「熊崎勝彦新コミッショナー始動」スポーツ紙各紙が報道している。前から書いている通り、私は新コミッショナーにはあまり期待していないが、それでもNPBが少しでも進歩してほしいと思う。
コミッショナーの下に専任者を設けるというプランは実現しそうだ。専務理事あるいは常任理事という名称になりそうだ。
非常勤で高齢のコミッショナーが機構改革に一人で乗り出すのは現実的ではない。専任者をぜひ設置してほしい。

報道では専任者は2人になりそうとのこと。「統一球改変」問題では、当時の下田NPB事務局長が独断専行をしたということになっているが、そうした幣を防ごうと思ったのかもしれない。

スポーツ紙の中には「コミッショナーと2人の専任者のトロイカ体制」と書いたものもあったが、トロイカとは「三頭体制」のことだ。専任者にそんなに大きな権限を持たせるのだろうか。安易な言葉遣いはスポーツ紙の倣いだが、これは軽率だろう。

2人の専任者のうち1人は銀行筋から、もう1人はプロ野球経験者から選出、抜擢するとの報道もある。

法曹関係者にバンカーとは、保守的な人事だ。およそ積極的なビジネスをする姿勢とは思えない。

私は専任者のうち1人はスポーツマーケティングの専門家を加えてほしいと思う。PLMの幹部などが望ましい。プロ野球のOBはいてもいなくても良いと思う。

お役所のような事なかれ主義を脱するためにも、エスタブリッシュメントではなく、改革者を入れてほしい。

とはいっても一連のアナウンスは、巨人の白石興二郎オーナーから発信されている。守旧派の大元締めが言っていることだから、あまり期待できないかもしれない。
ありもしない既得権益にこだわって、新コミッショナーの改革案を骨抜きにするのではないか。

ただ、熊崎新コミッショナーは統一球に関する第三者委員会の報告書は「尊重」するようだ。同じ法曹界からの鋭い指摘は、看過できないのだろう。」

「NPB機構」と「NPB組織」が併存するというわかりにくい二重構造や、セパ両リーグで情報伝達の密度が違う問題、レポートラインがぐちゃぐちゃになっている問題など、まともな組織としては恥ずかしい事態が存在している。
こうした事態を根底から変えていただきたい。

また野球協約違反の統一球が、2011年、2012年と使われ続けていた問題は、うやむやにしないでほしい。全部無効にするわけにはいかないだろうが、コミッショナーとして何らかの見解を示してほしい。

第三者委員会の報告書を見て痛感するのは、NPBの関係者が「野球協約」を軽視していることだ。

今年になって中日の落合博満GMが、自主トレ中だった松井祐介に打撃指導をしたことが、協約違反ではないかと報道された。
野球協約には「球団または選手は、毎年12月1日から翌年1月31日までの期間においては、いかなる野球試合または合同練習あるいは野球指導も行うことは出来ない」
と明記されている。これは協約違反の可能性が高い。

掛布雅之が的確な批判をしている。落合GMの協約違反疑惑への賛否

落合本人は「形式犯だ」というようなコメントをしているようだが、「形式犯」で実害がなかろうと、協約違反は重大な問題だ。何でも「俺流」がまかり通れば、野球界は闇になる。

NPB,そして野球人はプロ野球で一番大切な「協約」を軽視してきた。だから、プロ野球の運営はいろいろな面で進化しないのだ。



熊崎新コミッショナーは強面の落合GMにびびることなく、しっかりと調べて、必要であればペナルティを課してほしい。

何事も始めが肝心である。コミッショナーと言う役職は「晩節を汚すポスト」のように見られつつあるが、新コミッショナーは勇気を奮って改革に立ち向かってほしい。

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!



クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。 杉浦忠は、先発、救援と2度の投手人生を歩んでいた!

Classic Stats



『「記憶」より「記録」に残る男 長嶋茂雄 』上梓しました。





「読む野球-9回勝負- NO.2」私も書いております。




広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。