肝心なことを聞かずに、どうでもいいことをわざわざ聞くのが、今風のメディアだ。
当サイトの読者からも指摘があったが、ブランコが負け試合にしか本塁打を打っていないことを試合後にわざわざ聞いた記者がいる。4月18日のことだ。複数のメディアに載ったということは、一人ではなかったのかもしれない。
ブランコは、
「仕方がないよ。また明日、違う日になる」
と答えていたが、内心失礼な奴だと思ったことだろう。

誰が考えても、これは偶然でしかない。たまたまブランコが本塁打を打った試合が、負け試合になっただけだ。それをあたかもブランコに責任があるかのように問い詰めたのだ。

ありもしない妄説を持ち出して、犯人捜しをするのは、日本人の悪癖だ。
昔の田舎町では、「○○がこの町に来てから、火事が多くなった」みたいなまことしやかな噂がよく流れたものだ。

大抵、根も葉もないうわさの標的になるのは、よそ者、新参ものだ。日本人のスラッガーにこんな質問をすることはないだろう。
「島国根性」とは、まさにこのことをいう。良識のあるメディアのすることではない。どんな答えを期待していたのだろう。
しかし、記者のこの質問がブランコを奮い立たせたのは間違いないところだ。
ブランコが本塁打を打った試合の結果。

Blanco-HR


質問があった4/18を境に3連勝。しかも古巣の中日を3タテである。
本塁打を打ったのに勝てなかったのは偶然だろうが、本塁打を打って勝ったのは、この取材にブランコが奮起したからかもしれない。
まさか、記者はブランコを奮い立たせるためにこんな質問をしたわけではないだろう。

朝も触れたが、早稲田大学の高梨が完全試合を達成したニュースについて、日本ハムの斎藤佑樹に聞きに行った取材も同様に、「どうでもいいことをわざわざ聞いている」類だと思う。



確かにメディアは、「話したい人に話を聞く」だけが仕事ではない。「話したくない人に口を割らせる」のも大事な仕事だ。
しかしそれは、「強者」「権力を有している人」に限られる。その虚飾を剥ぎ、弱みをさらけ出すのもメディアの責務だ。

しかし、スポーツメディアは、しばしば「弱者に口を割らせる」ことをする。みじめな境遇にある人間に、意地の悪い質問をして話を引き出そうとする。「水に落ちた犬を叩く」とはこのことだ。

彼らは取材対象から何かを引き出そうと思っているわけではない。どんなリアクションでも「あいつがこんな表情で、こんなことを言った」という情報さえ取れれば勝ちなのだ。
読者も覗き見趣味で見てしまうが、重要なことは少ない。どうでもよい話が多いのだ。

大昔、ヤクルトにやってきたチャーリー・マニエルに対して「エマニエル夫人をどう思うか?」ときいた記者がいた。私は高校生ながら恥ずかしく思った。

レベルの低い報道は昔からあった。

しかし、近年、この手のつまらない報道が増えているように思う。メディアの劣化を感じずにはおれない。


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