2009316日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

レベルが違った、というのが率直な感想である。速い球を投げる、遠くへ打球を飛ばすのは野球の魅力だが、それだけでは勝てない。日本は作戦をたて、配球を考え、守り方を変える野球をしている。打つか待つかにも多くの選択肢がある。

1回の表の攻撃、日本はチャプマンを全く恐れていなかった。ごく普通にバットでとらえ、球を見切っていた。1,2回にたくさんチャンスを逸したが、それでも負ける気がしなかったはずである。キューバの投手でまともな球を投げていたのはよくボールが動いていたマヤだけだ。あとは棒球。ボールとストライクがはっきりしていた。

キューバの打線で怖かったのは、セぺダだけ。4番のぺラーザはオーストラリア戦の殊勲者だが、最晩年の竹之内を見るようで、ボールが当たる気がしなかった。

松坂は立ち上がりは決してよくなかったし、あたり損ねがヒットになっていたが、良い時の彼の常でどんどん調子を上げていった。5回、6回と相手の早打ちにも助けられた。無四球は何よりの収穫だ。

イチローは、待球ができない。1回先頭打者の2-3からのボール打ちは、一つ間違えば試合の流れを左右しかねなかった。彼だけが無安打に終わった。

よもや韓国がメキシコに負けることはないだろう。少なくとも国別対抗レベルでいえば、日韓は世界で一番高い水準の試合をしているのではないかと思えた。

■後日談:怖い打者は結構いたのだが、キューバはチーム全体での作戦がなかった。誰かが突破口を開いて攻めることが前提だった。野球思想の違いと言えるのではないか。