もう数年前に、最も優秀なアジア人野手の座はイチローから秋信守に移ってはいた。そして秋はこの冬ついにビッグネームになった。苦節9年、遅ればせの春である。
キャリアSTATS

Choo2013


日本の感覚でいえば、シーズン平均して打率.288、20本塁打、81打点、20盗塁の秋は、「ちょっといい選手」「中距離打者」という感じではないだろうか。
今季などは21本塁打54打点.285である。「平凡」と言っても良いかもしれない。

しかしセイバーメトリクス全盛のMLBでは秋はリーグ屈指の選手である。
今季でいえば彼は162本の安打に加え112もの四球を選んでいる。ついでに言えば26もの死球を喰らっている。154試合に出てちょうど300回も出塁しているのだ。そして107回もホームベースを踏んでいる。
彼がいるだけで、チームの得点機会は極めて大きくなるのだ。

比較するのは酷だが、今季のイチローは136安打だが26四球、1死球。わずか163回しか出塁していない。得点も57に過ぎない。

2人は同じ外野手で、上位を打たせるべき打者ではあるが、その価値は雲泥の差である。



テキサスでは、秋は42盗塁したアンドラスの後の2番を打つのではないか。1番の可能性もあろう。そしてフィルダー、ベルトレという重量打線の前に手数の多い働きをして、投手の援護点を増やすのではないか。

7年契約で1.3億ドルでテキサスと契約。
カノの例でも分かるが最近の大型契約は、最後の2年ほどは「掛け捨て」の感覚になっているように思う。

秋は2005年、シアトルでメジャーデビューをした。デビュー戦は代打。初めて守備に就いたのは9月17日のテキサス戦。イチローがDHで半休し、中堅で先発したものだ。
このとき、このアジア人がイチローを上回る評価を得るとはだれも思わなかっただろう。

秋は一度もオールスターに選出されていない。タイトルもなく、スロースターターだからだろう。風貌が地味なことも影響しているか。守備もうまいのだが、派手さはない。
死球が多いこともあり、故障がやや多いのも気がかりではある。

イチローと秋、二人の盛衰は時の移ろいを感じるが、同時に対極の野球観の妙も興味深い。


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