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たまたま8月に登板を見たが、体もだぶつき、気合も乗らず、現役の投手には見えなかった。そして引退表明、個人的には納得がいく。
イチロー世代。恵まれた素質をまずまず活かしきったということではないか。
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東京学館浦安高等学校からヤクルトに。桧山の項でも取り上げたが、91年は錚々たる顔ぶれがそろった大豊作の年。
高卒同学年組だけでも、近鉄4位中村紀洋、オリックス4位鈴木一朗、日ハム1位上田佳範、大洋6位三浦大輔、阪神4位桧山進次郎、そしてヤクルト1位石井一久。

古田敦也は、一番手を焼いた投手だったと述懐している。
「球威はあるけどコントロールはない。低めの球で三振取らせたいときに低めに構えてると、すごいワンバウンド投げてくる。(後で聞いたら)『ワンバウンド投げたらいいんでしょ』言うてる。こっちが必死で止めてると、またそれを振る打者がいるんですよ」
普通は、経験を重ねると制球力は向上するものだが、石井は奪三振は増えても与四球数は減らなかった。
しかし重たい速球と大きく曲がるスライダーは打者にとって最も打ちづらい球の一つで、走者を背負っても平然と投げていた。
MLBに移籍してもマイペースは変わらず。
左腕、本格派と言う点で井川慶と共通点が多かったが、石井の方が通用した。物に動じずマイペースだったこと、そしてMLBの大らかさが石井には合っていたということだろう。

日米でリーグ最多与四球を記録したのは野茂英雄、石井一久、松坂大輔の3人。意外なことだが、日本人投手がMLBに挑戦するにあたって、制球力は大きな課題なのだ。



帰国後も一線級の力を維持。これもそれほど多くない、そしてFAでパリーグの西武に移籍した。これは極めて珍しい。セリーグからパリーグにFA移籍したのは松永浩美(阪神→ダイエー)、仲田幸司(阪神→ロッテ)、小久保裕紀(巨人→ソフトバンク)に続いて4例目だが、小久保は訳ありであり、主力級では初めての例だ。

西武ではシーズンを通しての活躍はなかったが、万全の態勢で投げれば結果を出す投手だった。
昨年も10勝。ただ最近は力士のような体になり、集中力がない印象だった。

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一時期、「野球を辞めたら焼肉屋をやりたい」といっていたが、ヨシモトの契約社員として広報などの仕事をすることになったと言う。どこまでもマイペース、不思議なキャラクターのままで世の中を渡るつもりのようだ。

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