【2009年8月20日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

今年のイチローは、近年まれなほど好調を維持している。MLBに来てしばらくは8月に調子を落とすことがあったが、今年は昨日まで.373。無安打試合は1しかない。9年連続200本安打達成に気をもんだ春先がうそのようだ。

ただ、この好調なイチローのはるか上を突っ走っている打者が一人いる。ご存じマウアーだ。彼の今月の打率は何と.485。通算でも.400に迫る勢いだ。

今年のマウアーは、安打を量産しているだけではない。8月は7本塁打20打点(ちなみにイチローは1本塁打8打点 彼にしては悪くない)。リーグで最も危険な打者の一人になっている。

勝負あった、と見る向きもそろそろ出てくるかと思うが、それは早計である。

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8月に入ったばかりの時点で、イチローはマウアーに1分の差をつけていた。それから16試合でこの差をつけられている。打数が300,400となっても、打率は思いのほか動くのだ。とはいっても、マウアーはすでに2安打ではほとんど打率が動かない域にある。そして無安打試合が1試合でもあると、大きく打率が落ちる。これまでも相手が無安打の時に大きく差が縮まったり、逆転したりしている。イチローは、5の2以上を連発することで、再び射程距離にとらえることは十分可能だ。

ツインズはペナントレースからほぼ脱落しており、マウアーは個人記録を追える立場にあるが、モチベーションの維持が問題になってくるだろう。イチローは、あと21本に迫った200本安打が、逆にモチベーションアップにつながることも期待できよう。

こうしたデッドヒートが.350をはるかに超える高いレベルで行われているのだ。いずれが勝つにしても、あとあとまで語り継がれるような名勝負を演じてほしいと思う。

■後日談:マウアーは落ちなかった。そしてチームまで優勝に導いた。不明を恥じいるばかりである。