南海ホークス 栄光の歴史



極端な話、中身が真っ白でも私は買ったと思う。ひとえに表紙の素晴らしさ、これに尽きる。
南海ホークスは1988年を最後に福岡へと去った。ホークスという名はそのまま受け継がれ、今も福岡ソフトバンクホークスが健在だ。しかし、大阪時代のファンには二通りあって、九州に行っても変わらず声援を送る人と、もうその気になれない人がいる。
私は後者で、あの年の10月15日、肌寒い大阪球場で杉浦忠監督が「行ってまいります」と言った時で、ホークスというチームは終わっている。

心憎いことに、このムックは1938年から88年まで、ちょうど半世紀の歴史を刻んだ「南海ホークス」だけを扱っている。

表紙がいい。モスグリーンにクリームイエロー。
南海ホークスは一時期、シアン100、Y100の「生ミドリ」みたいな色を使っていた。またサブカラーもマゼンタ100の色見本みたいな色を使っていたことがある。
しかしいちばん恰好が良かったのはモスグリーンのときだ。グリーンという色は印刷屋泣かせの色で、再現性が悪いのだが、この渋いグリーンは、含羞ある都会のチームらしかった。

中身はオーソドックスである。鶴岡親分、野村克也、杉浦忠をはじめとする偉大な選手が紹介されている。
記録的には見るべきものはない。私としては、戦前や1リーグ時代の地味な選手をもっと取り上げてほしいのだが、紹介している選手も、類書とそれほど変わらない。

しかし、それでも買わずにはおれないのは、興味深い写真が多いこと、そして何より「今どき、南海ホークスのことを書いた出版物なんてめったに出ない」からだ。

それだけの話ではあるが、こういう本はそれでいいのだ。
こうした本が出るというのは、今はない「昭和のプロ野球」を求めるファンが根強くいるということなのだろう。



※お知らせ。クラシックSTATS鑑賞は、明日からオープンの予定でしたが、いろいろ手を広げ過ぎて、十分に仕上がっておりません。もう半月だけ、お時間をいただきたく存じます。
11月15日には、オープンしますので、よろしくお願いいたします。


『野球雲』11月1日発行。販売価格は700円。ヤフオクで買えます。表紙をクリックしてください。

yakyugumo



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