この稿でキャリアSTATSを紹介している元選手に共通することは何か?おわかりだろうか。
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最近のニュースに目を通しておられる方なら、すぐに気が付かれるのではないか。この3人は今年、犯罪を起して逮捕された選手である。

趣味が悪いとも思ったが、現役時代とのギャップを一緒に実感したいので、あえて紹介することにした。

宇田東植はアンダースロー、変化球を武器とする投手だった。高橋直樹と印象が重なっている。この選手は名前からわかる通り、在日韓国人で、韓国プロ野球のコーチもしていたのだが、今年になって、風営法違反の疑いで逮捕された。64歳になる。新聞に拠れば、韓国のコーチを解雇されてから、生活苦となり、風俗の世界に手を染めたという。

山根善伸は、横浜の控えの捕手だったが、引退後は裏社会の人間になったようで、今年9月に詐欺で逮捕された。二度目の逮捕である。

塩谷和彦はついこの間まで現役だった。この選手は捕手出身でずんぐりしていたが、2003年前半は1番を打って右翼、一塁を守り3割を打った。しかし盛りは短く韓国野球に移籍後、野球界を離れた。今月、詐欺容疑で逮捕された。

今、無期懲役で服役している選手もいる。

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小川博は、南海ホークス最後の年に、大阪球場で見たことがある。村田兆児のリリーフで登板した。サイドスローから恐ろしく速い球を投げた。その試合では失点したが、アウトは全部三振だった。この年に小川が、投球回数以上の三振を奪ったことがきっかけとなって、奪三振がNPBのタイトルになったのだった。
小川は2004年、多重債務の挙句に強盗殺人を犯し、服役している。

野球とは関係がないのだが、先月、名古屋で開かれた「次世代サラリーマンの働く未来を考えるシンポジウム」というのに参加していた。終身雇用が事実上終わった日本の社会では、サラリーマンは会社への忠誠心をいくら態度で示しても、将来の補償が無くなっている。転職、フリーランスの道が待っている。生きていくのが辛い時代が到来しようとしている。

その境遇と、NPBをリタイアした野球選手たちの境遇が重なって見えた。
もちろん、NPBを止めた人がみんな、おかしな道に走ったわけではない。多くの人はまっとうな道を歩んでいるのだろう。

しかし、元野球選手という肩書を活かして生きていけるのはほんの一握りでしかない。大部分の選手は、野球選手としての経験やノウハウをリセットして、20代、30代からやり直すことを強いられている。

一つには、野球界ではプロとアマの間に大きな壁が存在することが上げられる。札束攻勢でアマチュア選手を引き抜いていた“前科”があるプロ野球に対して、アマチュアは障壁を築いてプロ選手の流入を防いだ。このために、「最も優秀な野球選手」OBが、アマチュア選手を教えることができないというジレンマを抱えてしまった。

障壁は、徐々に低くはなっているが、全国に3000以上もある高校野球部の指導者の内、プロ野球出身者は1%以下に過ぎない。プロ野球経験者が野球指導者になる道は、事実上閉ざされたままなのだ。

もう一つは、日本のプロ野球選手の多くは、野球以外のことを何も学んでいないこと。「名刺の渡し方も知らない」と言われるように、社会常識のレベルから勉強しなおさなければならない。より深刻なのは、「学び方」が身に付いていないこと。専門技術や知識が必要な職種や業界に転身しようとしても、難しい。

勢い、就ける仕事の範囲は限定されてくる。営業職や自営業、スポーツ関連ビジネスなどに限定される。
中には、一から勉強しなおして全く違う分野のエキスパートになっている人もいるが、二十代後半、あるいは三十代になって学びなおすのは本当に大変なことだ。



多くの元選手たちはそんな境遇でも懸命に頑張って、一般の社会人として生活しているが、中にはドロップアウトして犯罪に走る人もいるのだ。
セカンドキャリアについても、NPBは多くの問題を抱えていると思わざるを得ない(この稿続く)。

クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。今日は新浦壽夫
Classic Stats


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