さあ、最終戦でダルはどんな投球をするのか、と期待していたのだが、自ら登板回避を申し出た。「若手にチャンスを上げたい」とのこと。チームも了承したようだ。
今年のダルビッシュ有と田中将大は、球史に残る投球を見せてくれた。

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5月8日からほぼ1カ月、ダルビッシュは失点しなかった。このまま永久に完封し続けるのかとさえ思ったが、阪神戦で自滅の形で失点し、以後8月12日まで、大崩れはしなかったが0封はできなかった。この間7月20日には田中との直接対決で勝っている。

田中は開幕投手を岩隈に譲り、本拠地開幕投手となったが、以後、5月中は勝ったり負けたりが続いた。しかし、以後は調子に乗って勝ち星を重ねた。完投にこだわるダルビッシュとは異なり、田中は7回程度まできっちりと抑えて、救援にマウンドを譲ることも多かった。ただし田中は10回を投げながら勝ち星がつかなかった試合が2試合あった。楽天、日ハムともに貧打だったが、よりチーム力の弱い楽天は、田中の好投に報いることができないことも多かった。

6月以降防御率(ERA)争いは、田中、ダルビッシュ、武田勝の3つどもえとなったが次第に田中が抜け出す。武田は脱落した。しかし8/7の日ハム戦で、田中は7失点し、ダルと並ぶ。そしてソフトバンクの和田が成績を上げてデッドヒートとなる。
9月に入ると田中の安定感がぐっと増して、最後は4連勝して勝ち星でもダルビッシュを抜いた。ダルビッシュはチーム状態の下落に伴い、好投しても勝ち星がつかなかった。

最終的にWHIPはダル0.83、田中は0.87。DIPSはダル1.56、田中1.87。甲乙つけがたいところだが、勝ち星、ERAをのぞく指数、投球回数、被安打率、奪三振ではダルが上。内容的には僅差でダルが上回っていると思う。

ダルビッシュはなぜ最終登板を回避したのか。チームは2位が確定している。奪三振王も決まっている。ERAは例え完封しても1.38で及ばない。わずかに最多勝タイが転がりこむだけである。今さら1勝を積んだところで、移籍が濃厚だから、年俸交渉の材料にもならない。ダルにとってモチベーションが上がらなかったのだろう。

むしろ、盟友と頼む田中将大に、最多勝のタイトルとともに、後事を託す気持ちもあったのではないか。
これまで、打率のタイトル欲しさに試合を休む打者や、規定投球回数に載せるために意味のない登板をする投手、ライバル打者に敬遠を指示するチームは、掃いて捨てるほどあった。しかしダルビッシュのように、タイトルを忌避する選手はいなかった。次元が違うと思う。

ダルビッシュはブログにこう書いている。

結果を求めるのではなく、内容や取り組み方をしっかり求めたい。
何勝したとか、防御率がどうだの何三振取っただの多くの人はそこを見るし、騒ぐけど。
やっぱり結果は結果であって、取り組み方が比例するわけではないし運の要素も強い。
ちなみに自分は運は実力のうちだとは思ってません。
あとやっぱり自分自身に対しても結果で評価したくないし。
ただ自分の求める「内容」「取り組み方」を未来の自分に納得いかせるには、
やっぱり前進するしかないし、超えるしかない。
日々直面する数々の誘惑に打ち勝つしかない。