マイアミ・ニュータイムズというアメリカの地方紙が、ニューヨーク・ヤンキース=NYYのアレックス・ロドリゲスなど数人のMLB選手が、2009年以降、マイアミのクリニックからヒト成長ホルモン(HGH)やステロイドなどを提供されたと報じている。
MLBの薬物疑惑の歴史を簡単にまとめてみよう。

A-ROD 20130131


オリンピックが1980年代からドーピングに厳しい姿勢を打ちだし、88年のソウル五輪でベン・ジョンソンが失格になるなど、薬物使用を徹底的に排除しようとしていたのに対し、MLBは、極めて対応が遅かった。
21世紀に入っても、ステロイドの投与や薬物使用は事実上野放しで、そんな中、マグワイア、ソーサ、ボンズが本塁打記録を次々と更新した。

2004年にアメリカの栄養補助食品会社バルコが、スポーツ選手に禁止薬物を提供していたことが発覚、この際にそのリストにボンズらの名前があったことが分かり、MLBは薬物使用に対する対応を大きく変更せざるを得なくなった。

実はその前年、MLBは薬物検査を行っていた。あとで明るみに出たことだが、その検査で104人の選手に陽性反応が出ていた。しかしMLBはこの結果を公表しなかった。

2005年からMLBは薬物検査を強化するとともに罰則規定も設けたが、社会からのMLBへの批判が収まらず、バド・セリグコミッショナーは、元上院議員のジョージ・J・ミッチェルに薬物使用に関する徹底的な調査を依頼した。ミッチェル・レポートによって89名の薬物使用が明るみに出た。

A-RODはミッチェル・レポートに名前が出てこない。
この時点では、A-RODは、マグワイア、ボンズ、ソーサらと比べて「クリーンなスラッガー」だとみなされていた。

MLBとしてはここで薬物問題に幕引きを図りたかったのだろうが、2009年になって、2003年の薬物検査の結果が外部に漏えい、104人の選手が陽性反応を示していることが明るみに出た。

とりわけA-RODがその顔ぶれに入っていることが注目を集めた。

以後も薬物疑惑は度々ニュースとなり、昨年はオールスターゲームにも出場したメルキー・カブレラがドーピング検査でクロとなり、50試合を欠場。首位打者になる権利も辞退するという異常な事件が起こった。

今回のマイアミ・ニュータイムズ紙の報道にもメルキーの名前が出ているが、それは昨年の薬物使用のことだと思われる。



「事実であれば」という但し書きがつくが、A-RODの今回の薬物疑惑は、ボンズやマグワイア、クレメンスらが行った行為とは大きく異なっている。
ボンズらは、まだMLB自体が薬物使用に対して強い規制をかけていない時代に薬物に手をだしたのだ。批判はされているが、ルール違反をしていたわけではない。
しかし2007年のミッチェル・レポート以降、MLBでは薬物に関する意識は大きく改まっている。状況は全く変化したのだ。
A-RODは2009年に記者会見をして2001年から2003年の薬物使用を認めて謝罪。そのときに2004年以降の潔白を明言している。
その舌の根も乾かぬうちに、薬物を購入し、以後も使用していたのだ。

問題になっているのに自らの薬物使用を隠していた事、2001年から2003年まで薬物を使用していた事、そして2009年以降も薬物を使用していた事。A-RODは三回、人々を裏切った。

同情の余地はないだろう。A-RODの選手生命、そして社会的地位は失われることになるだろう。

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