上原浩治のワールドシリーズも振り返っておきたい。歴史的な好投ではあったが、起伏はあった。
ワールドシリーズの戦績

uehara-WS-01


10月24日からの1週間で5試合、4.2回。54球。先発投手の基準で考えれば大した数字ではないが、試合の帰趨を決める場面のみの登板だ。
上原との対戦はほとんどないセントルイスだが、どうやら秘密兵器を用意していたようだ。

それはアレン・クレイグ。2011年のワールドシリーズでは大活躍した中心選手だが、今シリーズではDHで起用され、ナリーグの主催試合では代打に回った。

第3戦の9回1死、代打に立って上原の初球を左翼に二塁打。サヨナラ勝ちを呼び込んだ。

第4戦にも9回に代打に立ち、上原の速球を弾き返している。クレイグの代走、ウォンが牽制アウトになって事なきを得たが、短いシーズンで苦手を作るのは実に拙い展開だった。

しかし、クレイグは次の試合からスタメンに戻り、上原とは当たらなかった。タラレバではあるが、クレイグが代打として以後も上原にぶつけられたら、展開は変わっていたかもしれない。

結局、ワールドシリーズで打たれたのはクレイグの2安打だけ。あとは一人の走者も出さなかった。1番から9番までまんべんなく当たった打者は、一人を除いてお手上げだったのだ。
球種ごとの結果を見てみよう。参考までにポストシーズンのデータも出す。

uehara-WS-02




田澤とは全く違う。また同一リーグのチームと戦うポストシーズンとも全く違う。私はこういう差異が見えるのが、記録のだいご味だと思う。

上原に対して、セントルイスの打者は球を見極めようとしたのだ。指導者は「簡単に手を出すな」と言っていたと思う。
見逃しのストライクが12、ボールが15。空振りが極端に少なかったのも、各打者が簡単に手を出さなかった表れだろう。

しかし、いくら見極めても上原は歩かせる気配はないし、甘い球も来ない。結局、凡退するしかなかったのだ。
制球が抜群の上原にとっては、むしろ狙い球を定められて振りぬかれるよりも、待球の方が与しやすかったのではないだろうか。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!


『「記憶」より「記録」に残る男 長嶋茂雄 』上梓しました。




「読む野球-9回勝負- NO.2」私も書いております。




広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。




クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。明治生まれの選手、安打数30傑

Classic Stats