一昨日、オリックス・バファローズの岡田彰布監督は、京セラドームに出勤したところ、一枚の紙を見せられた。そこには「本日より休養」と書かれてあった。高代延博ヘッドコーチも同様だった。球場を後にする岡田氏の顔は、いつにもましてしょぼくれていた。
解任が決まっていた。その日の時点で11連敗していた。残り試合の指揮を執っても執らなくても、大勢には影響がない。しかしながら、岡田彰布氏は、マスコミの前に突如クビを言い渡された顔をさらし、恥をかいた。そしてオリックス・バファローズ自身も、「ひどいことをする球団だ」という悪いイメージを世間に与えた。

こういうことを企業がするのは、大抵「トップが切れた」ときである。オリックスの宮内義彦オーナーは、当初、「岡田監督にはシーズン終了まで指揮を執ってもらう」といっていたが、11連敗し、何かよからぬ話が耳に入ったのだろう。

おそらくは直近の会議の席上で「今日から休養だ!」と叫んだのに違いない。企業イメージが大幅に下がる上に、世間体も良くないこうした人事が断行できるのは、絶対権力者の「鶴の一声」だけである。



オリックスが名門阪急ブレーブスを買ったのは、社名が「オリエントリース」から「オリックス」に変更した同社が、急速な知名度アップを狙ったためだ。
昨年、横浜ベイスターズをTBSから購入しようとした「リクシル」と同じような事情だ。
恐らく、「オリックス」の知名度アップは功を奏したと思われる。その後、イチローが登場し、オリックス・ブルーウェーブは人気チームになった。当時は、ダイエー・ホークスと並び、パリーグの改革の旗手になるだろうという期待が大きかったものだ。

しかしながら21世紀に入ってからのオリックスは常に「中途半端」な印象がついて回った。
本拠地も「神戸」なのか「大阪」なのかはっきりしないし、イチローが抜けた後のチーム力も低迷した。

そして2004年の球界再編では、近鉄バファローズと合併し、オリックス・バファローズとなった。阪急ファンだけでなく近鉄ファンにとっても、この中途半端なチームを応援する気持ちはなえてしまったのではないか。

以後、現在に至るまでこの球団は低迷を続けている。2008年に一度ポストシーズンに進出しただけで、ずっとBクラス。惜しい年もあったが、戦力は中の下以下だった。

この期間、パリーグの他球団は地元密着型のマーケティングを強めるとともに、チームカラーを明確に打ち出すようになった。日本ハム、ソフトバンク、西武、楽天、千葉ロッテがそれぞれ、明確なカラーを打ち出す中で、オリックスはアイデンティティが希薄だった。

チーム方針も良く変わった。ある年は外国人の大砲をずらっと並べ、ある年はコリアンパワーで戦おうとした。しかし、いずれも効果が出ないまま終わった。

率直に言って、オリックスの現在の低迷は、宮内義彦オーナーが球団経営に情熱を失っているのが大きいと思う。

世間体や面子があるから球団運営は続けるが、抜本的に球団を変えるようなことはしない。ファンサービスも中途半端。関西という巨大市場で勝負する気もない。

そうしたオーナーの気持ちがチームに悪影響を与えているのではないかと思う。

昨年のロサンゼルス・ドジャースが好例だが、経営陣が自分の仕事をしなければ、戦力に関わらず球団は弱体化する。経営陣、オーナーの影響力は極めて大きいのだ。
往々にしてオーナーは、現場の責任者を身代りにして切り捨てる。これはNPBでもMLBでも普通にみられることではある。

岡田采配の是非は問われて当然だ。契約を延長されなかったのも仕方がない。しかし引き際の醜態によって、はしなくもオリックス低迷の最大の責任者は誰か、を垣間見ることができた。

orikkusu-okada20120927


岡田彰布氏は、指揮官、特に勝負師として優れたものを持っていると思う。必ずや再起するだろう。

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