各国の成績を詳細に見て行こう。WBCにはWBCならではの戦いがあるということを実感する。
打撃成績

Sokatsu-Bat


打線ではキューバが圧倒的だったのだ。もちろんそれは台湾、中国戦での馬鹿当たりによるものだ。しかし、こうした馬鹿当たりが、以後の試合での大振りに結びついたことは想像に難くない。日本にもそういう傾向はあった。

ドミニカ、オランダは二塁打が多かった。今大会は二塁打の多い大会だったが、大振りするのではなく鋭く速くスイングする打法が有効だったのだろう。

四球は日本とオランダが一位。オランダの野球の一端が見て取れる。

日本は盗塁数も盗塁死数も1位。うーんと唸ってしまう。

オランダは三振もワースト。私は三振数は「弱者のSTATS」だと思うが、それでもベスト4。これは味わい深い。

投手成績

Sokatsu-Pitch


ドミニカの8戦全勝が光る。興味深いのは4敗と一番多く負けたプエルトリコとオランダがベスト4に残ったこと。こうした短期決戦では、負けることも戦略の内ではないかと思う。
ドミニカは8戦で7セーブ11ホールド。要するに救援投手で勝ったのだ。ロドニーもMVPに値しよう。

オランダは被安打、被本塁打で1位。これも「弱者のSTATS」だ。日本は74奪三振。投手陣の実力は際立っていた。

さて、投打のバランスを例によってマトリックスにおいてみる。

Sokatsu-Matrix


短期決戦では、STATSが勝敗に反映されないことも多い。実力的にはキューバはベスト4に進んでもおかしくなかったのだが、4強にはキューバよりはるかに数字が悪いプエルトリコ、オランダが入った。

オランダは日本に2度大敗しているなど、4敗での得失点差は-21、4勝での得失点差は+14。勝つときは僅差、負けるときは大敗。
プエルトリコは4敗での4敗での得失点差は-14、4勝での得失点差は+10。

ポイントとなる試合の、ポイントとなる局面に、乏しい戦力をいかに集中するか、を熟考していたのだと思う。

接戦、好勝負が多かったのは、オランダ、プエルトリコ、さらには台湾など戦術、戦略面で長けたチームが多かったからだと思う。



実力で圧倒しようとしていたチーム、そもそも勝つことより無事に返すことを考えていたチームとは大きく意識が異なっていたと言えよう。
こういう形で戦力的に劣ると思われる国、チームが善戦することは、野球後進国に勇気を与えることだろう。

日本はいつのまにか「強者の野球」をしていたように思う。「弱者の野球」の手本は間違いなく日本だったのだから、やはり基本に戻るべきか。


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