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台湾からの帰路、日本で言う『夕刊フジ』みたいな新聞を読んでいて(厳密には見ていて)、面白い記事に当たった。台湾野球(CPBL)は今、激変しているのだ。
1990年にリーグ戦をスタートした台湾プロ野球は、一時期「中華職業棒球連盟」と「台湾職業棒球大連盟」が両立したが、2003年に合併し、「中華職業棒球大連盟」となった。
以下、『聯合晩報』に基づいた平均観客動員数の推移。
黒ベタ抜きは八百長事件。

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CPBLは、1992年に6878人という平均観客動員を記録したが、相次ぐ八百長事件やとばく事件(台湾では假球事件)で、人気が失墜した。

黒鷹は時報イーグルス、黒熊はLa Newベアーズ、黒鯨は中信ホエールズ、黒米は米迪亜ティー・レックス、黒象は兄弟エレファンツ。それぞれの球団を舞台にした八百長事件が起こったのだ。「黒」を冠しているところに無念さが窺える。
このうち、米迪亜ティー・レックスは、球団ぐるみで八百長に加担していた。

台湾人は基本的に賭博が好きだとされる。あらゆる勝負ごとに賭けが発生する。宿痾と言っても良いが、事件が発生すると観客数は減少する。ようやく回復したと思ったらまた八百長事件で減少することを繰り返しながら、社会の信用を失ってきた。

観客動員2000人は、発足当初のBCリーグのレベルである。台湾のトップリーグは、日本の独立リーグと大差ない観客しか呼びこむことができなかったのだ。

反対にWBCは野球人気を押し上げるのに貢献するようで(2006年の数字は分からないが)2009年には、台湾は日本ラウンドで敗退したものの観客数が久しぶりに3000人を超えている。

2013年、状況は劇的に変化した。前年の4倍近い観客動員。過去最多だった1992年をも上回り、台湾プロ野球はいきなり活況を見せるようになった。

これは2009年のWBCで、チャイニーズ・タイペイが予選ラウンドを勝ち抜き、第一ラウンドも韓国を得失点差で上回って東京ラウンドに進出し、日本を苦しめるなど大健闘したことが大きいだろう。

第一ラウンドの3/5、台中インターコンチネンタル野球場での韓国戦は、台湾野球史上最多の23431人を記録。一気に野球人気が爆発したのだ。

台湾の野球場には常設の店舗や展示施設が少なく、仮設の店ばかり目立ったが、それは昨年までそうした店が営業的に成り立たなかったことを意味しているのだろう。今年の大異変で、野球周辺ビジネスも大活況を呈しているのだ。



昨年、今年の各球団平均観客動員数

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義大が1万人近い動員数。一昨日私たちが見た試合も13000人が入っていた。義大だけが突出しているのは、やはりマニー(曼尼)・ラミレス効果ではないか。

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拡声器ががなり立てて、どんちゃんうるさく騒ぎ立てる応援スタイルは、かなり以前からあったようだが、今年は観客動員と相まって異例の盛り上がり。夕刊紙でも、大きく特集を組んでいた。アイドルが応援するとチームは勝つと言う記事。

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野球専門誌では、インカムをつけてがなり立てるチアリーダーが取り上げられていた。アイドルみたいである。この人は3時間くらいぶっ続けで叫びまくっている。

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台湾野球とその周辺の文物は今、激しく動いているのだ。

台湾の人々は野球が好きで、試合を見ることを渇望していたのだ。しかし醜い不正が相次いだことでCPBLの信用は地に落ちた。

スポーツの世界には、信頼感が不可欠なのだ。統一球騒ぎに揺れるNPBも、下手をすればCPBLのように凋落しかねない。
もって他山の石とすべきだろう。

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