【2009年7月19日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

cERA(キャッチャー防御率)は、あまり意味がないという意見を散見する。cERAが悪いのは、悪い投手と組んでいるからだというものだ。本当にそうなのか。SEAの2人のキャッチャー別で、今期のSTATSを調べてみた。(なお、SEAは、バーク、キロスという2人の捕手も使っているが、あわせて16試合なので省略した)

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残念なことに、ヘルナンデス、ウォシュバーン、ベダードの3投手について見れば、城島とロブ・ジョンソンでは数字にはっきりと差がある。彼らがロブを指名するのには根拠があると言わざるを得ない。奪三振や与四球よりも、被安打で顕著な差があるように思える。また、アーズマ、ホワイト、ローなどのセットアッパー、クローザーの数値もロブの方が良い。

中には、バティスタのように城島と組んだ時の方が良い投手もいる。だから相性という面も確かにあるだろうが、それ以上の何か大きな差があるのではないかと思う。

城島はずっと強気のリードで鳴らしてきた捕手である。攻めの姿勢で打者を追い込んでいくのが得意だった。しかし、MLBの打者心理は、NPBのそれとは相当違うはずだ。城島は本当にMLBの打者心理を知り尽くした上で、攻めているのだろうか。

松坂など多くの投手が苦しんでいるのは、MLBとNPBのピッチングに関する考え方、価値観の差である。NPBで捕手としての固定観念を完成させてやってきた城島も、同じような「投球文化」の差に悩んでいるのではないか。

もう一段踏み込んで、MLBの「投手」とは何かを学ばなければならないときが来ているように思うのだが。

■後日談:2010年、SEAはロブ・ジョンソンで安泰かと言うと必ずしもそうではない。キャッチャーで安定的に実績を残すのは至難なのだ。必ずもう1人、力の接近した捕手が必要だろう。