ゴールドシュミットという強打者が出て、MLB打者の勢力図がまたまた変わったと思ったら、わずか1か月でそれを上回る大物が登場した。
キューバから亡命した22歳のヤシエル・プイグ。
キューバからMLBにやってきたMLB選手は175人を数える。ラファエル・パルメイロの3020安打を筆頭に2000本安打以上は4人、1000本以上は14人、ルイス・ティアントの229勝を筆頭に100勝投手は6人もいる。
ドミニカなどと並ぶ有数の「野球選手供給大国」だが、キューバはアメリカとは国交がない。1961年のキューバ革命、国交断絶以降、キューバの選手は「亡命」と言う形でMLBにやってきた。
そのままアメリカに行くのではなく、第3国に亡命してそこを経由する場合が多かった。
一度自由主義圏に流出した選手は、例外はあるにせよほとんどキューバに復帰することはできない。キューバの選手にとって、MLB挑戦とは「祖国を捨てる」ことを意味している。他国の選手とは重さが違う。

かつてはキューバ国内リーグで赫々たる成績を上げた選手が亡命することが多かったが、ベテラン選手は国内リーグで摩耗しているケースが多く、MLBとのプレースタイルも大きくかい離しているケースが多いため、最近はプロスペクトの内に亡命する(させる)ケースが増えている。
昨年オークランドからデビューしたヨエニス・セスぺデスはキューバでのキャリア10年の働き盛りだったが、今回のプイグは2010年に国内リーグにデビュー。早くからMLB志向が強く、亡命計画が発覚して干された挙句に昨年、メキシコに亡命。ルーキーリーグでデビューした。

キャリアSTATS

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昨年の内にA+に上がり、今年はわずか2か月AAでプレーしてMLBに引き上げられた。

デビューからの戦績

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デビュー2試合目で2発、5試合で4発、そして1か月で44安打。打率.443。史上初のデビュー月の月間MVP。デビュー月で44安打したのは1936年のジョー・ディマジオの48安打以来。



両者の1か月目の成績の比較。

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中距離打者と長距離打者の違いと言うべきか。MLBの野球自体も大きく変わっているが。
プイグは流し打ちでとてつもなく大きな打球を飛ばすことができる。
ディマジオはデビュー2か月目も42安打を放っている。プイグはどうだろうか。

ゴールドシュミットもそうだが、このところ右の強打者が次々と出現している。また大物新人はナリーグから出る傾向にある。新しいうねりがやってきているのかもしれない。

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