珍しく今週の『週刊ベースボール』が、井端に続いて片岡治大まで獲得しようとする巨人を「そんなにセカンドを集めてどうするの!」と批評している。
確かに、どちらもレギュラー級の野手であり余剰の感はある。
今季の巨人二塁手の成績と、井端、片岡、それにセリーグの主な二塁手の成績。
2BGは、二塁手での試合出場数。2BRCは、RC×(2BG÷G)。つまり二塁手としてのRCを算出したもの。2BRC/Gは、1試合当たりのRC。井端は遊撃手での数字。
RCは打点に近い数字だと認識いただければわかりやすい。

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今季の巨人正二塁手は寺内。守備の規定試合数にも達している。しかし打者としては明らかに非力だ。
西岡、菊池などの二塁手が一人で60以上のRCを稼いでいるのに対し、寺内は14.1に過ぎない。
1試合当たりにすれば、寺内よりも中井の方が数字が大きい。打撃だけなら中井を二塁に固定すればよいのだが、守備面での不安がある。また首脳陣の信頼を得ているとは言い難い。
そこで井端、片岡の獲得となったのだろう。二人ともに守備でも十分な経験がある上に、打撃面で評価が高い。

しかし誰でもわかることだが、二人をとれば伸びようしている若手の芽が摘まれてしまう。中井、藤村など若い選手が控えに回ってしまう。

実はホセ・ロペスはMLBでは二塁手であり、イチローの同僚として2006年から09年まで4年連続で140試合以上シアトルの二塁を守っていた。しかしロペスは今季、一塁手としてゴールデン・グラブを獲得している。わざわざ二塁に回す気はないだろう。

2005年以降の巨人二塁手の出場試合数と二塁手としてのRC。下段のAは1試合平均の二塁手起用数、Bはチーム総RCに占める二塁手のRCの比率。

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規定打席に達した二塁手は仁志以来出ていない。
仁志以降は、広島から木村拓也、ロッテから小坂誠を獲得。このときも正二塁手クラスを立て続けに二人獲得しているのだ。
木村が2009年に引退すると、生え抜きでの育成を考えたか脇谷、藤村を起用。藤村は2011年には盗塁王を獲得。私は坂本勇人、藤村大介の二遊間が売り物になると考えたのだが、今季は寺内が正位置をとった。

要するに「打てる二塁手」がほしいのだと思う。
Bを見ていただきたい。二塁手のRC総計がチーム総RCに占める比率は、今季6.7%。単純に平均すればポジションごとのRCは11~12%になるはずだから、オフェンス面では力不足は明白だ。
寺内にしても、中井にしても、脇谷にしても、藤村にしても、オフェンス面では原監督の眼鏡にかなわなかったのだろう。

来季、井端、片岡の二人は、既存の二塁手とともにポジション争いをすることになろう。どちらかが控えになる。二人ともにそれは覚悟の上なのだろう。それでも巨人に行こうとしているのはやはり「ブランド」だからだろうか。



『週刊ベースボール』は、既存選手が「死に駒」になることを懸念しているが、もし正選手になるべき実力の選手が控えでくすぶるとすれば、それは球界全体での損失でもある。

V9時代の巨人の正二塁手土井正三は、シーズン当たりのRCは39.0しかなかった。しかし川上監督は10年間二塁を土井に委ねた。
このポジションは、より良い選手を求めてとっかえひっかえを繰り返すより、じっくりと選手を熟成させるべきだと考えていたのではないか。

常に優勝を求められる巨人ならではの事情ではあろうが、あまり賢い補強とは思えない。


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