今年も谷は、巨人の4番目か5番目の外野手である。アレックス・ラミレス、亀井義行、松本哲也、鈴木尚広、さらには高橋由伸らがひしめく中で、優先順位は決して高くはない。昨年も李承燁の不振で亀井が1Bへまわらなければ、谷の出番はさらに減ったはずだ。

37歳を迎える谷に与えられたチャンスは、数少ない。しかし谷はそのチャンスを確実にものにする方法を知っている。

Tani-yoshitomo
谷はもともと中距離打者と言うよりシングルヒッターだった。173㎝の短躯でもあり、非力な印象が強かった。同い年のイチローとはタイプが違うが、自分の体を磨き込んで長打力をつけていった点は同じである。もともとバットコントロールが素晴らしく、打ち損じが少ない打者である。やや不利とされる右打者でありながら3割をキープできていることからも巧打者であることがわかる。

谷はなかなか三振をしない打者でもある。しかし四球を選ぶよりは、打って出る打者でもある。若い時は俊足も見せたが、今は積極的な走りは見せていない。脚力は衰えたとされるが、球の芯を射抜く技術は円熟しつつある。

例の球界再編騒動よる再分配ドラフトで、谷はオリックスバファローズに移籍したが、モチベーションが下がったように思われた。その頃は、この打者ももう終わりかと思われたが、巨人に移籍して復活した。他チームの主力打者が巨人に移籍すると、色あせたように不振をかこつケースが見られる中で、谷は例外的な存在だ。

2000本安打が指呼の中に見えてきた。2年あれば達成できるのではないか。

今年、谷に託したい夢がある。それは、「規定打席未達での首位打者」である。野球規則には「規定打席に満たない場合に不足分の打席を凡打として加算し算出された打率が規定打席到達者の打率1位の値を上回れば、規定打席未到達でも首位打者と認定される」とある。二軍ではこのケースが散見されるが、NPBの1軍ではまだ誰もやったことがない。数少ないチャンスをものにするこの打者に、NPB史上に残る記録を期待したいと思う。

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