MLBでDIPS2.5以下を記録した投手を調べてみる。MLBの方がはるかに記録が整備されている。歴代の選手の記録をデータベース化したサイトは複数ある。誰でも利用できるのだ。
1900年以降で規定投球回数に達した投手はMLB全体で約9000人いる。その中でDIPSが2.5以下だった投手はわずか40人。そのランキング。これも驚きだ。





DIPSが1点台だった投手はただ一人。99年のペドロ・マルティネスだ。私は何となく腑に落ちたような気がした。今季のダルビッシュの圧倒的なマウンド、相手打者に「何もやらない」ような投球は、誰かに似ているような気がしたのだが、ペドロだったのだ。 180cmのペドロと196cmのダル。一見全く違うタイプのように見えるが、抜群のコントロール、球威のある速球、そしてキレのある変化球と通じるところが多い。小柄なペドロは「首狩り族」といわれるほど内角の球を武器にした。また三振を取ることに固執した。ダルにはそういうところはないが、共通しているのはただ「0点に抑える」だけでは満足せず、圧倒的に試合を支配しようとする意志の強さだと思う。

ペドロはDIPS2.5以下を5回も記録している。この点もダルと共通している。他に目立つのはロジャー・クレメンスが3度記録していることか。今季はロイ・ハラデーがレベルの高い投球をしている。

40人の顔ぶれには、サイ・ヤングを始め大投手が並ぶ。特徴的なのは、20世紀初頭の選手と、1990年以降の選手が多いこと。この間にベーブ・ルースが出現し、本塁打を大量生産する「大打者の時代」が長く続いたが、約1世紀の時間を隔てて、野球は再び原点回帰しつつあるのかもしれない。

2009年のワールドシリーズ以後、ペドロ・マルティネスは姿を現していない。間もなく40歳になるから、復帰は厳しいかもしれない。まるでやくざがマウンドに上がっているような、ガラの悪い、あくの強いマウンドが懐かしい。

NPBとMLBの格差は依然大きいとは思うが、ダルの今季の成績は、海を渡っても通用するだろうと思わせる。期待が膨らむ。

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