山本浩二といえば、広島東洋カープが生んだ最大のスターである。広島の初優勝から、黄金期を通じて活躍した。王貞治にとって晩年の最大のライバルであり、その引退後は掛布雅之らとともにリーグ最強打者の座を争った。しかし、監督してはどうだったか。
山本浩二の監督成績。

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引退した時点で、監督就任は既定路線と言われ、阿南準郎の後を受けて89年に監督就任。89、90年と2位、91年にはセリーグ優勝を果たした。このころまでの広島は投手陣が充実しているうえに、野村謙二郎、江藤智、前田智徳などのフレッシュな野手が登場し、Aクラスの戦力があった。
しかし、翌年Bクラスに転落、さらに12年ぶりに最下位になって93年に退陣。

2001年に再度監督に就任するも、5年間で一度も優勝争いに絡むことがなかった。
広島球団は、近年、年俸総額の上限を設けている。FAになった選手の移籍を容認してもおり、率直にいえば、他球団に比べて戦力的には見劣りしていた。

そういうことも加味すれば、この成績だけで、山本浩二の手腕を即断することはできない。しかし、一度目の監督退任後の後任監督だった三村俊之が、その後4年連続でAクラスに入ったことを考えれば、少なくともその手腕に疑問符をつけてもよいと思う。

WBCの監督として、にわかに山本浩二の声が高まっているのは理解に苦しむところだ。
王貞治、原辰徳というWBCの二人の監督は、「有名選手を統御できるだけの知名度、押し出し」があり「監督としての手腕」も兼ね備えていたように思う。

すでに引退して26年にもなる山本浩二は、今の選手にとっては歴史上の存在にすぎない。解説者としてしか知らない選手も多いはずだ。また、監督手腕は率直に言って「平凡」である。しかも年齢は来年66歳。

WBC監督は当然、侍ジャパンの監督にも就くものと思われるが、未来を展望するNPBの常設ナショナルチームの監督に、前任者の原辰徳よりも一回りも上の人間を据えようとしる神経がわからない。

彼の名前が挙がった理由は、1993年以降、監督をしていないときはずっと日本テレビ系列の解説者をしていたからではないのか。今回のWBC参加翻意に絡んで、讀賣グループはNPB側に大いに貸しを作ったという意識があろう、それを反映してのことではないのか。

山本浩二は、就任したらまたぞろ田淵幸一をバッテリーコーチに呼んだり、星野仙一をアドバイザーに据えたりするのではないか。同じ局の江川卓を引っ張り込むかもしれない。そういう生ぬるさも感じられる。
「侍ジャパン」が本当に未来を志向した新しいナショナルチームであるなら、そしてWBCを本気で勝ちにいこうとするなら、他に人材はいると思う。

「なんだっけ、うちのテレビに出てるやつ。あ、山本か。あいつにやらせとけばいい」渡邊恒雄氏のしゃがれ声が聞こえそうな気がする。
今回の、WBCの前途は実に多難だ。

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