西武の中島裕之の独占交渉権を落札したのはニューヨーク・ヤンキース=NYYだった。
少し驚きだったが、NYYの政策は非常に明快だ。NYYは中島を「控え」として使うつもりなのだ。落札額250万ドル。NYYのこの金額が最高だった。今の年俸を下回っている。いかに中島の評価が低かったかということだ。

NYYの事情を知るために、2005年からのNYYの内野陣をつぶさに見てみよう。
大きな図です。

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2005年のNYY内野陣。遊撃のデレク・ジーターはNYYのみならずMLB最大のスターである。三塁は2004年にテキサス・レンジャーズから移籍してきたアレックス・ロドリゲス=A-ROD。MLBトップの高年俸を誇る。三遊間は、絶頂期を迎えつつあるスターが守ったのに対し、一二塁は心許なかった。二塁にはこの年、マイナーから抜擢されたロビンソン・カノ、一塁は衰えが目立つティノ・マルチネス。

カノは守備的には心許なかったが、次第に打撃力をつけていき、首脳陣の信頼を得るようになった。年俸も着実に上昇していった。

対照的にレギュラーが固定できなかったのが一塁だ。毎年顔ぶれが変わっていた。しかし2009年にATL→LAAからタシェアラを獲得したことで、盤石となった。守備面でも勝負強い打撃でも、リーグ屈指だ。

このころからジーター、A-RODに陰りが見える。当初は内野の右半分が不安定だったのが、左半分が心許なくなったのだ。ジーターは打撃面でも合格点すれすれだが、それ以上に守備範囲の狭さが問題になってきた。A-RODは帳尻合わせで何とか数字を残してきたが、今年、ついに規定打席を割った。NYYが中島獲得に乗り出した背景には、こうした事情があったのだ。

ダイヤモンドの右手に記したのは内野の控え選手。当然ながら、こうしたチーム事情を反映し、当初は一、二塁の控えが多かったが、近年は三塁、遊撃が多い。

年俸は意外なほどに低い。MLBの選手の年俸は高いというイメージがあるが、レギュラーとそれ以外の選手の格差は極端な場合は数十倍に及ぶ。N/Aは年俸が公表されていないケースだが、前のチームの年俸の一部負担や、日割りでの支払いなどもあり、多くは数十万ドルだ。

年俸100万ドル超の控え野手は、他チームでの実績がある選手。ミゲル・カイロは「スイスアーミーナイフ」というあだ名があるユーティリティのプロ。ウィルソン・ベテミットも同じタイプ。ニック・ジョンソン、エンディ・チャベスはともに他チームで主軸を打ったことのある打者。ニックは選球眼の良さで知られ2010年は出塁率.338を記録するも打率.167で解雇された。エリック・チャベスも選球眼が良く「マネーボール」のビリー・ビーンGMお気に入りの好打者だったが、近年は故障が多く、不良債権化していた。

こうしてみてくると中島に提示される年俸も、大きな期待はできないと思われる。しかしキャリア終盤に差し掛かったジーター、A-RODの二人は、シーズン通しての活躍が難しくなっている。故障がなくても定期的に休ませるから出場機会は多いはずだ。いいところを見せるチャンスはあるだろう。
ただしジーターやA-RODのかわりにレギュラーになる可能性は低い。いいところを見せて、他チームで正選手の座を獲得するということだろう。

面白いトライアルだと思う。中島はモノに臆さないタイプだそうだ。ぜひ、ひのき舞台で日本人内野手の能力の高さを見せつけてほしい。

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