【2009年5月13日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

少々地味なシリーズになったが、これが最終回。今回は、2001年のMLBドラフトの結果をチーム別に見てみる。

なお、成功PTはMLB4、AAA3、AA2、A1~1.2、R0.8、独立L1でポイントを加算し、その巡の平均値をとったもの。MLBだけでなく、より高いレベルにどれだけ昇進したかの目安のデータである。)

この年指名した選手がどれだけMLBに昇進したかの順番である。

Draft05

これはいわば、GMからスカウトまでを含めたフロント陣の能力のランキングだ。トップは「マネーボール」の主人公、ビリー・ビーンGMのOAK。MLB昇進者は3番目の9人だが、指名者数を41人に絞り込んで率ではNO.1である。ビーンはFA権の補償で他チームから1巡指名権を奪う名人だが、この年も3人を1巡で指名。すべてがMLBに上がった。限られた予算でどれだけ有望な選手を指名するか、その努力が数字に表れている。

MLB昇進率が20%を超えるチームを見ると、PITを除いて近年優勝争いにかかわっているチームが多い。

NYYはドラフトでも良い実績を挙げているが、この時点でのBOSはドラフトでは振るわない。今のジョン・ヘンリーオーナー、テオ・エプスタインGMの体制になるまでBOSは「Bルースの呪い」でワールドチャンピオンになれなかったのだが、一面でいえばフロントが無能だったといえよう。今のBOSのフロントは当時とは大きく変わっている。

もちろん、ドラフトの成績が悪くてもFAやトレード、さらには実戦での戦略性の高さなどで好成績を上げる球団もあるから、このデータはチーム能力を表していると言い切ることはできないが。

SEAのフロントは、長年ドラフトでもトレードでも首をかしげざるを得ない施策を取り続けてきた。この年も、ノマー・ガルシアパーラの弟のマイケルを1位指名したが、彼は目が出ず今年もMIL傘下のAAAにいる。指名実績も最低の部類である。春先良いスタートを切ったものの、最近負けが込んだSEAでは、またぞろイチロー不要論が出ているようだが、それはお門違いだろう。長年のフロントの無定見が、チームの実力に反映されているのだと思う。

ドラフトの成果は数年しないと現れない。今年6月のドラフトの結果は、未来のMLBの勢力図へとつながっているのである。

■後日談:MLBのドラフトはもっと深く突っ込まないと、興味を引くネタにはならないなと思った。