【2009年3月21日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

USAとベネズエラの試合を見ていると、USAの選手の泣き言が聞こえてきそうだ。「寒くて、雨で、仲間はどんどん故障で消えていくし、非難は浴びるし、おまけにこのがらがらのスタンドだ。早くチームに帰りたいよ」。デーブ・ジョンソンはそんなチームを引っ張って、何とかここまで来た。STATSを見ても満身創痍の感がある。

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投手陣は、STATSの通り、本調子とは思えない先発投手は早々に引っ込んで、あとは多彩な中継ぎ陣でつないでいく戦法である。途中から呼ばれたハンラハンとグラボウがいい働きをしている。球速もある。何回か対戦しないと投手を打ち崩せない日本の打者には、手ごわい相手だろう。クローザーのプッツまでに勝敗が決まってしまう可能性があるだろう。

野手は1次ラウンドのスタート時点とは様変わりした。配置に苦しんで、マッキャンが外野を守ったり、アダム・ダンが1塁に入ったり。ダンの1塁は本当に下手だった。チッパーの代わりにロンゴリアが呼ばれたが、彼が3塁だけを守るとは限らないだろう。ただし、打線は決して悪くはない。ロバーツ、ジーター、ロリンズ、ダン、マッキャンと非常にクレバーなメンバーがそろっている。韓国のような積極性は見られないが、MLBの本当の力を見せてくるだろう。

日本のSTATS

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ここは松坂に託すのだろうが、USAには松坂を最も得意とするBロバーツ(12打数6安打)がいる。またジーター(12打数4安打)、グランダーソン(9打数4安打)、ロンゴリア(2打数1安打)なども松坂を苦手としていない。大いに不安である。立ち上がりが不安定なら、すぐにつなぐ用意が必要だろう。中継ぎ陣は非常に優秀だから、期待できると思う。ただ、藤川はSTATS上は抑えているが、明らかに球速が落ちている。終盤の逆転劇を経験したUSAにぶつけるには不安がある。

打線のカギはやはりイチローだろう。USAの先発はナの投手が多く、対戦成績は多くないが、特に第一打席でどんなパフォーマンスをするかが、チーム全体に影響するだろう。絶好調の青木に活躍の場を与えたいところだ。

USAは、松坂をじっくり見ていくはずである。特にアダム・ダンは荒い選手のように見えるが、MLB屈指の出塁率を誇る。松坂は四球を重ねて試合を台無しにする可能性もないではない。日本は、先発に決まったオズワルトを3回までに打ちこんで得点をあげ、逃げ切る戦法だろう。回が深まれば、USAが地力を発揮してくる。韓国戦とは頭を切り替える必要があるだろう。

 ■後日談:一番残念だったのは、USAが日本といい試合ができなかったこと。戦意の問題もあるが、調整の遅れが響いていた。