予告先発とは、前日に両チームの先発投手をあらかじめ発表する制度だ。パリーグが85年から始めた。
85年といえばセリーグでは江川卓や西本、北別府学らが最盛期。パリーグは、村田兆治、山田久志、東尾修、松沼兄ら本格派投手が並び立っていた。パの観客動員数は500万人前後。セリーグとはダブルスコアに近い差をつけられていただけに、苦肉の策で予告先発を導入したのだろう。

この年の村田兆治はのちに「トミー・ジョン手術」と呼ばれる大手術を経た復帰の年であり、日曜日ごとに投げたことから「サンデー兆治」と呼ばれ人気を博した。この点だけに限れば、予告先発は大いに効果があったと思われる。しかし「予告先発」の効果は限定的だったはずだ。一部の人気投手の登板のときには多少の動員増があっただろうが、全体としての底上げにどれだけ寄与したかは疑問だ。

パリーグの観客動員が増加するのは、88年東京ドームに拠点を移した日本ハムと、翌年福岡に移転したダイエーホークスが積極的な観客動員策を実施してからだ。97年には1000万人の大台に乗る。最近は900万人台で推移しているが、セリーグの1100万人台と拮抗するまでに迫っている。

要するに経営体質の改善としっかりしたマーケティングで、パリーグは観客を伸ばしてきたのだ(いまだ不十分ではあるが)。





セリーグは今日、観客動員策として「予告先発」の導入を検討すると発表した。

落合博満や野村克也など、知将といわれる監督は導入に否定的だ。「予告先発」は、先発投手を推理して打順を組んだり、偵察メンバーを起用するなどの戦術面の面白さを減じるという点でマイナス要素があるとされる。

率直に言って観客動員の観点からすれば、「予告先発」を取り入れるかどうかは、どうでも良い話である。施策があまりに小さすぎる。導入したところで火がついたようにお客さんが球場へ来るようなことは考えにくい。

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観客動員が減っているのは、長引く経済不振、地上波での野球中継の激減、そしてセリーグに限れば交流戦などでのパリーグとの実力差が露呈したこと、などが原因だと思われる。メディアに頼った経営をしてきた球団が多かったセリーグの足腰の弱さが観客減に結びついているのだ。

きつい言い方をすれば、大の大人の経営者が集まってそれしきの知恵しか出ないのか、とも思ってしまう。セリーグ全体がまとまってキャンペーンをするとか、地元密着型のファンサービスを考えるとか、ネットを活用した観客動員策を打ち出すとか、やることはいっぱいあるだろうと思う。

優れたマーケッターであれば、セリーグの観客動員策の10や20はすぐに考え付くだろう。それを片っ端から検討して、良いとなればどんどん実行していく。そういうフットワークの軽さが求められているのだが、まあ、できないだろうなあ。

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