2012年の田澤純一の登板記録を試合ごとに一覧にしてみた。
細かい表である。
Oppは対戦相手、Rsltはチーム結果、Inはどの回から登板したか。IPは投球回数。グレーは完了。ABは打数、Hは被安打、2Bは被二塁打、3Bは被三塁打、HRは被本塁打、Rは失点、ERは自責点、BBは与四球、SOは奪三振、HBは与死球、NPは投球数、Strikeは総ストライク数、Lは見逃しストライク、Sは空振り、Fはファウル。GBはゴロアウト、FBはフライアウト、GDPは併殺、Eは失策、ERAは通算の防御率。
各月のS%は、投球数に占めるストライクの割合。

junichi-Tazawa20121209


こうしてみると、バレンタインの起用はいかにも行き当たりばったりだ。4月20日に昇格させると10日で5試合に投げさせたうえに、回またぎを3度もさせている。3回のロングリリーフも。
7月15日に再昇格してから22日までの7日間でも5試合、4回、3回のロングリリーフも。
しかし8月以降はロングリーフが減り、セットアッパー的な使い方に変わった。ようやく実力を認めたということか。

田澤が進歩したのは第一に、制球力。シーズン当初からS%は70%前後。先発投手のS%は60%強、MLBトップの上原浩治は今季72.7%だから、田澤は上原に迫るレベルだ。

それだけでなく、田澤は、シーズンが進むとともに投球内容を進化させている。ストライクの内訳を見てほしい。投手が得るストライクの半数以上はファウル。残りが見逃しと空振りだ。

8月までの田澤は、見逃しストライクと空振の比率は五分か、見逃しの方がやや多かったが、9月に入ると空振りが見逃しを大きく上回っている。
空振りするボールというのは、打者が打てると思って手を出すボールだ。これがバットにかすらないというのは、球速に加えてキレがあるということだ。フォークだけでなく速球も冴えていたのだろう。また田澤がストライクゾーンで勝負をしていることをも意味している。
シーズンとともに、田澤は攻撃型の投手に変貌したのだ。

田澤のトータルでのS%は70.0%、ストライクに占める空振りの比率は21.6%だった。
しかし、9月以降に限れば、S%は70.6%だがストライクに占める空振りの比率は30.1%に達した。
これは救援投手中この比率が飛びぬけて高いクレイグ・キンブレル(S%70.6%、空振り%27.7%)、上原浩治(S%72.7%、空振り%26.0%)を上回っている。



確かに9月の田澤の投球は見ていて実に気持ちが良かった。簡単に空振りを奪っている感があった。田澤の球のキレがいかによかったかということだ。

来季、田澤がどの球団で投げるかは未定だが、起用法次第ではキンブレルに迫るような救援投手になる可能性がある。

遠回りをした甲斐があったというものだ。松坂大輔が言うように、WBCでクローザーがつとまる投手だとは思うが。

クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。今日は三浦清弘。
Classic Stats


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