先ほどMLB先発投手の球数の内訳を紹介したが、NPBはどうなのか、これも調べてみることにした。
私自身も投手成績を集計してはいるが、手元集計でやや心許ないため今回、「プロ野球ぬるデータ置き場」さんのデータも参照させていただいた。

2012年のNPB各球団の先発投手の球数別の内訳、参考までにMLBの各リーグのトータルの記録もつけた。

NP-2012-NPB


先発投手の平均投球数(NP/GS)は、MLBもNPBも大差はない。しかし、最大投球数(MAX)は、NPBの方がはるかに多い。昨年最多はDeNAの三浦大輔(9月25日 中日戦)の151球。130球以上の記録は掃いて捨てるほどある。

球数別の構成、NPBでは120球以上投げる試合がほとんどの球団で1割以上ある。
またMLBでは80-119球までのケースが85%以上あるが、NPBでは70%前後しかない。
79球以下で降板するケースはMLBでは12~13%だが、NPBでは20%近くある。

MLBでは、立ち上がり失点しても100球程度まで投げさせることが多い、また好投していても120球までに降板することが多い。
これに対しNPBは、先発投手が乱調だと判断すれば早々に降板させることが多い反面、調子がよければ120球以上投げさせることも珍しくないということだ。

MLBでは120球以上投げることが許されるのは、限られたエース級に限るが、NPBでは調子の良い先発投手であれば、誰であってもそれくらい投げることが求められる。

2013年もこの傾向は変わらない。

NP-2013-NPB


ただ、球団、監督によって多少の方針の違いがあるようで中日は120球までで降ろす傾向が強い。また80球までで降ろすケースも多い。救援投手の比重が大きいと言えよう。
日本ハムにもその傾向がある。

このデータをもってNPBの方が投手を酷使するとは言い切れない。NPBの先発投手は中5~6日で登板する。シーズン通して28回前後しか投げない。MLBは中4日が原則でシーズン通して32~33回は先発する。
シーズン通算の投球数ではNPBが3000球程度なのに対し、MLBでは3500球を超えることも珍しくない。
過酷さではMLBの方が上かも知れない。MLBが球数制限にうるさいのは、シーズンがそれだけ過酷だからだとも言えよう。

ダルビッシュは今季すでに985球投げている。平均すれば1試合110球に近い。3500球越えは間違いないところだ。NPBでは2011年に3387球を投げているが、3500球越えは未経験だ(昨年は3166球)。
大丈夫だとは思いたいが、ポストシーズン進出も考えれば、慎重な上にも慎重に投げてほしいと思う。



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