野球の記録で話したい

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松井秀喜は来季、どこにいくべきか①|日本人MLBプレイヤーの2009-06

ウィンターミーティングが終了した。予想されたことだが、松井の身の振り方は決まらなかった。NYYはデーモンと交渉を始めたようだが、厳しい駆け引きになっているようだ。松井との交渉は週明けになりそうだが、これもハードになりそうだ。年俸の問題よりも、NYYが松井をDHとしてしか見ていないことが大きな焦点になりそうだ。

各チームの動きも鈍いが、今日は、松井の移籍がうわさされる7チームの現在のロースター、STATSに松井のSTATSを並べてみて、移籍の妥当性を検討してみたい。長いので、3回に分ける。

 まずは、同じアリーグ東地区からBOSである。

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前回も触れたが、BOSの左翼は狭いので松井秀喜でも守れるのではないかという見方がある。またローウェルの移籍がほぼ決定し、ジェイソン・ベイもチームを離れる可能性が高い中、中心打者が必要だ。

しかし、この顔触れを見てわかるのは、オルティーズが居座る限り、松井の居場所はなさそうだということだ。BOSとしては、外野はエルズベリー、ドリューにもう一人、守れる若い外野手をとるのではないか。ダメならFLAから11月5日に移籍したハーミダがいる。昨年一度も守っていない松井をフルタイムのレフトで入れるような冒険はしないと思うのだが。

 アリーグ中地区のCWS。

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監督のギーエンが松井に興味を持っているとも言われたが、果たしてどうか。RBIのとれる松井は確かに魅力だろうが、費用対効果で考えてメリットがあるだろうか。1300万ドルのジム・トーミをシーズン途中に放出したチームが、松井秀喜を雇うとすれば、大幅な年俸ダウンがあったときだけではないか。お買い得価格のアンドリュー・ジョーンズとDH、外野兼務で競うとすれば、そんなに高い年俸は考えられない。

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マイク・ローウェルBOSを去る|エピソード2009‐04

FOXのニュースによるとBOSの三塁ローウェルとTEXの若手捕手マックス・ラミレスとのトレードが成立の運びとのこと。

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ローウェルはベケットとともに2006年FLAからやってきた。とにかく引っ張り一本の右打者と言う印象だが、打球は鋭い。

2007年ワールドシリーズのMVPであり、この年には120打点を挙げている。もともと打率は.280前後の打者であり、打点はともかく.324と言う打率はややフロックと言う見方もされていた。しかし、この年のFA市場では評価が急騰した。ローウェルは他球団の高額の誘いを蹴ってBOSと契約し男を上げたが、2008年、2009年は股関節の故障などもあり、満足な成績を上げられなかった。

ガンを克服するなど話題性の多い選手であり、代々スター選手が守ったBOSのホットコーナーが良く似合う選手だった。守備も堅実だったように思う。プエルトリカンだがキューバ出身で、ドイツ系の血も入っていて、ヨーロッパ人のような魁偉な風貌だった。

しかし、35歳と言う年齢と1200万ドルと言うサラリーがネックとなった。

交換相手のマックス・ラミレスは24歳の若手捕手。2009年はMLBでは出場していない。2008年は17試合に出たが、12個もの盗塁を許し阻止率は.200。どちらかと言えば、バッティングの評価の方が高い。特に本塁打がよく出る選手だ。

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ビクター・マルチネスを正捕手とし、バリテックが控えに回るBOSの3番目と言う位置づけか。ローウェルとはとても引き合わない。百貫のかたに編笠一蓋という感じだ。

今年は松井と言い、デーモンと言い、ローウェルと言い、このクラスの選手が大変な目にあっている。

空いた三塁。BOSは、LAAとベルトレを争奪するのか?それほどの価値があるとは思えない。むしろ、無名でも若手を引っ張ってくるか、AAポートランドのヒメネスなどプロスペクトを起用するか。BOSの野手陣は、ユーキリス、ペドロイア、エルズベリーと生え抜きが中核になりつつあるだけに、その方が好ましいように思う。

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松井秀喜は守ることができるのか?|日本人MLBプレイヤーの2009-05

2009年、MLBで規定試合数を守った左翼手は以下の13人である。これをRFの高い順に並べた。RF(RangeFactor)とは、刺殺+補殺をイニング数で割って9倍したもの。つまり1試合当たりどれだけのアウトをとったかという数字だ。それほど信頼されている数値ではないが、守備範囲の広さ、処理した打球の多さを端的に表している。ちなみに、ZR(Zone Rating)は、STATS.Incという会社が個々の野手の守備を測定した、本来の守備位置で処理するべき打球をどれだけ処理しているかという数値。小さい方が良い。

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偶然だろうが、アリーグの左翼手の方が成績が良い。なかで、デーモンの数値の低さが目立っているが。

これに対比するに松井秀喜の2008年までの守備成績である。

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守備率は中の下、RFは2.00前後。ひざを痛めていないときでも、松井は並みの左翼手だったと言えよう。もっとも、数字に表れない部分では、返球が的確で速いとか、キャッチングも正確だとか、長所はなくはなかったが。

さて、FAになったジェイソン・ベイの移籍の可能性が高まる中で、松井秀喜のBOSへの移籍の可能性が取り沙汰されている。BOSにはオルティーズというDH専業打者がいるから、松井は守らなければならない。そのことについて考えてみよう。

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BOSのフェンウェイパークの左翼は、MLBで最も狭い。この位置は一昨年まで6年にわたって、マニー・ラミレスのものだった。ラミレスはクッションボールの処理には優れていると言われていたが、RFで見る限り、守備機会数は最低の部類だった。無理に追わずに2塁打にするか、センターに取らせるか、マニー・ラミレスの守備はその程度だった。

一昨年後半、マニーはLADへ去り、PITからジェイソン・ベイがやってきた。左翼を守った当初、RFは低かったが、2009年になって数値は飛躍的に向上した。ベイは決して守備の評価が高い左翼手ではないが、狭いフェンウェイの左翼では、それなりの数値を上げることが可能なのだ。「比較的優しいポジション」と言っては語弊があるだろうが。

松井秀喜は、少なくともマニーよりもましな守備ができれば、BOSの左翼は務まる可能性がある。1300万ドルという高給を多少は下げなければいけないだろうが、NYYに匹敵する華やかなステージで活躍する余地はあると思う。

ただし、BOSはセイバーメトリクス信者である。また、NYYと異なり堅実な先行投資を計画的に行ってきたチームである。それを考えると移籍の可能性は高くないとも思う。

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カーティス・グランダーソン、NYY入り決定|エピソード2009-03

現地12月9日は、ウィンターミーティングで大きな動きがあった。中でもDETのセンター、カーティス・グランダーソンのNYY入りが決まったことは、松井秀喜のみならずNYYのFA野手陣にとっても大きな意味があるだろう。

グランダーソンは来季29歳。メルキー・カブレラよりも3歳上である。

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今年、30本塁打を打って注目されたが、ほとんどが1番での起用だっただけに打点は74。打率も.249である。四球は多く、打率の割に出塁率は高いが、三振も多く粗削りな印象だ。

以下は守備のSTATS。

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さらに、MLBの左翼手のSTATS。

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守備は、RFが2.63(MLB全体で8位/20)、守備率は.993(MLB全体で8位/20)と目立つものではないが、出場イニング数1384は1位。つまりMLBで最も多く守備についたセンターだ。(もともとRFやZRなど外野守備の評価ポイントは、投手陣が弱体なチームほど高い傾向にある。守備率ともども信ぴょう性はそれほど高くない)

 2009年、NYYの外野陣はやりくりの連続だった。

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その最大の原因は、ゼビア・ネイディの離脱にあった。BOSのジェイソン・ベイと同じような形で2008年後半、PITからNYYに入ったネイディは、2009年ライトのレギュラーが約束されていた。しかし、ひじの故障で7試合の出場にとどまったために、予定が大きく狂った。レフトはデーモン(132試合)ライトはスィッシャー(130試合)が一応守ったが、メルキー・カブレラがセンター(103試合)、ライト(48試合)、レフト(40試合)を掛け持ちした。守備面でも、攻撃面でも大きな誤算が生じたのだ。

グランダーソンの獲得は、まず第一に、外野のレギュラーを固めたいというNYYの意向の表れだと思う。第二に2009年はまずまず成功した1番ジーター、2番デーモンという攻撃のフォーメーションを見直すことを意味しているだろう。グランダーソンに「大きいのが打てる1番」を期待し、2番にジーターという形ではないだろうか。

グランダーソンの獲得は、NYYが若返りを断行しようという意思の反映だろう。彼の獲得によって、松井のみならずデーモンの残留も厳しくなったのではないか。

来季、NYYの外野陣は、グランダーソン(来年29歳)、メルキー・カブレラ(同26歳)、スィッシャー(同30歳)という形ではないか。あるいは、スィッシャーに代わってガードナー(27歳)や、他チームからさらに獲得することも考えられると思う。

「松井との契約は必ずしも必要ではない」というキャッシュマンGMのコメントに、松井秀喜サイドは腹をくくったのではないだろうか。

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松井秀喜、コストパフォーマンス|日本人MLBプレイヤーの2009-04

松井秀喜は、今、FA状態にある。12/3ニューヨーク・ヤンキースは松井との年俸調停を申請しなかった。平たく言えば、NYYにとって、松井秀喜はどうしても戦力として確保したい選手ではないということだ。

この前3回で紹介したように、松井はトータルで見れば、A-RODとそん色のない実績を上げてきた。しかも、まだ年間100打点を挙げる実力がある。チャンスで後続につなぐ能力も高い。さらに、イチローに次ぐ人気選手として、日本からのマネーや視聴者を引っ張ってくる力もある。にもかかわらず、NYYでの松井の優先順位は低い。

何が問題なのか。一言でいえば、コストパフォーマンスが悪いのである。

以下は、MLB打者のRC1ポイント当たりのサラリーを比べたものである。打者を評価する数字には、本塁打、打点、打率、安打数、盗塁数など様々なものがあるが、それをすべて含んだ数値としては、セイバーメトリクスの1つ、RC(RunCreate)がある。複雑な数式だが、要するにすべての打者、走者が目指している「得点を生み出す」という能力を、積み上げ型の数字にしたものだ。

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RC1ポイントあたりのサラリーで見れば、A-RODはダントツの存在である。2009年は出場試合が少ないうえにかなり不調の年だったが、仮にA-RODのRCが、プホルズと同じくらいあったとしても、首位の座は変わらない。A-RODは、NYYという業界トップ企業の威信を象徴している。(もっとも、それは同時にボラスという敏腕=強欲代理人の凱旋記念碑でもあるかもしれないが。もう1、2年不振が続けば、A-RODはゲレーロやオルティーズのように、象徴的な存在ではなくなるのだが)

さて、松井はベスト10に入っている。イチローよりもコストパフォーマンスが悪い。ヤンキースには松井の上にA-RODを筆頭に、ジーター、タシェアラと単価の高い選手がいるが、その3人と比べても見劣りのするRCだ。

さらに言えば、守備面での貢献を考えるならコストパフォーマンスは大きく変わるはずだ。(ベスト10に入って、松井よりもRCの悪いトーリィ・ハンターは外野守備の名手だ。)

仮に守備での貢献ポイントを捕手50、内野手30、外野手20として、RCに加点すると以下のようになる。

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守備面での貢献度0の野手=DHが、さらに上位にくる。松井秀喜とデービッド・オルティーズである。この二人がおかれている境遇がくっきりと浮かび上がってくる。

このコストで、守れない松井は、非常に高い買い物なのだ。

言いかえれば、最も高給のDH。確かに成績の良いDHの一人でもあろうが、MLBでのDHは、守れる打者よりも評価が低いのだ。そもそもNYYのように、DHをベテラン打者の「半休」のために空けておくという発想もMLBでは、ありなのだ。RC上位80人の中に入っているDHは、わずか4人である。

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松井秀喜がMLBで生き残るためには、①サラリーを下げる とともに、②守備面で貢献できる ③打撃成績を向上させることができる ことを証明して、コストパフォーマンスを向上させなければならないのだ。

赤星憲広、突然の引退|エピソード2009-02

いったい何が起こったのかという感じだ。痛めた首のヘルニアが治らないために、赤星が現役引退するという。

個性が際立たない今のNPBにあって、際立った個性派の選手だった。小さな体でほとんど大きいのは飛ばさないが、こつこつ当てて出塁して、出れば走りまくる。これほど明快で、期待感を抱かせる選手もいなかった。

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単打数は1120本。安打数1276本の87.8%を占める。これはイチローの77.9%よりも10ポイントも高いのだ。打率も.296。昨年などは出塁率も.400に迫る勢いだった。

“阪神タイカープ”といわれるほど、他チームから主力を引っ張ってくることが多い、ミニNYYの阪神にあって、生え抜きで、1年目から活躍して、しかも人柄も良くて花があった。

はるか昔のサード三宅を思い出してしまった。なんとか翻意できないのか。1年でも2年でもリハビリをして復帰できないものか。

P.S.中心性脊髄損傷。9月12日の負傷が原因。コンタクトスポーツによる頚椎の過屈曲・過伸展でおこる.手のしびれ,何も触れないほどの痛み,自発痛が特徴。再度やると、下半身不随や命にかかわることも。球団が引退をすすめ、本人は現役にこだわったとのこと。悲劇だ。素晴らしい会見だった。

ショーン・フィギンスSEAと4年契約|エピソード2009-01

今朝送られてきたシアトル・マリナーズのメールマガジンによると、マリナーズはLAAのショーン・フィギンスと4年契約を妥結したとのこと。2014年はオプション。
これ、最近にないSEAフロントのヒットではないだろうか。ザエンシックGMはやり手である。

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2008年は2度ほど故障をして116試合にとどまったフィギンスだが、今季はほぼ全試合に出場し、183安打.298をマークした。素晴らしいのは四球を101も選び、OBP.395でリーグ7位。.386リーグ13位のイチローよりも上である。42盗塁も素晴らしい。2009年は特に、選球眼がぐっと良くなっている。
イチローよりも5歳下の31歳、脂の乗り切ったところ。3B守備は、守備率で4位だが、RFやZRではベルトレにそれほど見劣りしない。しかも、フィギンスは、外野としても平均点以上である。
ベルトレの穴は埋まって、余りある。イチロー1番、フィギンス2番か、あるいはフィギンス1番でイチロー3番か。イチロー自身がどうしたいかという問題はあるが、出塁数は大幅に増えそうだ。四球を選ばない選手ばかり集まってきていたSEAの戦略も変わるだろう。

年俸は平均900万ドルを超えるとされるが、その値打ちはある。ソーシアの秘蔵っ子が、よく出たものだ。不景気の中で、LAAは引き留める金額を提示できなかったのだろう。SEAは任天堂パワーで獲得したということろか。
ぬかよろこびは禁物だが、まずはめでたい。

松井秀喜、データで見る打撃特性|日本人MLBプレイヤーの2009-03

松井秀喜はクラッチヒッター=勝負強い打者なのか?打点稼ぎ=RBIイーターなのか。数字で追いかけてみることにしよう。

以下は、松井秀喜の得点圏、2死得点圏での打撃STATSである。

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今年、ナリーグで首位打者に輝いたハンリー・ラミレスは得点圏打率.373、2死得点圏は.453。イチローは得点圏打率.328、2死得点圏は.327。

今年の得点圏での松井の数字は芳しくない。とてもクラッチヒッターだとはいえない。おとなしい数字である。しかし、子細に見ていくと、松井の特質があらわれているのだ。

それは、四球が極めて多いこと。いずれも打席数の20%に迫る高率である。

得点圏、2死得点圏のいずれのSTATSでも、2009年の松井秀喜は、三振よりも四球が多い。

確かに2009年は、チャンスで松井に打席が回って、さあ頑張れ!とみているうちに、さっさと四球を選んで1塁に歩くシーンをよく目にした。

ファンにとっては、物足らなさが残るのだが、首脳陣にとっては得難い人材なのだと思う。多くの打者が打ち気にはやって、一瞬のうちにチャンスをつぶしてしまう中で、松井は少なくとも後ろへはつないでくれる。そのクレバーさを感じているのではないか。

松井の四球をシチュエーション別で見ると、以下の通りになる。A-RODと比較した。

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敬遠ではなく、自らの選球眼で選び取った四球で見れば、スコアリングポジションで、松井はA-RODよりもより忍耐強く打席に立っていることが分かる。値打ちのある四球を選んでいるのだ。

NYY監督のジラルディは、この12月3日「マツイが1週間のうち5日間プレーしても、ほかの主力を休ませることはできた。このやり方が非常に重要だと分かった」と語っている。そうしてでも使っていきたい打者だというのだ。なかなかそんな打者はいない。

ただ、玄人好みのこうした持ち味が、1300万ドルという高給をどれだけ裏打ちするか、という問題はあるのだが。

松井秀喜は今年、どうだったのか?|日本人MLBプレイヤーの2009-02

毎度お出ししている表だが、松井秀喜のライフタイムSTATSを見てみよう。

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下欄にMLBでの年平均STATSをつけた。この数字を見ると、仮に松井が162試合出ていれば、100打点は軽くクリアしていただろうと思わせる。この表を見る限りは、松井はまだ元気だ、と言えそうに思うが、さらに細かく見ていくと、新たな問題が浮かび上がってくる。

以下は、月間ベースでのSTATSである。

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2003年のMLB移籍以降、松井は2007年7月に月間MVPを獲得しているが、それ以外にも絶好調と言える月がしばしばあった。OPSで1.0を超える月が、1シーズンに1、2度はあったのだ。

それが、月間MVPをとった2007年7月を最後に、途絶えているのだ。2009年も7月、9月などは、好調だったとはいえるだろうが、OPS1.0は超えていない。OPSは、出塁率と長打率の和だから、長打が出ていても打率が低かったり、その反対だったりすると、数字は上がらない。

最近の松井秀喜は、好調が持続しないのである。2、3試合大活躍をしても、次の試合が無安打だったりする。その結果、月間ベースまでならしてしまうと、物足りない数字になるのである。

これは、松井秀喜という打者の年齢的な衰えを示しているのだろうか?それとも、モチベーションの問題なのか?いずれにせよ、最近の松井秀喜には「息切れ」という言葉が常に付きまとっている気がする。

松井秀喜とA-ROD|日本人MLBプレイヤーの2009 01

2009年10月4日、レギュラーシーズンの最終日、TBとの最終戦で、A-RODことアレックス・ロドリゲスは大爆発をした。3安打2本塁打、7打点。しかも打点は1イニングに稼いだもの。3ランと満塁の2本塁打。

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これによってA-RODは、30本塁打100打点に到達した。松井秀喜とA-RODは、この試合の前までほぼ拮抗するSTATSだったのが、たった1試合でこうかわるのだ。

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私は、ここにA-RODという打者の真骨頂を見る思いがした。何としても一流の記録を残したい。その執念が、1試合に凝集されている。この底力こそトッププレイヤーの証しだ。

それに引きかえ松井秀喜は…、といいたいわけではない。

片やMLB最高年俸の座を譲らないA-RODと、NYYでの去就が話題になる松井秀喜、その差は相当に開いているように思えるが、A-RODは松井をかなり意識しているのではないか、と思うのだ。

松井の方が1歳年長だが、二人はプロでのキャリアを同じ1994年にスタートさせている。20代前半からともに所属するリーグの最強打者になり、2004年NYYでチームメイトとなった。そしてそれから松井が大けがをするまでの2年に限れば、両者のSTATSは、本塁打こそ大差をつけられているが、打点、打率ともに拮抗しているのである。A-RODは、「少なくとも松井の上を行く」ことを意識していたのではないか、と思えてくる。

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拮抗しているのは年度別のSTATSだけではない。通算の数字も似通っている。

MLB、NPB通算で松井秀喜は、

2184試合 7920打数 2367安打 472本塁打 1486打点、.299 

マイナー、MLB通算でA-RODは、

2212試合 8505打数 2615安打 589本塁打 1735打点、.307。

連続性のない違うリーグの数字を足すのは、記録的には全くナンセンスだが、ともに多くの試合に出場して積み上げてきた数字の高さ。二人のこの見事な数字は、一種の偉観だと思うのだ。デビュー以来16年、二人はこの時代の最も恐れられる打者として、数字を積み上げてきたのである。

正直言って、MLBに移ってからの松井には、常に欲求不満を感じていたのだが、この数字を見たとき、何か誇らしいような思いがした。ワールドシリーズでの活躍以上に、松井秀喜に、「よく頑張ってきた!」と声をかけたい気がしたのである。

このブログのスタートは、松井秀喜のこれまでを振り返るところから始めたい。

 

 

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イチローとマウアーのデッドヒート|MLB

【2009年8月20日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

今年のイチローは、近年まれなほど好調を維持している。MLBに来てしばらくは8月に調子を落とすことがあったが、今年は昨日まで.373。無安打試合は1しかない。9年連続200本安打達成に気をもんだ春先がうそのようだ。

ただ、この好調なイチローのはるか上を突っ走っている打者が一人いる。ご存じマウアーだ。彼の今月の打率は何と.485。通算でも.400に迫る勢いだ。

今年のマウアーは、安打を量産しているだけではない。8月は7本塁打20打点(ちなみにイチローは1本塁打8打点 彼にしては悪くない)。リーグで最も危険な打者の一人になっている。

勝負あった、と見る向きもそろそろ出てくるかと思うが、それは早計である。

mau-ichiagain

8月に入ったばかりの時点で、イチローはマウアーに1分の差をつけていた。それから16試合でこの差をつけられている。打数が300,400となっても、打率は思いのほか動くのだ。とはいっても、マウアーはすでに2安打ではほとんど打率が動かない域にある。そして無安打試合が1試合でもあると、大きく打率が落ちる。これまでも相手が無安打の時に大きく差が縮まったり、逆転したりしている。イチローは、5の2以上を連発することで、再び射程距離にとらえることは十分可能だ。

ツインズはペナントレースからほぼ脱落しており、マウアーは個人記録を追える立場にあるが、モチベーションの維持が問題になってくるだろう。イチローは、あと21本に迫った200本安打が、逆にモチベーションアップにつながることも期待できよう。

こうしたデッドヒートが.350をはるかに超える高いレベルで行われているのだ。いずれが勝つにしても、あとあとまで語り継がれるような名勝負を演じてほしいと思う。

■後日談:マウアーは落ちなかった。そしてチームまで優勝に導いた。不明を恥じいるばかりである。

海老沢泰久さんが亡くなった!|野球史

【2009年8月14日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

『監督』を読んだのは20代の半ばだったと思う。ヤクルトの初優勝を題材とする小説である。

登場人物は、広岡監督はじめ大部分が実在の人物、球団名は違うが時代設定もリアルだった。しかし、物語はスポーツ新聞などで語られる安物の権力闘争ではなく、近藤唯之の人情劇場でもなかった。広岡という孤高の才能を持った人物が、世俗的な様々な圧力をはねのけ、万年最下位球団を優勝に導くという奇跡が、真水のような平明さと香り立つような文章で書かれていた。これは小説そのものだったが、同時に日本人がこれまで出会わなかったスポーツドキュメントの新しい可能性を示していた。

『F2グランプリ』は、25年ほど前の閉鎖的な日本のモータースポーツ界を舞台にした完全なフィクションだが、それはドンである星野一義と、その影響を脱しようとする中島悟の人間関係を想起せずにはいられなかった。

そしてその正系たる『F1 走る魂』『F1 地上の夢』。複雑で専門性を伴う自動車産業、F1の世界をこれほど平易に、鮮やかに描いた本はなかった。特に1987年の中島悟のデビュー年を克明に追った『地上の夢』は、スポーツノンフィクションの金字塔だと思う。この作品は、モータースポーツジャーナリストに強烈な印象を与えた。当時、雨後のタケノコのように出来たF1メディアが、多少とも読ませる文章を掲載していたのは『地上の夢』がメルクマールとなったのだろう。

海老沢泰久は、熱狂的な読売ファンだったが、長嶋監督の去就を巡る騒動などを経て、次第に批判的になっていく。読売が球界全体ではなく、自己の繁栄そして親会社の利得を第一に考えていることが露呈され、海老沢は歯に衣着せぬ辛辣さで批判した。ナベツネという名前は出なかったが、今の読売の体質をはっきりと指摘していた。

海老沢は次第に硬派で重たいスポーツノンフィクションは書かなくなった。その興味は他の世界に向けられた。辻調理師学校の実質的な創業者辻静雄の半生を描いた『美味礼讃』は、掛け値なしの傑作である。井上陽水、自らのゴルフライフなど、海老沢はそれからも佳作を発表し続けたが、それらがいずれも淡彩で、軽い印象しか残さないようになっていったのが気がかりだった。

海老沢は複雑な事実を描くことに手を抜かなかった。平明に、真水のように伝わるまで磨きぬいた。上質の翻訳文学のような気品ある文体が「知ること」の心地よさを感じさせた。平明さが重なることで、透明感のある深い感動が生まれることを教えてくれたのも海老沢だ。

海老沢がイチローや松井、松坂のことをF1のように丁寧に、克明に描いていてくれたら、MLBをめぐるジャーナリズムは、さらに豊穣なものになったと思う。特にイチローは海老沢が食指を動かせるに十分な対象だったと思う。

『美味礼讃』文庫版のあとがきで、丸谷才一は、海老沢があまりにも素晴らしい伝記を書いたために「神様は辻静雄を妬んで、早くに天国に召してしまった」という解説を書いたが、今度は海老沢が召されてしまった。59歳。さらに澄みわたり、円熟味を増すはずの文章は、もう読むことができない。

■後日談:なぜ、もっと社会はこの稀代の作家の死を悼まないのだろう。

甲子園予選はナチュラルが良い|野球観戦

【2009年7月20日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

この季節は、時間ができたら近場の球場で甲子園の予選を見る。一昨日は彦根にいて滋賀県予選をちょいの間観戦した。ちょうど地元の名門彦根東が伊吹と対戦していた、9回裏、まさに1点差で力尽きる寸前にスタジアムに入った。

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名門校だけに、OBらしい県や市の幹部の顔も見られる。「あの子の兄ちゃん京大やて」なんて声も聞こえる。昨年は21世紀出場枠で選抜に出た彦根東だったが、相手投手を攻めあぐね、最終回。しかし安打と四球で2死満塁と攻め立て、場内は大いに盛り上がった。

滋賀県大会は鳴り物が自粛になっているのか、あとの出場チームも含め応援は手拍子と声だけだった。外野の応援団は必死にがなりたてていたが、それでもグランド内の音は聞こえるし、野球に集中できた。

満塁の走者を残して最後の打者が倒れた瞬間、歓声、ため息、様々な思いがないまぜになった声が最高潮に達して、球場の底が抜けたような音がした。この一瞬、敵も味方も何かを共有したのだと思う。ライブのスポーツを見る醍醐味だ。ずいぶん以前、今は亡き先代貴乃花が大横綱北の湖を寄り切りで破って初優勝した時も、大阪府立体育館の底が抜けたような音がしたことを思い出した。

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翌日の奈良県大会も、郡山と智弁の凄まじい戦いがあって、大いに盛り上がったが、下手糞なコンバットマーチが鳴り続けた分、感興が落ちた気がした。ブラスバンドや吹奏楽部の皆さんには悪いけど、やっぱり野球場で聞きたい音は、ボールがバットやグラブに当たる音と、観衆の声だけですね。ナチュラルが良いと再認識した次第。

■後日談:野球の試合をやっていると、絶対に素通りできないのです。

城島とロブ・ジョンソンの差|MLB

【2009年7月19日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

cERA(キャッチャー防御率)は、あまり意味がないという意見を散見する。cERAが悪いのは、悪い投手と組んでいるからだというものだ。本当にそうなのか。SEAの2人のキャッチャー別で、今期のSTATSを調べてみた。(なお、SEAは、バーク、キロスという2人の捕手も使っているが、あわせて16試合なので省略した)

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残念なことに、ヘルナンデス、ウォシュバーン、ベダードの3投手について見れば、城島とロブ・ジョンソンでは数字にはっきりと差がある。彼らがロブを指名するのには根拠があると言わざるを得ない。奪三振や与四球よりも、被安打で顕著な差があるように思える。また、アーズマ、ホワイト、ローなどのセットアッパー、クローザーの数値もロブの方が良い。

中には、バティスタのように城島と組んだ時の方が良い投手もいる。だから相性という面も確かにあるだろうが、それ以上の何か大きな差があるのではないかと思う。

城島はずっと強気のリードで鳴らしてきた捕手である。攻めの姿勢で打者を追い込んでいくのが得意だった。しかし、MLBの打者心理は、NPBのそれとは相当違うはずだ。城島は本当にMLBの打者心理を知り尽くした上で、攻めているのだろうか。

松坂など多くの投手が苦しんでいるのは、MLBとNPBのピッチングに関する考え方、価値観の差である。NPBで捕手としての固定観念を完成させてやってきた城島も、同じような「投球文化」の差に悩んでいるのではないか。

もう一段踏み込んで、MLBの「投手」とは何かを学ばなければならないときが来ているように思うのだが。

■後日談:2010年、SEAはロブ・ジョンソンで安泰かと言うと必ずしもそうではない。キャッチャーで安定的に実績を残すのは至難なのだ。必ずもう1人、力の接近した捕手が必要だろう。

城島の苦悩|MLB

【2009年7月18日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

ベダード、ウォシュバーンらSEAの主力投手が、城島のリードで投げるのは嫌だ、と首脳陣に訴えたという記事が流れている。捕手としてこれ以上のショックはちょっとないだろう。NPB時代から打撃の良い捕手という評判ではあったが、同時に守備面でも成長を見せ、MLBに移った時は攻守ともにNPBベストの捕手だったはずだ。

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盗塁阻止率で見れば、城島はMLB屈指の肩の持ち主だ。衰えていないどころか、今年はまずます磨きがかかっている。PBは多い方だが改善されている。

問題は、キャッチャー防御率(cERA)である。昨年までは、投手陣自体が弱体で、ほぼ5点という城島のcERAはさして悪いとは思われていなかったが、今期、SEAの先発陣は3.74というリーグNo.1の防御率。なのに城島が受けるときは昨年と変わらない、という数字になっている。

2006、2007年は捕手としては一流の打撃と肩でポジションを堅持し、昨年はバーク、クレメントの挑戦を受けたが、かろうじて第一捕手の座を確保した。

しかし、今年は2度のDL入りという不運はあったものの、ロブ・ジョンソンとここまでcERAで差がついてしまっては、首脳陣も考えざるを得ないだろう。

よくあるのが、1塁コンバートという手だが、今年はブラニャンという大当たりがいる。DHというには、やや打撃が物足りない。

長期契約を結んでもいるし、ワカマツはこれからも城島をロブと併用で使うだろうが、来季のことを考えれば、投手陣との関係修復につとめ、少しでもcERAを改善するしか手はない。昨日の城島も3安打し、2者を刺したものの、リード面ではぱっとしなかった。ここらが踏ん張りどころだろう。

■後日談:城島は、野球文化の違いで敗れ去ったという部分は確かにある。その根底には、「通訳付きの移籍」というお客様待遇があるように思う。
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2009年1月に、SportsNaviで「MLBをだらだら愛す」というブログを開設、12月には「野球の記録で話したい」を開設。多くの皆様にご愛読いただきました。2011年11月、livedoorに引っ越し。基本的な考え方は変わりません。MLB、NPBの記録を中心に、野球界のことをあれこれ考えていきたいと思います。多くの皆様に読んでいただきたいと思いますが、記録や野球史に興味と尊敬の念を持っていただける方のサイトにしたいと思います。特定の球団のファンの方も大歓迎ですが、「ひいきの引き倒し」的な論調には与しません。

広尾晃はペンネーム。本名は手束卓です。ペンネームは、小学校時代から使っていました。手束仁という同業者がいるので、ややこしいのでこの名前で通しています。ちなみに手束仁はいとこです。顔もよく似ています。
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