毎年毎年冬=MLBのオフに顔を合わせている国同士の決勝戦となった。新鮮味はないが好勝負だった。そして我々が抱く「あっちの野球」の概念を変えるような試合でもあった。
カリブ海周辺の地図。グリーンは本戦出場国。イエローは予選出場国。赤は決勝ラウンド出場国。

WBC-Country


ドミニカとプエルトリコは100マイル程度の海を隔てた隣国同士だ。キューバもすぐ隣だし、ベネズエラだって、メキシコだってすぐそばだ。おまけにオランダの主力は、地図に小さく出ているキュラソー島の選手たちである。
この地図にないWBC参加国はカナダ、そして東アジア、東南アジア、さらにオセアニア、ヨーロッパ。
しかし、野球の密度でいえば、カリブ海周辺は、日本海周辺を上回る濃密さだと言えよう。

ようするに今回のWBCは、MLBの体系下で巨大なグループになろうとするカリブ海域の野球の進化を我々にまざまざと見せつけてくれた大会だと言える。
これまでMLBへの、「身体能力の高い素材供給国」と思われてきたこのエリアが、WBCの戦いを経て「戦術」「戦略」を身に付けようとしている(主としてその「学び」は、NPBからだと想像されるのだが)。
古色蒼然たるキューバ野球との対比でみても、それは明らかだ。
決勝戦は、変貌しつつあるカリブ海域の野球を象徴するようなゲームだった。

そうか、プエルトリコ国歌は「星条旗よ永遠なれ」だ!

ドミニカとプエルトリコは、よく似た野球をしてきた。ホセ・レイエス、アンヘル・パガンというスピード感のあるトップバッターが出塁し、それを2番打者がつなぎ、ロビンソン・カノ、マイク・アビーレスというポイントゲッターが返す。
カノもアビーレスも振り回すのではなく、シャープに振ってボールを人のいないところに飛ばしていた。確実性のある打撃。
大量点ではなく、先取点を取る。そして、それを中継ぎ投手で守っていく。
先発投手以上に中継ぎにしたたかな投手を揃えていたこと、そしてクローザーが良かったことも共通していた。
かつての豪快に打ち勝つ野球は、影を潜めていた。

どこかの野球に似ている。

そう、NPBの野球にそっくりだった。カリブ海域のスモールベースボールが生まれたのだと思った。

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例によって両軍の投手は立ち上がりに乱れた。デデューノはパガンに安打を許す。しかし後続を断って事なきを得たが、アルバラードはレイエスに火の出るような二塁打を打たれ、初球バントで送られた後、カノを敬遠、エンカ―ナシオンの当たりがパガンの頭を越えてドミニカに先制を許した。緊張感のある立ち上がりだった。

プエルトリコは先発投手の力量で、ドミニカに見劣りがした。
しかし、アルバラードから代わったバーゴスは、出塁こそ許したが、ドミニカ打線を繋がらせなかった。

デデューノも、3四球2安打されたものの5回を零封。雨が降ってきたがほとんど影響なし。

こうなると、ドミニカには絶対的な中継ぎ投手陣がいる。1回ごとに繰り出される速くて精度の高い投手たちを打ち崩すのは至難の業だ。

バーゴスは、5回にアイバーに二塁打を許してさらに失点。

7回、ドテルからアビーレスが安打で出塁。続くリオスも四球。最大のチャンスが訪れた。しかし下位打線が凡退。

8回も、カシーヤがパガンを歩かせたが、以下は凡退。

今大会のプエルトリコは、パガン、アビーレス、モリ―ナ以外に頼れる打者がいなかった。
レイエス、カノだけでなく、エンカ―ナシオン、クルーズ、アイバー、テハダと揃ったドミニカとは「打線の厚み」で見劣りがした。

8回、プエルトリコのカブレラが三者凡退に切って取る。
9回、7試合6セーブという空前の働きをするロドニーの前に、失策で先頭打者が出はしたが、後が続かなかった。



日本とドミニカの決勝戦が見たいとは思ったが、恐らく日本は勝てなかったのではないか。投手力において、日本はドミニカに及ばないように思えた。
またロビンソン・カノに代表される各打者がのびのびと野球をしているのを見ると、メンタル面でのたくましさでも及ばないと思った。

ヨーロッパ、東アジア、そしてカリブ海域。野球は変貌しつつある。MLB、アメリカは自身が蒔いた種が芽生え、成長していることを実感すべきだ。
アメリカという国は、世界一内向きの国だと言われるが、世界に目を向けて変容すべきだと思う。


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