昨日はサイ・ヤング賞だけでなく、MVPや新人王や監督賞などのノミネートの発表もあった。どれくらい前からそうだったのかよく分からないが、話題作りには良いやり方だ。何にせよ、シーズンが終わってからこういう発表をするのが常識でしょう。
MVP候補はアナで3人ずつ発表があった。

アリーグ

MVP-AL


レギュレーションでは投手がMVPになってもいいはずだが、過去20年で投手のMVPは92年アリーグのエカーズリーと2011年アリーグのバーランダーのみ。投手はサイ・ヤング賞でということになっているようだ。
MVPの選考は、打撃に関するメディアの価値観の推移が見て取れて興味深い。

昨年の選考は、三冠王のカブレラと事実上デビュー年のトラウトの一騎打ちとなった。日本的な感覚でいえば文句なしにカブレラというところだが、下馬評ではトラウトの方が高かった。WARが10.7もあったからだ。カブレラは7.2。結果はカブレラが受賞し、トラウトは新人王になった。

MVPの選考は、従来の「主要タイトル」を重視する考え方と、セイバー的なチーム貢献度を重視する考え方が、せめぎ合う機会なのだ。

今季もカブレラとトラウトがいる。カブレラは首位打者、トラウトは最多得点、最多四球で打率3位。WARは今年もトラウトが上だが、その差は昨年よりも少ない。
そしてクリス・デービスが本塁打、打点の二冠。

優勝したボストンからはノミネートなし。デビッド・オルティーズは打率6位、本塁打8位、打点7位だが、WARは4.4で18位。DHはWARの評価が低い。

WARでいけば2位のジョシュ・ドナルドソン8.0、3位のロビンソン・カノ7.6がカブレラの前にいるのだが、彼らは最終選考に残っていない。WARが一番の基準と言うことでもないようだ。

この3人から選ぶとすればNPB的にはデービスとなるだろうが、どうだろうか。今季はカブレラの三冠王のようなトピックはないだけに難しいところだ。

ナリーグ

MVP-NL


新鮮な顔ぶれ。ゴールドシュミットは3年目26歳、マカッチェンは5年目27歳、モリ―ナは10年目31歳。

タイトルでいえばゴールドシュミットが二冠(本塁打はアルバレスとタイ)。
WARではマカッチェンが3人の中では1位。彼はピッツバーグの21年ぶりの勝ち越し、ポストシーズン進出の最大の功労者と言うことも考慮されたか。
モリ―ナは捕手として攻守でチームを引っ張ったことが評価されたか。



しかし、WAR1位のカルロス・ゴメス(ミルウォーキー)や、最多得点、最多安打、最多二塁打のマット・カーペンター(セントルイス)、出塁率1位2位のジョーイ・ボット、秋信守(いずれもシンシナティ)などは入っていない。セイバー一辺倒と言うことではないようだ。私見ではカーペンターなのだが。

昨年も捕手のバスター・ポージー(サンフランシスコ)が選ばれていることを考えれば、モリ―ナの可能性もあるのだろう。マカッチェン、ゴールドシュミットも捨てがたい。

選考によって今年のMLBのオフェンス面のトレンドがわかる。発表を楽しみに待ちたい。

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