ダルビッシュの投球は進化しているのか、足踏みしているのか、過去のデータと比較してみよう。
2012、2013年の比較に今年の田中将大を上回る空前の投球内容だった2011年のNPB記録を参考までにつける。

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前の稿でも言ったが、得失点差で勝ち星を割り振ったピタゴラス勝率で見ると、2012年のダルは勝ち星に恵まれ、今年は反対に運が無かったことが分かる。

先発登板の内容を見る。NPBで圧倒的な投球内容だったダルだが、MLBではガクッと数字が落ちた。しかしQS数は3つ増えている。安定感は増しているのだ。

投球回、投球数と効率について。総投球数NPは、3年間で最多。
NPBでは8回120球投げるのが普通だったが、MLBでは6回半ば、110球行かない。
このあたりにNPBとMLBの投球スタイルが見て取れる。
注目すべきはNP/BFつまり打者一人あたりの投球数が2013年は増えているのにNP/IPが減っていること。これは無駄な走者を出さないことで、投球の効率が上がっていることを示している。とはいえNP/IP16代半ばはかなり多い。

2013年、被安打は減っている。被打率もNPB時代の水準に戻った。ダルビッシュはNPBでもMLBでも左打者との対戦が多いが、2013年は左打者との対戦がさらに増えている。これは、相手球団がよりダルビッシュ対策を強めていることを意味していよう。左右ともに被安打率は下がり、特に右打者には非常に強いが、相変わらず左は難しい相手だ。

被本塁打、80%近く増えた。左打者の被本塁打率は昨年の3倍近い。左打者の一発が、ダルビッシュの最大の弱点だ。

三振と四球、SO9はNPB時代より向上している。より攻撃的な打者がいることも一因だろう。
四球は相変わらず多いが、それでも改善している。シーズン最終盤に制球を乱したのが気がかりだ。

失点、自責点と援護点。自責点は21もへってERAは1艇以上口上。援護点は昨年と大差ないが、昨年も今年もシーズン前半に援護点が集中し、後半はほとんど援護がない状態になっている。このバランスの悪さが勝ち星が上がらない原因になった。

WHIPは向上、DIPSは四球は減り、三振は増えたが本塁打も増大したため大差なし。



しかし、課題はあるものの、ダルビッシュは確実に進化したと見てよいのではないか。


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