デイリースポーツ 坂井信也球団オーナー緊急補強を否定。「やるしかない」
サンスポ 坂井オーナー「原点に戻ってイチから頑張ってもらいたい」
日刊スポーツ 鳥谷敬「各自がやれることをやることが大事だと思う」
テストでひどい成績を取ってきた子供に、こういうお説教をする親は多いのではないだろうか。精神論で成績が上がれば、誰も苦労はしない。

昨日、ようやく連敗に終止符を打ったが、阪神がここまで不振に陥ったのは選手が「やるべきことをやっていない」からでも「原点を忘れていた」からでもないと思う。
中心選手の加齢が進む中で、オフに全く補強をしなかったことが最大の要因だ。他球団が大型補強や、若手の伸長がある中で、阪神は若手が伸び悩んでいたにもかかわらず、何もしなかったのである。

その結果として、チームは低迷したのだ。数字で見ればそれは明らかだ。

総合的な野手の生産性を表すRC27の今年と昨年の比較。

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年齢的な衰えもある。故障もある。好不調の波もある。昨年と同じパフォーマンスを今年も見せることが出来るとは限らないのが野球選手だ。

そのために、選手の補強をしなければならなかった。球団はドラフトで伊藤隼太を獲得、捕手の故障が続いたためにシーズンに入って日本ハムから今成亮太を獲得したが、それ以外は、ほとんど動かなかった。ここには野手だけを掲げたが、投手も同様だ。

坂井オーナーは「今補強をしても来年困るだけ」とも言っている。要するに本音では、今季をあきらめているということだ。

MLBの球団であれば、ポストシーズン進出をあきらめていないのなら、このタイミングで大型の補強をするとともに、パフォーマンスの悪い選手は解雇するか、少なくともレギュラーから外すはずだ。
ポストシーズン進出をあきらめたのなら、来季に向けて若手を抜擢するとともに、他球団の有望株と現有選手をトレードするはずだ。

NPBは選手層が薄いために、こうした派手な選手の移動は少ない。しかし、ここに至ってまた「何もしない」という選択をするのは、ファンに対する背信だと思う。

観客動員は昨年に比べて5%も落ちている。ファンの多くは、今年の阪神が低迷しているのは、選手が頑張っていないからではないと思っているはずだ。

フレッシュな顔ぶれが伸びてこず、ベテランが相変わらずの野球をしているのが、最大の原因だ。伸びつつある数少ない選手である新井良太に期待が高まるのも、ファンが変革を望んでいる表れだと思う。

本音を言えば阪神経営陣は、年俸を抑制したい。その上で、金本知憲や、城島健司などのベテランの首を切って、ファンから嫌われることも避けたいと思っている。フロントの責任を果たす気は、さらさらないのだ。ただ、阪神甲子園という日本最大の観客動員を誇る球場のメリットを享受したいと思っているだけなのだ。

これがオーナーの「精神論」の中身だと思う。

思えば、十数年前の阪神の暗黒時代も、同じだった。補強らしい補強をせず、精神論を口にし、つまらない内部抗争に明け暮れている間に、甲子園に閑古鳥が鳴いたのだ。
企業努力をしない会社は、左前になる。当たり前のことを理解すべきだと思う。

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