関西地区限定の話題で恐縮だが、昨日、毎日放送=MBS地上波では阪神vsヤクルト戦の中継があった。
ちょっと不思議な企画が盛り込まれていて、試合の前半は、ジャパネットたかたが、試合の合間に生CMをぶち込んでいるのだった。

甲高い声でかんかんまくしたてる例の社長は、耳障りではあるが、そんなに嫌いではない。家電製品など、メーカーがアピールしない良さを見つけて説明しているし、親切ではある。ただし、かなり大げさではある。昔、ラジカセの紹介で「早送り、巻き戻しもボタン一つ」といっていたことがある。また、パソコンの紹介で「なんと、このパソコンに、WndowsXPがついている。みなさん、最新のソフトですよ!一番新しいOSが、もう入ってるんですよ!」と騒いでいた。「入ってなかったら動かへんがな」と突っ込まずにはおれなかったが。

この高田社長が、プロ野球にどうからんでくるのか、注目していたのだがちょっと当て外れだった。
「さあ、試合は始まったばかり」とか「試合は盛り上がってます」とかいうだけで、あまり試合に絡まなかった。
「この掃除機なら、メッセンジャー投手が残したランナーもぜんぶ吸い取ってくれますよ」みたいなことを言ってくれれば良かったのに、生でやる意味があまりなかった。
高田明社長は、野球がそれほど好きではないのかもしれない。
テレビショッピングを見ていらいらするのは、商品のことだけをのべつまくしたてて、遊びが全くないことだ。業績が伸び悩んでいると言われるジャパネットたかたも、そういう遊び心を盛り込むゆとりがないのかもしれない。



試合はメッセンジャーが6回に崩れて3失点したが、7回にマートンの3塁打と福留の2ランで阪神が同点に追いつく。
見ごたえのある試合になった。

解説は亀山努と遠山奬志。ちゃんと解説しているのだが、あまり心に残るようなことを言わない。
アナ:最近の阪神の投手はおとなしいといわれますが
亀山:そうですね、投げるボールもおとなしい
くらいである。
この局は、亀山を除いて阪神コーチのOBをとっかえひっかえ解説者に迎え入れる。まだ半分阪神とつながっているので、球団や選手への思い切った批判ができない面がある。切っ先が鈍っている。彼らのゆるい解説は、ある意味で今の阪神の指導者たちのレベルを反映しているのかも知れない。

さて、3対3になってこう着状態が続く。阪神は歳内、福原が走者を出しながらもなんとかしのぐ。ヤクルトも江村、石山が何とか抑える。

8回裏、西岡が安打で出塁し、大和が送って打者鳥谷というところで、突然、「試合の途中ですが、まもなく野球中継を終了させていただきます」というテロップが出て、アナが「あと1分で中継を終わらせていただきます」と言った。

少し前なら、当たり前のこととして受け止めていただろうが、私は自分が不寛容になっていることに気が付いた。許せないと思った。BSやCSの放送を見慣れた人間にとっては、信じられない蛮行に思えた。
続きはラジオで聞いてくれ、という案内が出た。昔なら従順にしたがっただろうが「誰が聞いてやるか」と思った。
多チャンネル化が進んで、地上波以外の放送を享受する人が増えるとともに、地上波の慣行は受け入れられなくなっている。

続きはSky A、つまりライバルの朝日放送系で見た。
延長12回、これまで不振を極めていた福留孝介のこの2本目の本塁打=サヨナラグランドスラムが出た。劇的な試合だった。
それほどいい当たりではなかったが、左翼ポールのネットに当たった。確かに今年の統一球は伸びるのかもしれない。

野球は頭からしっぽまで見るものだ。そういう意識が定着している。

MBSは、視聴者は、この息詰まる試合の成り行きよりも、ダイエット中の森公実子の体重の方を知りたがっていると判断したのだろうが、地上波は、もうプロ野球中継を止めた方がいいと思った。



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