マニー・ラミレスは3月11日に義大ライノズと3か月の契約をした。ということは6月11日で契約が切れるということだが、結局6月末までになったようだ。
台北に近い桃園国際棒球場は、Lamigoモンキーズの本拠地。昨日から最下位のLamigoは首位の義大を迎えて3連戦。
しとしとと雨が降り続く。小さな球場には、1時間前から人が集まり始めていたが、グランドにはシートがかけられたまま。
豊浦彰太郎さんに手配していただいた席は、バックネット裏の良い席だったが、雨にぬれるため屋根下の席に移動。
突然、強烈なにおいが漂ってきた。トイレの匂いにも近いが、もっと饐えたような“深みのある”悪臭。
「臭豆腐というんですよ。私は現地の名物をできるだけ食べるようにしているんですが、これだけはだめでした」
豊浦さんは2年前にMLBが台湾で野球をしたときに見に来ている。
とりあえず“においの元”を見に行くことにした。
豆腐のようなものを串に刺して、上からスパイシーなたれが塗ってある。その食べ物自身は香ばしい香りがしているのだが、その周囲に恐ろしい臭気が漂っている。要するにたれに覆われた“本体”が凄まじいのだ。
日本でいえば球場で「くさやの干物」や「ふなずし」を売っているようなものである。店のおじさんもマスクをしてるのは、やっぱり臭いからか。
試合開始予定の6時半を過ぎて、坊主頭の青年たちがグランドに出てシートを巻き始めた。試合はあるのだ。
7時前、選手がベンチの外に出てキャッチボール。雨は降り続いているが、試合は始まった。
先攻はビジターの義大、4番に曼尼の名。一番打者は左飛に倒れたが二番が左翼線に二塁打、三番打者が打席に立つと、ネクストバッターボックス、私たちのほんの数メートル先に、ずんぐりした打者が現れた。ヘルメットから滝のようにドレッドヘアが垂れている。太い腕には刺青は見える。
私はちょっと取り乱した。あまりにも簡単に“お目当てが”現れたからだ。
バックネット裏に人がわらわらと集まってくる。マニーを背景に記念写真を撮る人もいる。
マニーが出る試合は観客数が跳ね上がるのだ。
二死二塁で打席に立つマニー。バットをせわしなく振るしぐさは変わらない。しかし、マニーはかわいいなあ。まるでゆるキャラのようである。
すさまじいスイングをしたが、右飛に倒れる。
試合は2回、弱いはずのLamigoの猛攻で7点が入った。とにかく台湾の選手はよくバットを振る。投手は140㎞/hに達することはまずない。変化球もスライダーがある程度。高めの球を打者はどんどん打っていく。二死から7連打。しかも中前打が5本連続。投手ももう少し考えて投げればいいのにと思う。
それに、内野手の守備位置もおかしい。右打者なのに三遊間が空きまくっている。遊撃手の肩が弱いために、内野安打もたくさん出る。
曼尼ラミレスは、選球眼の良さで知られていたが、台湾では非常に少なかった。なぜかと思っていたが、ここの野球ではじっくり見て行く打者はほとんどいないのだ。どんどん打つのが普通なのだ。
「ラテン系ですね」
と、WBC予選でプエルトリコを取材したMuneharu Uchinoさん。確かにシンプルな野球ではある。
こう書いていると、落ち着いて野球観戦をしているように思われるかもしれないが、周囲はすさまじい騒音だ。味方の攻撃の間中、チアリーダーの男が大音量でがなり立て、それに合わせてスタンドが騒ぎ倒す。
チアガールが前に立って、踊りまくっている。
「メジャーやNPBでは、イニングの間だけですが、こっちはプレー中もですからね」と豊浦さん。
ご存じのとおり、私は応援が大嫌いなのだが、ここまですさまじいと、腹も立たなくなってくる。試合はワンサイドになったが、そんな試合でもお客さんがここまで楽しめるのなら、ま、いいかという気になってくる。
マニーの二打席目は遊撃への深い当たり。強襲ヒットになる。一塁のマニー。
試合は3回までに両軍で19安打という大乱戦。率直に言って、投手のレベルは日本の独立リーグ並み、打者はそれより多少良いかという感じ。
マニー・ラミレスは子どもに交じって大人が一人野球をしている感がある。ただ、試合の流れとはまったく別個に、マニーが登場すると球場は盛り上がる。その熱気が、この四十男にはうれしいのではないか。
大乱戦が終わったのは10時55分、マニーは3打席で引っ込んだ。
少しやせて精悍になったマニー・ラミレスは野球を楽しんでいるように見えた。
関連記事 ➔ 豊浦彰太郎氏
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※私が取材して記事にしている滋賀県のサイト。良かったらお読みください。
広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。
クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。1956年のパ救援投手陣
しとしとと雨が降り続く。小さな球場には、1時間前から人が集まり始めていたが、グランドにはシートがかけられたまま。
豊浦彰太郎さんに手配していただいた席は、バックネット裏の良い席だったが、雨にぬれるため屋根下の席に移動。
突然、強烈なにおいが漂ってきた。トイレの匂いにも近いが、もっと饐えたような“深みのある”悪臭。
「臭豆腐というんですよ。私は現地の名物をできるだけ食べるようにしているんですが、これだけはだめでした」
豊浦さんは2年前にMLBが台湾で野球をしたときに見に来ている。
とりあえず“においの元”を見に行くことにした。
豆腐のようなものを串に刺して、上からスパイシーなたれが塗ってある。その食べ物自身は香ばしい香りがしているのだが、その周囲に恐ろしい臭気が漂っている。要するにたれに覆われた“本体”が凄まじいのだ。
日本でいえば球場で「くさやの干物」や「ふなずし」を売っているようなものである。店のおじさんもマスクをしてるのは、やっぱり臭いからか。
試合開始予定の6時半を過ぎて、坊主頭の青年たちがグランドに出てシートを巻き始めた。試合はあるのだ。
7時前、選手がベンチの外に出てキャッチボール。雨は降り続いているが、試合は始まった。
先攻はビジターの義大、4番に曼尼の名。一番打者は左飛に倒れたが二番が左翼線に二塁打、三番打者が打席に立つと、ネクストバッターボックス、私たちのほんの数メートル先に、ずんぐりした打者が現れた。ヘルメットから滝のようにドレッドヘアが垂れている。太い腕には刺青は見える。
私はちょっと取り乱した。あまりにも簡単に“お目当てが”現れたからだ。
バックネット裏に人がわらわらと集まってくる。マニーを背景に記念写真を撮る人もいる。
マニーが出る試合は観客数が跳ね上がるのだ。
二死二塁で打席に立つマニー。バットをせわしなく振るしぐさは変わらない。しかし、マニーはかわいいなあ。まるでゆるキャラのようである。
すさまじいスイングをしたが、右飛に倒れる。
試合は2回、弱いはずのLamigoの猛攻で7点が入った。とにかく台湾の選手はよくバットを振る。投手は140㎞/hに達することはまずない。変化球もスライダーがある程度。高めの球を打者はどんどん打っていく。二死から7連打。しかも中前打が5本連続。投手ももう少し考えて投げればいいのにと思う。
それに、内野手の守備位置もおかしい。右打者なのに三遊間が空きまくっている。遊撃手の肩が弱いために、内野安打もたくさん出る。
曼尼ラミレスは、選球眼の良さで知られていたが、台湾では非常に少なかった。なぜかと思っていたが、ここの野球ではじっくり見て行く打者はほとんどいないのだ。どんどん打つのが普通なのだ。
「ラテン系ですね」
と、WBC予選でプエルトリコを取材したMuneharu Uchinoさん。確かにシンプルな野球ではある。
こう書いていると、落ち着いて野球観戦をしているように思われるかもしれないが、周囲はすさまじい騒音だ。味方の攻撃の間中、チアリーダーの男が大音量でがなり立て、それに合わせてスタンドが騒ぎ倒す。
チアガールが前に立って、踊りまくっている。
「メジャーやNPBでは、イニングの間だけですが、こっちはプレー中もですからね」と豊浦さん。
ご存じのとおり、私は応援が大嫌いなのだが、ここまですさまじいと、腹も立たなくなってくる。試合はワンサイドになったが、そんな試合でもお客さんがここまで楽しめるのなら、ま、いいかという気になってくる。
マニーの二打席目は遊撃への深い当たり。強襲ヒットになる。一塁のマニー。
試合は3回までに両軍で19安打という大乱戦。率直に言って、投手のレベルは日本の独立リーグ並み、打者はそれより多少良いかという感じ。
マニー・ラミレスは子どもに交じって大人が一人野球をしている感がある。ただ、試合の流れとはまったく別個に、マニーが登場すると球場は盛り上がる。その熱気が、この四十男にはうれしいのではないか。
大乱戦が終わったのは10時55分、マニーは3打席で引っ込んだ。
少しやせて精悍になったマニー・ラミレスは野球を楽しんでいるように見えた。
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