろいろ騒がれていることは、6年も前のことだ。MLBが不作為で実施した薬物調査で、彼を含む104人の選手が陽性反応を示した。MLBでは、薬物規制は2005年からの話なのでそれ自体、罰則はない。

では、何が問題かと言うと、当時すでに薬物問題が大きくクローズアップされていたにも関わらず、A-RODまでもが薬物に手を染めていたこと、それを彼が自主的に告白しなかったことだろう。

これからどんな展開になるのかはさっぱりわからない。A-RODの殿堂入りはこれで消えた、という声もあるがどうだろうか。

ただ言えるのは、少なくとも規制の直前まで、MLBの選手の一部は、成績を上げるための「努力」の一つとして薬物(サプリメント)を普通に服用していた。ということだ。

以下は、MLBの一連の薬物騒動と、主要な本塁打者の記録、そしてリーグの本塁打率を時系列で並べたものである。

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これを見ると、いくつかのことが分かる。

従来の薬物疑惑は、こと打者に関する限りナショナルリーグを主たる舞台としている。そして、本塁打に関する限り異常現象は、98年から2001年に集中しているということだ。

98年にナショナルリーグの本塁打率が跳ね上がり、マグワイアとソーサの本塁打競争曲が開幕。追いかけるようにボンズの体重が急増し、70本クラブに加入。この3人の本塁打王が異常な本数を打ったのは、この4年間(のうちの3年)に限られているのだ。

A-RODは、一連の疑惑の本塁打王とは、多くの点で異なっている。彼はアリーグの選手であり、3人の疑惑の本塁打王とはピークが違う。しかも、2003年以降も本塁打数は落ちていない。

端的な疑問として、A-RODは何のために薬物を使用していたのかがわからない。この数字を見る限り、薬物は何ら役に立っていない。2003年以降も薬物を使用し続けているのなら話は別だが。

また、97~99年にアリーグでハイレベルで本塁打を量産していたグリフィはこの問題と関係はないのか。

今回の騒動ではA-RODだけでなく、100人を超す選手が薬物使用で引っ掛かっていたことが明るみに出た。その名前がすべて公開されれば、大きなインパクトを与えるだろう。彼らはリスクを冒して2003年に至っても、薬物を使用していた。ファンを裏切っていたのだ。黒に近い選手の数は急増するだろう。

結局、薬物に対するMLB選手の認識は、そうとう甘いということは言えるだろう。そして、何とか逃げおおせようとする意識が不信を生んでいる。下手をすればこの時期の記録全体が「参考記録」になる可能性があるのではないか。

 ■後日談:2009年はマニー・ラミレス、オルティーズが薬物によって、不満足なシーズンを送ることになった。個人的には、この手の話は終わりにしていただきたいのだが。

男前!斎藤隆③勝負の年(全3回)|MLB NPB

2009211日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

3年目の2008年、斎藤は万全の体制ではなかった。後半戦に深刻な故障をし長期離脱、マウンドでの実績も2006、2007年よりも明らかに下がっていた。

それは被打率を見れば明白だ。

もともと、右投げの斎藤は、左打者に打ち込まれる傾向にあったが、3年目の2008年は左右共に.200以上打たれている。これは救援投手としては良くない数字である。本塁打は減ったが、四球が増え、打者との力関係が微妙に変化したことがうかがわれる。

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2009年ははじめてのア・リーグ、BOSでのシーズンを迎える。故障持ちで今年中に39歳を迎える斎藤をとるのは、ダメもとの意味もあるのか、とも思ったが、今年のBOSの救援ロースターを見る限り、そうではないと思われる。

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救援投手の中で斎藤は最高年俸なのだ。クローザーは働き盛りのパベルボンで決定。また左のセットアッパーは、岡島と使い減りのしないハビア・ロペスがいるが、右は先発の可能性もあるマスターソン、デルカーメンがいるもののピリッとせず、移籍組のラモン・ラミレスと岡島に相当の期待がかかっている。

ア・リーグの打者とは対戦数が少ないだけに、斎藤が普通の調子であればまだ通用する可能性は高い。故障がいえていれば、岡島とともに日本人のセットアッパーが左右の両輪となる可能性もある。

ただ、本人の気持を忖度すれば、斎藤は十分に満足しているのではないかと思う。日本でリタイアしてもおかしくない年齢からMLBにわたり、最もレベルの高い舞台で活躍できた。これって、男の夢ではないかと思う。

今、斎藤は野球を楽しむ境地にあるのではないか。

■後日談:2009年は56試合に投げて3勝3敗2SVERA2.43、WHIP1.35。WHIPはやや高いが、まず満足できる成績だ。2010年の斎藤はまだ期待できそうだ。12月4日、ATLへの移籍が決定。まず、喜ばしい。

男前!斎藤隆②名勝負(全3回)|MLB NPB

2009211日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

MLBとNPBの野球で決定的に違うのは、対戦する打者の数である。仮に先発投手が32回登板するとして、NPBなら対戦チームは11チーム(うち6球団はインターリーグ)、当たる打者数はせいぜい100人と言うところだろう。打者1人当たりの打席数は6~7回。これに対し、MLBはナ・リーグなら21チーム、打者数は200人、1人当たりの打席数は3回程度である。リリーフ投手の場合は、さらに当たる回数は限定される。

斎藤が3シーズンであたった打者の数は263人。対戦数が一番多いのは、マット・ホリデ―、ランディ・ウィンの11打席である。対戦した263人のうち、安打を打たれたのは84人、うち2安打以上打たれたのは19人にすぎない。

斎藤から2安打以上奪った現役選手を並べてみる。

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左打者が多いようだが、傾向ははっきりしない。斎藤をカモにするARIのバーンズは俊足の右打者だが、2008年の打率は.206にすぎない。斎藤は9本塁打を打たれているが、2本打たれた打者はいない。

 

 

 

 

同じナ・リーグ西地区ということで、バリー・ボンズとの対戦はいかに、と思って調べ始めた。ちなみにボンズは、LAの先輩の野茂英雄がMLBで最も多く対戦した打者であり、59回の対戦で12安打を打たれ被打率.267、被本塁打4、三振11、四球11、敬遠3という記録が残っている。

1打席ずつの記録を調べ始めて、じわっとため息が出た。6回の対戦成績を味わっていただきたい。

saito-02-02

 

 

 

 

 

ボンズは、6度の対戦、33球投じられた斎藤の球を、ただの一度も空振りしていないのだ。ストライクはすべて見逃しかファウル。凡打も2つ取っているが、三振は1度も取れていない。そして3四球の内、1敬遠を除く2つは、フルカウントからボールを見極めたものだ。

ボンズと対戦した6試合のうち、5試合でSv、BlSvを取ってはいるが、斎藤はボンズを打ち取ったという感じがしなかっただろう。

ボンズの恐ろしさは、この斎藤との対戦にも端的に表れている。フリー・スゥインガーとは全く異質の存在なのだ。

このボンズとの対戦だけでも、斎藤はMLBに来た値打ちがあったと思っているのではないだろうか。

 ■後日談:これを書いた時点でボンズはまだ現役選手のように思っていたが、今では歴史上の存在のように思える。フランク・トーマスなどもそうだ。歴史が積み重なるスピードの速さを思う。
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最近メディアからいろいろお話をブログにいただくようになりました。迂闊なことに、殆ど対応できていませんでした。ご連絡は下記までお願いいたします。

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広尾晃と申します。

ライター稼業をして、かれこれ34年になります。

2009年1月に、SportsNaviで「MLBをだらだら愛す」というブログを開設、12月には「野球の記録で話したい」を開設。多くの皆様にご愛読いただきました。2011年11月、livedoorに引っ越し。基本的な考え方は変わりません。MLB、NPBの記録を中心に、野球界のことをあれこれ考えていきたいと思います。多くの皆様に読んでいただきたいと思いますが、記録や野球史に興味と尊敬の念を持っていただける方のサイトにしたいと思います。特定の球団のファンの方も大歓迎ですが、「ひいきの引き倒し」的な論調には与しません。

広尾晃はペンネーム。本名は手束卓です。ペンネームは、小学校時代から使っていました。手束仁という同業者がいるので、ややこしいのでこの名前で通しています。ちなみに手束仁はいとこです。顔もよく似ています。
私が本名を隠しているかと勘違いして、恐喝のようなコメントを送ってくる犯罪者まがいがいるので、あえて公表します。


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