昨日、野球浪人中の菅野智之について、東海大学側からコメントがあった。「次のドラフトで巨人以外が指名するならアメリカに行くことも考える」とのことだった。
他球団をけん制し、昨年のようなことが起こらないようにしたいとの思いがにじんでいる。日本ハムは「今年は菅野を指名しない」と言明した。他球団はどうするかわからない。

率直に言って、菅野の問題は1年を経過してかなりどうでもよい問題になっている。

今年もドラフトの目玉といわれる亜細亜大の東浜巨、花巻東高の大谷翔平、大阪桐蔭校の藤浪晋太郎など逸材がそろっている。菅野と巨人が相思相愛だとすれば、巨人はこうした逸材には手を出さないわけで、他球団にしてみればむしろ喜ばしいことだ。

そもそも、1年間全く試合で投げていない菅野が、どれだけ使えるのかは未知数だ。昔の江川卓のような圧倒的な投手ならいざ知らず、菅野は一軍で即通用するような投手なのか。

年齢も来年には24歳になるし、疑問符が付く。

幸いにも叔父さんの原監督は、ぶっちぎりでセリーグ優勝を果たしたから、くびはつながりそうだ。菅野の頼もしい後ろ盾にはなるだろう。

しかし、この問題が色あせてしまった背景には、この1年におこったさまざまな問題がある。ドラフトと前後して起こった「清武の乱」、朝日新聞による「巨人裏金事件」、原辰徳監督による「不倫、一億円供与事件」、阿部慎之介捕手による「アイドル不倫事件」。マスコミは大騒ぎをしたが、巨人はすべての事件で、謝罪せず、説明責任も果たさず、社会的責任も取らなかった。巨人は優勝したが、巨人、読売という企業の社会的イメージはかなり下落したと思う。
世間は、そんなインモラルな巨人なのだから、他球団を恫喝して菅野の単独指名をするくらいは、朝飯前でやるだろうと思っている。だれも驚かない。

しかし「巨人が強いとプロ野球界は盛り上がる」という巨人、読売の持論は今年も見事に外れた。
巨人は断トツで優勝した。巨人の入場者数は増加したが、NPB全体での数字は2137万人と20万人ほど下落減っている。巨人戦ナイターの視聴率も9.3%と前年を割り込み、低落傾向が止まらない。巨人の「裸の王様化」はますます進行している。



「巨人以外が指名するならアメリカへ」という発言も、完全にずれている。これは東海大学の横井監督の言葉だが、菅野、そして原家の意向を反映しているはずだ。
今年は花巻東の大谷翔平がMLBに挑戦する可能性がある。菅野も有望選手ではあるが、大谷よりも年を食っているし、仮に志望してもMLB側がどんな条件を持ってくるかはわからない。

MLBは菅野のような、中途半端な気持ちで挑戦する場所ではないように思える。ずっと特別待遇だった菅野が、MiLBの過酷な競争に耐えられるかどうか、疑問だ。
MLBは田澤純一のように日本球界から村八分にされる危険を冒し、競争や故障をも克服して未来を開拓するような若者のためにあるのであって「おじさんの球団に入れないのなら、僕ちゃんアメリカへ行ってやる」みたいな甘えたのためにあるのではない。

繰り返すが、今年のドラフトの目玉は東浜、大谷、藤浪らであって、菅野ではない。鮮度も落ちて、相変わらず拗ね坊のようなことを言う菅野がどこへ行こうと知ったことではない、というのが私の感想だ。

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!