toitusykyu20130614


今回のNPBによる統一球改変とその隠蔽不始末は、社会に予想外の反響を与えた。スポーツは、オープンでクリアでなければならないという大前提を日本社会はまだ大切に思っているのだ。良いことだと思う。
いくつかの疑問がある。

① 昨年までの統一球は反発係数以下の球がどれくらい混じっていたのか?

プロ野球規格ではボールの反発係数は0.4134~0.4374の間に収まらなければならないとされる。今回のNPBの発表によれば、昨年までの統一球には0.408程度の反発係数の低い球が混じっていたという。
微妙な差のようにも思えるが、その差によってNPBの野球は激変したことを考えると、見過ごせない大差だったわけだ。
こういう不正な球は、全体の何%くらい混じっていたのか?
統一球は規定の反発係数の下限である0.4134に限りなく近づけようとしたとのこと。下手をすると、大部分がその数値を下回っていたのではないか、という疑問がわく。

② 今の使用球の反発係数はどれくらいなのか?

昨年までの統一球を改良し、反発係数を許容範囲内に戻したということだが、今の球はどれくらいの数値なのか。確かに2010年の数値に比べるとまだ本塁打数や打率は低いから、規定の範囲の下半分くらいにいるような気もするが、よくわからない。
ただ、わずかな調整によって、ボールは大きく変化するのは間違いないようだ。どのくらいの数値なのか。

③ そもそも、反発係数を微妙なレベルでコントロールできるのか?

実は、今回の統一球導入から、ミズノは生産地を日本から中国に移している。おそらくは大量生産するための人員確保とコストダウンを目的としたものだと思うが、できたばかりの中国の製造ラインで、そこまで厳密な反発係数のコントロールができたのか?
2011年も試作球は規定内の反発係数だったかもしれないが、大量生産品で品質のぶれができたのではないか。だとすれば新統一球も品質にブレがあるのではないか。
そういう微妙な調整をするよりも、MLBの使用球をそのまま導入するとか、技術を移転するとかした方が、良いのではないか。

④ 寡占状態となったミズノとNPBに癒着はなかったか

これまで4社で作っていたNPB公式球を1社に統合するにあたって、NPBとミズノの間に、コスト面、品質管理面などの癒着はなかったのか。競争環境がなくなることで、品質が低下することは、よくあることだ。
反発係数が低い球を作ったのはメーカーであるミズノの製造責任だが、NPBがなぜそれを隠ぺいしようとしたのか。
そこに癒着の匂いを感じるのだが。



⑤ 下田事務局長は、本当に独断で統一球をいじったのか?

日本プロ野球選手会の顧問弁護士のブログによれば、下田邦夫氏は非常に慎重な性格の人物で、上司に諮ることなく独断で重要事項を決済することなど考えられない、とのことである。
本当に下田氏が独断でこんな大きなニュースになるようなことをしたのか。
あるいは加藤良三コミッショナーの身代わりになったのではないか(政界、官界ではこういうケースがよくある)。
下田氏は退任させられるのか。今後の身の振り方も含め注目したい。

⑥ 渡邉恒雄氏はこの件にかかわっていたのか

「統一球になって本塁打が出なくなった。試合が面白くなくなった」と常々渡邉氏は言っていた。その意向がNPBに伝わって、今回の改変につながった可能性は否定できないが、証拠はない。

讀賣グループのスポーツ報知は、「NPBは嘘をついた」と舌鋒鋭く追及したし、讀賣新聞も今回の事件について取り上げている。これを見る限り、その可能性は低いようにも思える。一方で、最近の讀賣新聞は統一球の混乱を問題視しながらも、加藤コミッショナーの責任については、慎重に言及を避けている。
それは今回の事件が、(加藤氏独断での決裁事項であったとしても)コミッショナーは擁護すべき、という判断が働いたからかもしれないし、渡邉氏が言いだしっぺだったからかもしれない。今のところ判断がつかない。

しかしいずれにせよ、讀賣新聞はNPBの現体制の擁護者なのは間違いがないから、コミッショナーに責任が及ばぬうちに幕引きを図ろうとするはずだ。今後の動向に注目したい。



⑦ マスコミは、加藤コミッショナーの責任を追及できるのか

これまで、この規模で社会批判が広がった場合、責任者は辞任するのが通例だった。しかし上村春樹全柔連会長や、北の湖日本相撲協会理事長の例を見ても、いつの間にか批判勢力を封じ込めて権力基盤を固めなおし、居座るケースが増えている。
今のところ、マスコミ各社、そしてへたれのスポーツ紙も勇ましく論陣を張っているが、本当に責任を追及することができるのか?「取材させてやらないぞ」といわれて「ごめんなさいでした」と言わないのか、注視したい。

今回こそは、のど元過ぎれば熱さ忘れる にならないようにしたい。
本日あるとされるNPB事務局の謝罪行脚についても、気温32度のむしむし台湾から見守りたい。

蟷螂の斧ながら、当サイトも引き続きこの問題について取り上げていくつもりだ。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!



※私が取材して記事にしている滋賀県のサイト。良かったらお読みください。
siga-oisi



広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。




クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。1956年のパ救援投手陣
Classic Stats