2009316日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

柳賢振は体の切れが悪くて球数も多く、メキシコに付け込まれていた。メキシコは、1次ラウンドとは打って変わって粘り強い攻撃をした。地元に近い地の利もあってか、メキシコ勢は調子がよさそうで、特にゴンザレス弟やカントゥはシーズン中に近かったと思う。

メキシコは、MLB選手をそろえているが、投手陣の層が薄い。ペレス、カンピーヨの先発とクローザーのソリアまでの間をつなぐセットアッパーの中で、計算できるのがアヤラとレイエスしかいない。そのために打ち勝つ野球しかできなくなっている。防御率10点台、打率3割というチーム成績がそれを物語っている。

中盤以降にその差がはっきりと出てきた。韓国は、アジア野球の特色とも言うべき出塁した選手をつなぎ、送る野球をやり始めた。金泰均がいい仕事をした。

焦点となったのは7回である。カリム・ガルシアの安打で無死1塁となったところで金広鉉をマウンドにあげた。日本の初戦先発以来の登板、まだ4-2の点差で、下手をすれば前回同様試合を台無しにされる危険をはらんでいたが、韓国ベンチは金広鉉に試合を託したのである。スライダーは高めに浮き、頼りなかったが金広鉉は2人を抑えた。厳しい実戦にあえて投入することで、韓国サイドは金広鉉を戦列に復帰させたのだ。そのあと1死をとるために、同じく先発投手の尹錫珉を投げさせたのも、深い考えだ。

この裏に4点をとって、韓国は完全にペースに乗った。このあとは何も起こらなかった。メキシコは、単調な攻めになった。安打が出てもつなげるバッティングはもうしない。

韓国は試合をしながら、自チームの体制を整えていった。

また韓国とやるのか・・・という声もあるが、またやるのである。

また対戦するのだ。ほぼ互角だと思う。

■後日談:韓国と日本はプロトコルが同じという感じがする。メキシコなどラテンの国と対戦する時の攻め口が似ている。しかも、韓国はもっとアグレッシブである。人材の厚みが出れば、さらに強くなるだろう。