200926日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】 

2008年、アリーグで規定投球回数に達した投手をいろいろなSTATSで比較した。

今回は、松坂自身のより細かなSTATSを見てみよう。

まずは、シチュエーション別のSTATSである。

松坂3-1

 

 

 

 

 

 

 

 

 良く知られたことだが、松坂は2008年、満塁で一度も安打を打たれていない。これは驚異的なことである。また、スコアリングポジションでの被打率も.164。ピンチに絶対的に強かったのである。これは、言い換えればセットポジションでの投球術が優れているということなのかもしれない。

次にカウント別のSTATSである。

松坂3-2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

細かなカウント別でみると、松坂は初球を痛打されていることが分かる。また、1ストライク、1ストライク1ボールからの被打率も高い。これは、松坂がストライクから入ったときには打たれやすいということだ。

反対に、ボール3からの被打率は.171、さすがに四球が5割を超えているから、ほめられたものではないが、松坂はボールを多投して勝負をしているのだ。

これを端的にみるために、今度は投球数別に調べてみた。これはあくまでカウントされたボールで、ファウルボールは数えていない。(そこまでのSTATSが入手できなかった)さらには、同じ記録の2007年も並べてみる。非常に面白いことがわかった。

松坂3-3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2007年と2008年で、松坂が大きく進化したものがあるとすれば、ボールカウント2-1、1-2、ボール3以降の勝負で、圧勝するようになったということだ。

そのカウント以降の被打率、被本塁打、被打点もすべて良くなっている。特に、2-2、3-1以降では、本塁打は0である。この集中力こそが、好成績の秘密だったと思われる。

となれば、課題は、立ち上がりの脆弱さである。ボールから入り、カウントをたくさん重ねなければ勝負できない、という松坂の本質的なピッチングスタイルはなかなか変わらないだろうが、それならばせめて出会いがしらの痛打を避けることだ。バッターも初球のストライクに山を張ってきているはずだ。ここでの勝負が焦点ではないか。


■後日談:立ち上がりに弱かったのは今年も変わらない。2009年は早い回に火だるまになった。シェフィールドに痛打されたのが記憶に残る。