7人目の2500本安打。大記録である。2000本以上の安打を打った選手は、先日の小久保裕紀も含めて41人いるが、ここから500本をさらに積み重ねる打者は2割もいないのだ。
金本のSTATSを見ていると、最近の打者のライフスタイルが大きく変わっていることを感じる。
NPB安打上位15人+現役2000本安打者+谷繁、イチローの年齢別の安打数を累計にしてみた。年齢は誕生日が来たシーズンを基準にしている。

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かつて、2000本安打は高卒打者の特権だった。10代でプロ入りし、20代で安打を荒稼ぎし、30代半ばで2000本に達して引退する。長嶋茂雄を唯一の例外として、1980年くらいまではそのパターンだった。年代別でみれば、20代に最も多くの安打を打つ。

この傾向が変わってきたのは、門田博光からだと思う。22歳を迎える年にプロ入りした門田は35歳で1500本、そこからも衰えを見せず39歳で2000本。43歳で2500本を記録したのだ。30代40代を合わせて、1520安打。40歳を超えてからも525安打を打っている。

その後、26歳の年にプロ入りした落合博満が34歳で1000本安打を打ち、37歳で1500本、42歳で2000本安打を打っている。

少し前まで2000本安打者は20代で最も多くの安打を打っていたが、最近はほとんどの選手が30代の方がより多くの安打を打っている。「打者の晩成化」が進んでいるのだ。

トレーニング法の向上、打撃技術の進化もあるだろうが、それとともに、高齢選手がレギュラーにとどまることを容認する空気が広まったことも大きいだろう。昔の巨人が典型だが、長嶋茂雄、王貞治をのぞくV9戦士は30代半ばになると軒並みレギュラーを外され、コーチなどに転身させられた。一般企業のサラリーマンが現場から管理職に上がるような感覚で、選手の早期退職を促していたのだ。

今は、選手にその気があり、抜群ではなくとも、それなりの数字を残していれば、年齢にかかわらず起用されるケースが多くなった。金本の2500本安打もそうした変化がなければ、難しかったのではないか。

今年の秋か来春には、谷繁元信が史上最遅で2000本安打に到達しそうだ。金本の2500本安打とともに、高齢化が進むNPBを象徴する現象だと言えよう。

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