もう10年以上も前に出版された本であり、重版にもなっていないから、それほど売れなかったのかもしれないが、野球史を語るうえでどうしても手放せない本がある。




著者の坂本邦夫さんはWebデザインのプロであり、関連著書が何冊もある。この人は、Webでいかにわかりやすくストレスのない情報発信をするか、を考え続けた方だと思うが、その発想がこの『プロ野球データ事典』でも活かされている。

簡単に言えば、この本は2リーグ分裂後の各球団が毎年どんな顔ぶれで戦っていたか、をコンパクトにまとめた本だ。数字は最低限に絞り込まれている。記録的にはこれでは物足りないのだが、その年のチームカラーが一目でわかる。また、Aという選手の出場機会がこの年なぜ減ったのか、なぜトレードに出されたのか、といった事情が理解できる。こんな重宝な本はない。

よくアメリカのコラムニストの本を読んでいると、「俺はレッドソックスのファンなんだ」「じゃ、1956年のボストンのホームベースは誰が守っていたか、言ってみろ」みたいな会話が出てくる(正解はサミー・ホワイト)。アメリカでは、ファンとは、ある年のひいきチームのラインアップが、空でいえるような人を言うようだ。それだけに、米ではこういう本はたくさん出ていた。また、baseball-reference.comでは、草創期からのMLB、マイナーの各チームのラインナップをつぶさに見ることができる。しかし、NPBでは、そういう本やサイトはほとんどない。日米野球文化の差なのかもしれない。

旅先でブログを更新するときも、この本は必携だ。客観的な事実関係が羅列されているだけだが、野球史をこれほど雄弁に語る本はない。

残念なことに、この本は1950年~2000年までしか記録がない。以後の同様の記録を調べるのは一苦労だ。
私がブログを続けている目的の一つは、サイト上でこの本のようなことをしたいと思ったからだ。今、NPBの記録の入力を続けているのも、最終的にはこういうことがしたいからだ。

貴重なネタ本であり、あまり知られたくなかったのだが、思い切ってご紹介する次第。アマゾンではずいぶん安く購入できるようだが、掛け値なしの名著だ。

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