【2009年3月24日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

日本は負傷で村田を失ったが、すぐに栗原を補強した。結果的に栗原は活躍しなかったが、もう数試合あれば実績を残したはずである。日本には、このメンバー以外にほとんど力の落ちない選手が、もう1チーム分以上いる。その層の厚さはMLBに匹敵する。

対照的に韓国は、一握りの選手は日本を上回る実力を有しているが、残りはかなり落ちることを露呈した。

野手の比較である。

B

日本の打線は、レギュラーと控えの差がほとんどない。これはSTATSを見ても明白だ。それに対し、韓国ではレギュラークラスでさえも全く不振のままに終わった選手が散見される。これは、通用しなかったと見るべきではないか。特に捕手である。韓国の捕手すべての打撃は、27打数2安打.074の1打点。城島を中心とする日本は.305の4打点である。韓国の捕手朴勍完(パク・キョンアン)や姜珉鎬(カンミンホ)は、自国では屈指の強打者だが、全く振るわなかった。

韓国は上位こそ強力だったが、打線にいくつか穴が開いていたのだ。日本の投手は、ここで一息つくことができた。日本の下位打線は、韓国にとって息抜きどころではなかっただろう。

日本は、数人の打者に絞り込んで対策を練り、強力打線を封じ込めることができたのだと思う。

特に、金泰均(キム・テギュン)への対策は、きわめて周到だったと思う。

   日韓5戦での金泰均の打撃成績

    3/8  3打数1安打2打点 1本塁打

    3/10 4打数2安打1打点 1二塁打

    3/18 2打数1安打 2四球

    3/20 3打数無安打 1四球

    3/24 3打数無安打 1四球

 金泰均が空を見上げるシーンが増えていったのである。

韓国の野球は、日本を手本として進化してきた(認めたがらないだろうが)。素材的には日本を上回る選手も多く出て、ある部分では日本を上回っている。しかし、総合力のぶつかり合いになれば、まだ日本に一日の長があったということだ。この関係は、NPBとMLBでも言えるのかもしれない。

STATS的にも興味深いWBCだった。

■後日談:金泰均は、すごく楽しみだが苦労するかもしれない。韓国流の野球エリートの彼は日本でいうところの高等教育を全く受けていない。日本の複雑な戦略についていけるだろうか?