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昭和の話かな、と思ってしまった。ロッテの角中勝也は、6日の西武戦に欠場。打率1位をキープした。打率2位の西武中島裕之はロッテから二連続四球。ロッテは角中に首位打者をとらせるために、姑息な手段を使ったのだ。
パリーグの首位打者争いは事実上角中と中島に絞られている。

角中は今年売り出したホープである。四国アイランドリーグ+から2006年にドラフト7巡目で千葉ロッテに入り、控え選手として雌伏の時を刻みながら機会をうかがい、今年見事に開花したのだ。交流戦首位打者にもなり、オールスターにも出場した。独立リーグ出身者としてはいずれも初。独立リーグでプレーする選手の「希望の星」なのだ。
7月8月と打率を落としたが、9月は.352、10月は12打数6安打と馬鹿当たりして、9月.256と低迷した中島裕之などライバルをとらえたのだ。
しかし、角中は昨日の試合が終わった時点でまだ、3試合も残っている。

西武との最後の直接対決では、中島を敬遠気味に歩かせた。西武はあと1試合しかないから、中島は3打数3安打か、4打数3安打が必要になった。ただし、中島の数字が及ばなかったとしても、角中は以後今の数字をキープできる補償はないから、確実に首位打者を取るためには残る3試合を欠場するのが最上策ということになる。

ロッテの西村監督は、今年最大の収穫ともいえる角中を、シーズン終盤の3試合に出場させない気だろうか。そこまでして角中に首位打者を取らせる気なのか。

ロッテは残り3試合、西武は1試合しか残っていないが、残り試合で角中と中島が堂々と勝負をすれば、二人の打者の打率はここまで動く可能性があるのだ。

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我々はこの数字をめぐって一喜一憂する楽しみを奪われているのだ。

プロ野球の記録は、球団の査定の道具でも、選手のキャリアを飾る小道具でもない。関係者とプロ野球ファンの共有財産だと思う。アーティストが作る作品が人々が鑑賞して初めて価値が生まれるのと同様、野球の記録も人々が認め評価してこそ価値がある。そこに個人的な事情をさしはさむのは、アートの一部に盗作を挿入するようなものだと思う。

確かに昔はそういう手が認められていた。それはスポーツや娯楽に対する意識が低く、記録に対しても関心が低かったからだ。それでも、こうした「記録捏造」を批判する声は昔からあった。

今、プロ野球は「国民的娯楽」の地位を追われつつある。西村監督は、こうした姑息な手段が、記録の価値を減じ、プロ野球の魅力を損なうことが分からないのだろうか。

本当のファンは、角中がリーグ屈指の強打者中島と、堂々と勝負をして、力で首位打者を勝ち取ってほしいと願っている。「不戦勝」は望んでいないはずだ。「Worst winner」になるより「Best loser」になることを望んでいるはずだ。

かくなる上は、明日、中島裕之は何としても角中の打率を上回ってほしい。首位打者を手土産にMLBに移籍する気で、必死のぱっちで頑張ってほしい。角中をグランドに引きずり出してほしい。

※追記、中島が先に仕掛けたというご意見をいただいたが、名目上にせよ中島は負傷欠場(右かかと)ということになっている。実際にそれもあって打率が急落したのだ。それと角中の「理由なき欠場」とは異なると思う。修正はせずにこのまま掲載したい。それから、この問題は選手個々の意志とは別個だ。西村監督、そしてその決定を容認する球団の問題だ。

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TokyoYakyuBookfair2012-2


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