昨日の上原は圧巻だった。ALCSのMVPも当然と思われた。
ポストシーズン、上原はここまで8試合に登板している。

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地区シリーズでは3試合に登板。初戦はボールを全く投げず、11球で三者凡退に抑え込んだが、2戦目の2死からロバトンにスプリッターの落ち際をすくわれてサヨナラ本塁打。
テキサス時代の悪夢がよみがえった。
ロバトンは前の試合で対戦している。4シームの後、スプリッターを2球続けられ空振り三振。その球筋を見極められていた感がある。
上原は、スプリッターを2球続けて投げることが多い。そういうことも読まれて、ヤマを張られたのではないか。決して悪い球ではなかったが、見事に打たれた。

しかしファレル監督は翌日も上原を起用した。8回2死からの回またぎ。デヘスースに対しては、多少硬さが見えたが、これを三振に打ち取ったことで、本来の感覚を取り戻したように見えた。
こういう起用の仕方ができるのが、名投手コーチと言われたファレルの持ち味なのだろう。

リーグ優勝決定シリーズ、デトロイト戦の第1戦は負けている展開。上原はもたつき、一死二三塁になったが、何とか踏ん張った。
これも自信になったようで、以後4試合で2安打されただけ。ほぼ危なげなく抑えきった。

回またぎは8試合で3回。いずれもピンチでの登板ではない。火消ではなく、僅差の展開で相手を「追撃ムード」にさせないための登板だった。
「上原にはかなわない」という認識が相手にあったからだろう。

最も危険な打者であるミゲル・カブレラとは一度も対戦していない。カブレラは過去4打数2安打、しかも2本とも本塁打。三冠王との対戦を回避できたことも大きかった。
ファレルはそのことも考慮したのかもしれない。反対に田澤はカブレラに3回ぶつけられ3回とも抑えている。

とはいえ、それで上原の快投にケチがつくわけではない。同じ打者とこれだけ集中的に対戦しながら、ほぼ完ぺきに抑えきったのは驚異的だ。

球種別にみてみよう。

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速球とスプリッター、ほぼこの2種類しか投げていない。いずれもストライク%は、70%を超える驚異的なレベルだ。通常、65%あれば優秀とされる。
さらに凄いのは、空振%。投球数の1割あれば、かなりのレベルだが、上原はスプリッターで32.8%空振りを奪っている。3安打されてはいるが、この球は打者には脅威だということがわかる。



じっと立っていればどんどんストライクを入れられ追い込まれる。しかしバットを振っても当たらない。
まさに、投手の理想像と言えよう。
わずかな休養の後、セントルイスとの決戦が待っている。このチームとは過去、公式戦で対戦したことがない。それが上原にとって有利に働くか、不利に働くかは未知だが、とにかく今のスタイルを貫いてほしい。

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