海外FAを取得した藤川球児が、阪神との契約を蹴ってMLB挑戦を明言した。すでにアメリカに渡って代理人と交渉しているという。
藤川球児のキャリアSTATS

kyuji-Fujikawa2012


数字的にも見事なものだが、藤川は記録以上に記憶に残る投手だと思う。
最終回に大声援に迎えられてマウンドに上がる。右肩をぐるっと回転させて、捕手のミットを覗き込む。そして速球をズバッと投げ込む。藤川の速球は「魔球」と呼ばれる。手元でグイッと伸びてホップしているように見える。打者のバットはボールの下をくぐるのが常だった。球速でいえば、150km/hそこそこなのだが、多くの打者は振り遅れていた。

藤川の投球がMLBで通用するかどうか見てみたいと思うのは人情だ。しかし、私はこの挑戦はやや無謀ではないかと思う。

一つには、藤川が精神的に優位になることで、相手をねじ伏せてきた投手だということ。「甲子園」「阪神ファン」そして「球児」という名前の前に、相手打者は戦う前からアドバンテージを感じたはずだ。その雰囲気の中で、藤川は神がかり的なクローザーぶりを見せてきた。

この「精神的優位」がないマウンドで、藤川はどれだけ活躍することができるか。

2009年のWBC、藤川は当初クローザーとしてマウンドに上がったが、準決勝、決勝ではダルビッシュにその座を譲った。数字的には破たんはなかったが、球が走っていないうえに、相手打者が浮き上がる球に手を出さなかった。自信を喪失しているように見えた。



MLBでは「Kyuji」はノンブランドだ。大応援団もいない。ここで同じような投球ができるだろうか。

もう一つは、藤川は「下り坂」だということ。2010年の時点で、藤川のERAや被打率はクローザーとしては平凡なものになっていた。
統一球が導入された2011年、藤川は息を吹き返し、数字的にも上昇したが、今年また数字は下落した。今年は、投球内容にも変化が見られた。速球一本やりではなく、フォークを交えることが多くなった。
今期は阪神が弱かったこともあり、登板機会が50試合に届かなかった。しかし故障で戦線離脱もした。ここ8シーズンで488試合登板。勤続疲労は大きいのではないかと思う。

MLBで救援投手として成功するためには、傑出した「何か」が必要となる。
アロリディス・チャプマンは、100マイルを優に超す球速で相手を圧倒する。上原浩治は、驚異的なコマンドで相手を追い詰める、今年のクレイグ・キンブレルは、球速と制球力を両方とも持っている。怪我をする前のマリアノ・リベラは、カットボールという「打てない球」を持っていた。投手としての持ち味をギュッと凝縮できる投手だけが、救援投手になれると言っても良いだろう。

今の藤川にその「何か」があるだろうか。それが「大和魂」とか「猛虎魂」とかいう代物だとすれば、MLBには通用しないように思えるのだが。

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