今年の巨人、澤村拓一の投球は実に興味深かった。投げても投げても勝てないが、ちゃんと試合は作っていたのである。年俸査定に注目していたのだが。
今季の戦績。

sawamura-201301


沢村は昨年、日本シリーズ、アジアシリーズまで投げている。さらにWBC代表にも選出され4試合に投げている。

こうしたポストシーズンでの酷使を考慮して今季は5番目の先発として起用されたが、初戦は白星がついたものの6回4失点。以後もぱっとしない登板が続いた。
6月29日からは先発で10試合連続勝ち星がつかず。5連敗、9月12日に救援投手に転向させられた。

こう書くと、ゴールデンルーキー澤村は3年で色褪せたという感じだが、投球成績を子細に見て行くと、悪くはないのだ。
QS(先発で6回以上投げて3自責点以下)は13。6月5日から6試合連続QS。しかし2勝2敗。この間5失点だったが味方の援護も9点に過ぎなかった。

確かに抜群とは言えなかったが、そんなに非難されるような投球でもない。5月22日、29日は6回を投げ切ることなく降板させられ、黒星がついているが、スコアは1-2、2-3だった。
今季は統一球の微調整によって、投手がやや不利になっている。また3年目ともなれば沢村の投球は相手打者に研究し尽くされている。
澤村は肝心なところで歩かせるなど、欠点のある投手ではある。それを克服できていないと言うこともできようが、スターターとしては十分な成績だったと思う。

sawamura-2013


新聞では原監督は怒り心頭に発し、澤村は申し訳ないと言っていたが、9月に入って、ついにローテから外された。巨人がよくやる「懲罰的配置転換」だ。

以後、澤村はセットアッパーとして投げた。成績は素晴らしく、実力の片りんを見せた。

沢村の先発の年度成績。

sawamura-201302




勝ち星こそ上がっていないものの、今季は被打率が下がり、WHIPも向上している。DIPSはやや下落している。本塁打の比率が増えたからだが内容的には悪くない。
しかし援護点は2.78と最低。これではいくら頑張っても勝てない。

澤村は今季の契約更改で6500万円から500万円減の6000万円でサインした。

この3年間で500回以上投げた投手と年俸。えんじ色は2013年。回数順。

sawamura-201303


澤村は1年目から段々成績が下がったために上昇気流に乗ることができなかった。まだ3年目だから、年俸が最下位なのは仕方ないが、この数字を見れば、上げてやるべきだと思うのだが。

投手の勝ち星は「運」に左右される部分が非常に多いのだ。澤村は間違いなくリーグ屈指の投手だ。もう少ししっかり査定をしてほしいと思う。

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!



クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。1962年のパリーグ、救援投手陣

Classic Stats



『「記憶」より「記録」に残る男 長嶋茂雄 』上梓しました。





「読む野球-9回勝負- NO.2」私も書いております。




広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。