2009318日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

両軍首脳も、見る者も、日韓戦は前回同様の重苦しい投手戦になるものと予想していた。両者の戦いは、すぐに膠着してしまうのだ。だから、戦端を開いた直後に点を取った方が心理的に有利になる。先に仕掛けることができる。その思惑も一致していた筈だ。

韓国は、やや不振だった「韓国のイチロー」と呼ばれる李鍾旭を引っ込め、ほぼ同タイプの李容圭を1番に起用した。日本は本家イチロー。極論すればこの二人の1回表の打席の差で決まったと言ってもよい。鉄壁の日本の守備は、三遊間にやや不安があったが、そこも突かれた。立ち上がりのダルビッシュの不安にも付け込んで、決定的な3点を奪われたのだ。韓国のチャンスは、この1回限りだったのだが、それを貪欲にものにした。

感心したのは、金泰均が、ライト前に抜けそうな当たりを3度もゴロにしたこと。データ野球のたまものでもあろう。また、7回に日本戦で火だるまになった金広鉉をメキシコ戦に続き登板させた采配は、敬服に値する。大きなリスクを冒してでも、有力な投手を戦列にひきもどしたのだ。

日本は、投手交代のタイミングを間違えて無駄な1点をやったが、それ以上に、毎回走者を出しながら攻めきれなかった淡白さが情けない。思い切ってバットを振っていないという不満が残った。

キューバには優秀な投手はいない。打者はセぺダが怖いが、あとは恐れるに足りない。早い回に点を取れば、難しい試合にはならない。怖いのは、打者が意気阻喪して攻めきれずに自滅することだ。はじめての背水の陣。好調の選手を右左の別なく出すべき時が来たと思う。

■後日談:原ジャパンの最大のピンチだったが、個人的にはキューバは見切っている感があったので、負けることはないと思っていた。