青木宣親がミルウォーキーからカンザスシティにトレードで移籍することになった。
この話が持ち上がったとき、日本のマスコミはどちらかと言うとネガティブな表現が多かった。しかしこれは明らかに「栄転」である。
少し前まで、チームの主砲、ライアン・ブラウンが左翼から右翼にコンバートされるのに伴って、青木はポジションを失うとか、放出されるとか、そういう表現が散見されたのだ。

日本的に言えば、トレードでチームを出るのは、不名誉なことのように思えるかもしれないが、MLBではシーズンが終了すれば多くのチームは「解散する」と言っても良いほど大幅に解体される。
選手は大幅に入れ替わるのが普通なのだ。たとえ複数年契約をしていても、ポジションが重なったり、他球団と良い取引が成立しそうなら、躊躇なく取引に応じる。
どんな金満球団であっても、レギュラー級を飼い殺しにするようなことはあり得ない。
実力があれば世渡りがしやすい世界なのだ。

ミルウォーキー・ブリュワーズは今季ナリーグ中地区で5位。主軸のライアン・ブラウンが薬物疑惑で出場停止、ラミレス、ウィークスらも不振。投手陣もぱっとせず、チーム立て直しの最中だった。
これに対し、カンザスシティ・ロイヤルズは久々に5割をオーバー。レギュラー全員が20代と言う若い打線がうまく回ろうとしている。
青木のように出塁率が高く、ミートが巧みなリードオフマンはうってつけだと思われる。

アメリカでは青木は「MLBで、過去2年連続でOBP.350と盗塁20をマークしている4人の選手の1人」という表現がされている。
あちらの言い回しは回りくどいが、こういうことである。$は年俸(百万ドル)。

aoki-Royals


青木は秋信守、マイク・トラウト、マカッチェンに並ぶ価値のある打者だと評価されているのだ。
他の選手の年俸が高騰しそうな中、青木は190万ドルとお買い得。

争奪戦もあったとされるが、それだけ高い評価をされているのだ。
DH制のあるアリーグの方が、出場機会も多くなると思われる。

ダルビッシュ、岩隈、黒田らとの対戦も増えるし実に楽しみだ。
「本当に使えるのか?」と疑われ、アメリカに来てからテストまでされた青木が、2年でここまで高い評価を得た。
チームは1番右翼を用意、「100得点を挙げてほしい」とのこと。まさに的確な指標だ。

来季は、日本人野手の代表として存在感を高めてほしい。

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