野球小僧『野球部あるある』




他愛のない本ではある。中学、高校の野球部員の生態をスケッチした「あるある」。野球、ソフトボールをやっていたうちの娘に読ませたら、結構受けていた。

「素振りをする際、自分で『カキーン!』という効果音をつける」
「棒状のものを持つと、とりあえず素振りしたくなる」
「集団で同じ車両に乗って、乗客に迷惑がられる」

思春期のまっさかりに、まるで禅道場のような集団に入り、遊びたい心を矯めて野球に打ち込む若者のむず痒いような葛藤が、短い言葉に込められている。
特に監督という“大人”との関係が、アンビバレントで切ない。

「選手たちに『自己管理がなってない』と説教する監督がヘビースモーカー」
「3年なのに監督から名前を間違われた日の夜、人知れず枕を濡らす」
「『自主練習』のはずなのに、指導者が監視している」

こうした監督の中には、教育者として立派な人もいるだろうが、いわゆるブローカー的な人もいる。子供たちは、彼らの生態を逐一見ているのだ。

全国各地で同じような青春を送る若者がいる。そして彼らは成人して、“野球部”という一種独特の香りを持つ日本人になっていくのだ。

日本野球の基底は、“野球部”によって支えられている。

しかし「野球小僧」はどん欲だ。こんなものまでコンテンツにしていくのだから。

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