今シーズン、楽天の試合はたくさん見てきた。あまりお客さんが入っていない試合もあって、そんなメジャーな球団という感じはしなかったが、台湾での楽天は「スター軍団」だった。日本一になったことで箔がついたなと思った。
田中将大の周囲にはたくさんのマスコミがいた。投げるか投げないかわからない投手のために、わざわざやってきているのだと思ったが、それだけではなかった。
日米のポスティングシステムの改定が、再び暗礁に乗り上げたのだ。報道陣は田中の顔色を見に来たのだろう。

話は奇怪である。MLBが提示したポスティングの改定案、
1) 入札額1位と2位の額の中間を落札額とする
2) ポスティングが不調に終わった場合、MLB球団はMLB機構にペナルティ費を支払う
という条件は、MLB側がポスティング費用の高騰を抑えるために提示したものだ。NPBにはメリットがない。
利害関係がないはずの選手会が難色を示したが、NPB機構側が説得をしてようやく応諾の通知をしたのだが。

MLBのオーナー会議で反対が出て、白紙に戻ったのだという。
ピッツバーグ・パイレーツが、ニューヨーク・ヤンキースにかみついた。
「ポスティング費用が高すぎて、貧乏球団は応札できない!」
ヤンキースは
「キューバ選手獲得の時はそんなこと言わなかったじゃないか!」
と反論。
どうやらMLB機構側は、新ポスティングシステムの説明をヤンキースやドジャースなどにはしたが、その他の球団にはしていなかったようだ。
つんぼ桟敷におかれたことへの反感もあって、こういう議論になった。

MLBのマンフレッドCOOは、「オーナー会議までに決めていればこうはならなかった。もたもたしていたNPBが悪い!」
と言った。無茶苦茶な話だ。根回しをちゃんとしなかったMLBの落ち度は明白だ。

しかし彼らならいいかねない。NPB側はMLBの条件を丸呑みしたわけだ。何も修正を加えないのなら、さっさとOKすればいいものを、というところだろう。
どうせ口答えする度胸もないくせに、くらい思っているだろう。

MLBはさらなる修正案を再提示するという。条件はさらにNPBに不利になっていることだろう。

サンスポによれば星野監督は
「NPBの交渉が下手。交渉というのは、決裂してもいいという気持ちで臨まないとダメ。突っぱねるぐらいでないと」
と言ったそうだが、NPBの経営陣にそれを求めるのは酷だ。黒船来航時の多くの幕閣とさほど変わらないレベルなのだから。

結局、MLBとNPBはしっかりした人的交流のシステムを作るべきなのだ。国交のないキューバの選手の移籍と同じレベルのルールしかないというのはどう考えてもおかしいのだ。

星野仙一の言うとおり、NPBも主張すべきは主張し、MLBの言うなりにはならないところを示して、お互いに納得できるルールを締結すべき時だ。
いずれにせよ、田中はアメリカに行くだろうが、その次の選手からは例えばトレードとか、ドラフトとか、しっかりしたルールを作るべきだ。



野球選手というのは「旬」が短い。彼らの人生を左右するような問題である。まともな経営者が責任を持って対処してほしい。

NPB側はスコット・ボラスを交渉代理人に雇ってはどうだろうか?10億くらい取られそうだが、ええ仕事しまっせ!


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